TRIP

世界のおいしい旅 第8回
南米きってのワイン生産国チリで
絶品煮込み料理と奇跡のワインを味わう

世界のワイン産地を巡る旅、今回ご紹介するのは南米大陸の南西海岸にあるチリ。太平洋とアンデス山脈に挟まれた国土は南北に細長く、さまざまな食材に恵まれています。また乾燥した中部はワイン栽培に適し、南米を代表するワイン産地としても有名。なかにはチリ以外ではほとんど栽培されていない幻のブドウ品種も。複雑な歴史を背景に伝えられてきたチリの食文化の魅力に迫ります。

text WINE OPENER編集部

世界のおいしい旅 第8回

南北4,300kmの細長い国に砂漠から氷河まで!

世界のおいしい旅 第8回

チリ共和国は南米大陸の南西部、太平洋に面して延びる細長い国。南北の距離は約4,300kmあり、これは北海道の宗谷岬から沖縄の与那国島西端までの直線距離2,900kmをはるかにしのぐ長さです。一方で東西は狭いところで約90kmしかない独特の形状をしています。

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チリと言われてもピンとこないかもしれませんが、北部に広がるアタカマ砂漠や東部のアンデス山脈、南部のパタゴニア、太平洋に浮かぶイースター島などは聞いたことがあるのでは? これだけ見ても分かるとおり、長い国土には砂漠気候から地中海性気候、ツンドラ気候までさまざまな気候が存在。各地域で多種多様な農産物が栽培されるほか、長い海岸沿いでは海産物も豊富です。

長らくスペインに統治されていたため同国の影響を強く受けており、インカをはじめとした伝統文化とスペイン文化が融合して定着。食習慣や料理にもその影響が見てとれます。

素材の魅力を存分に味わう郷土料理

豊富な食材を使ったチリ料理は素材を生かしたシンプルなレシピが基本。ハーブは使いますが、辛くはなく素朴な味付けが特徴です。 南米のほかの国と同じように煮込み料理が多く、これがホッと落ち着く味なんです。

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代表的なのは「カスエラ」。スペイン語の土鍋を意味し、その名のとおり牛肉や鶏肉と野菜を煮込んだシンプルなシチュー。米が入っておりメイン料理としての存在感があります。野菜はトウモロコシやタマネギ、ニンジン、ジャガイモなど何でもあり。塩味がベースで、あとはクミンやオレガノで香りつけするくらい。食材から染み出すダシが決め手です。

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「ポジョ・アルベハド」もチリの家庭でよく食べられる煮込み料理。ポジョはスペイン語で鶏、アルベハドはグリーンピースを意味し、これらにタマネギやニンジン、セロリ、ニンニクなどを加えて、ホールトマトと一緒に煮ます。味つけは、先に紹介したカスエラと同じで、塩とオレガノやクミンなどのハーブ。オリーブオイルで炊いたライスまたはフライドポテトを添えていただきます。

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チリで食べるべきは、肉や野菜だけではありません。日本ではチリ産のサーモンをよく見かけますが、太平洋に面した地域ではシーフードを使った料理がとても充実しているんです。魚介のマリネ「セビーチェ」や、トロッとしたスープ「チュペ・デ・マリスコス」もおいしいですが、ぜひ食べたいのが「パイラ・マリーナ」。簡単に言うと魚介のスープなのですが、特に貝がたっぷり入っていて旨味がすごい。レモンを絞ってパンと一緒に食べるのが定番です。

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ちょっと変わったところでは、トウモロコシケーキを意味する「パステル・デ・チョクロ」もポピュラーな料理。タマネギと炒めた牛ひき肉の上に、鶏肉やゆで卵、オリーブ、レーズンなどをのせ、トウモロコシのペーストで覆ってオーブンで焼きます。ひき肉はクミンやオレガノで味つけし、甘いトウモロコシとの風味のコントラストを楽しみます。チリはトウモロコシを使った料理が豊富ですが、この料理はひときわユニークですね。

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同じひき肉料理でも、軽食として親しまれているのがエンパナーダ。南米ではどの国でも食べられている、ひき肉を小麦粉の生地に包んで揚げたパイです。レストランではぺブレと呼ばれるソースが添えられることがあり、これがまたおいしい。トマト、タマネギ、コリアンダー、トウガラシを合わせたピリ辛ソースなのですが、肉や野菜、パンにつけて食べてもOK。どんな料理にも合う万能ソースです。

チリで再発見された幻の黒ブドウ

郷土料理を紹介したところで、合わせて楽しみたいのがワイン。南米屈指のワイン産地として知られるチリですが、特に日本ではチリワインがフランスと並んで輸入ワイン量の上位を占めており、ワイン好きにはおなじみの国なんです。

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チリのブドウ栽培地域は、細長い国土の中間部分、南北1400kmに広がっています。冬にまとまった雨が降り、夏は日差しが強く乾燥するという典型的な地中海性気候。昼夜の気温差も大きく、ブドウの栽培に適した条件が揃っています。ブドウの生育期間と乾燥期が重なるためカビや病気のリスクが低いのも特長。19世紀に世界中で猛威をふるった害虫、フィロキセラの被害を免れた国としても有名です。

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チリ栽培されるブドウは赤ワイン用の品種が70%以上を占めており、最も多いカベルネ・ソーヴィニヨンは品質がよく低価格なワインを多く産出。最近ではプレミアムワインも増えており、世界的に高い評価を得ています。

ほかにも黒ブドウのメルロー、白ブドウのソーヴィニヨン・ブランやシャルドネが栽培されていますが、チリならではの品種として覚えておきたいのがカルメネールという品種です。

もともとはフランスのボルドー地方原産の品種ですが、先ほど述べたように19世紀、フランスのコート・デュ・ローヌからはじまり、スペイン、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、そしてアメリカまで世界各国で猛威を振るったフィロキセアは、各地のブドウに壊滅的な被害をもたらし、フランスではワインの生産量が3分の1にまで落ち込みました。このフィロキセラ禍によりカルメネールは絶滅したと思われていたのですが、1994年にチリでメルローとして育てられていたブドウをDNA鑑定したところ、カルメネールであることが分かったのです。

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見た目はメルローに似ているカルメネールですが、メルローよりも熟す時期が遅く、未熟だと青臭さが出るため、しっかり熟すまで待つことが必要。そのため晩夏まで雨が少なく日照量も多いチリは、カルメネールの栽培には最適でした。今ではカルメネールを主要品種のひとつとして栽培しているのはチリだけになっています。

完熟したカルメネールからは、凝縮した果実味をもつ濃厚な赤ワインが生まれます。タンニンは控えめで、滑らかな口あたりは誰もが好む味わい。ブラックベリーなど黒系果実の香りが特徴です。

確固たる信念のもと高品質なブドウを栽培

世界のおいしい旅 第8回
※写真はイメージです

チリには大規模なワイナリーが多くありますが、サンタ・リタもそのひとつ。2,600ヘクタールの広大な自社畑をもち、最新鋭のワイン製造施設と醸造技術は南米屈指と評価されています。自社畑は南北600kmにおよび、品種ごとに最適な土地でブドウを栽培し、品種の特徴を最大限に引き出したワインを造っています。ブドウを植えた後、しっかりと根が張るまで7年間待ち、成熟した実が取れるようになってからワインに使用するのも、サンタ・リタのこだわりです。

もちろんカルメネールも栽培しており、メルローと思われていたカルメネールが、チリで再発見されたのがサンタ・リタグループの畑だったそう。そんな思い入れのあるカルメネールをカジュアルに楽しめる一本を紹介します。

スリー・メダルズ カルメネール

サンタ・リタ
スリー・メダルズ カルメネール
オープン価格

スリー・メダルズは、濃さ、辛さ、渋さのバランスを追求したサンタ・リタのカジュアルライン。プラムやブラックベリーといった黒系果実の香りが華やかに広がります。口あたりはマイルドで、凝縮感のある果実味と深みのある味わいを楽しめます。価格的に手ごろなのも魅力。シンプルな味付けの肉料理との相性は抜群なので、デイリーワインとして重宝します。

 

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。