TRIP

世界のおいしい旅 第1回
サン・セバスティアン名物バルの攻略法

旅先で食べる料理は旅の楽しみのひとつ。今回は、スペイン北部に位置するバスク州の街、サン・セバスティアンをご紹介します。ミシュランの星付きレストランが軒を連ね、スペイン屈指の美食の街として知られるこの街が、いかにしてグルメ天国になったのか。在東京スペイン政府観光局の袴田みささんにその背景をはじめ、サン・セバスティアン名物、バルの楽しみ方を教えてもらいました。

text WINE OPENER編集部

世界の美食_01
©スペイン政府観光局
世界の美食_01
在東京スペイン政府観光局
袴田みささん

 

 

 

 

 

 

ミシュラン星付きレストランは19軒!
サン・セバスティアンが美食の街となった理由とは?

はじめにバスク州について教えてください。

在東京スペイン政府観光局袴田さん(以下敬称略、袴田):スペイン北部に位置するバスク州は、北はカンタブリア海に面し、東はピレネー山脈、西はカンタブリア山脈に囲まれスペイン語とバスク語を公用語としています。今ではバスク語を日常的に話す人は少なくなりましたが、空港や駅などの標識ではバスク語が併記されています。

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一般的にスペインときいてイメージするのは、風車が立つ荒野や、白い家がポツンと立つ赤土の大地ではないでしょうか。バスク州に広がるのは緑豊かな大地。特に沿岸部は降雨量が多く森林が広がり、碧い海とグリーンの美しい風景に癒されます。

バスク州のゲートシティとなるのは、国際空港がありアートの街としても知られるビルバオ。サン・セバスティアンは、ビルバオから車で1時間15分ほどの距離にあります。

 

なぜ、サン・セバスティアンは美食の街になったのでしょうか?

袴田:穏やかな気候と美しい海に恵まれたサン・セバスティアンは、19世紀半ばからスペイン王室の避暑地となりました。

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さまざまな洗練された文化が持ち込まれましたが、後にこの地に大きな転換をもたらしたのが貴族達が帯同したお抱えシェフです。バスクの豊かな食材に刺激を受けたシェフ達は競い合うように美食を追求し、その結果街全体で食のレベルが上がりました。

そういった環境に、さらに革命的な出来事が起きました。それがバスク料理の牽引役、ルイス・イリサール氏が1992年に開校したルイス・イリサール料理学校です。

それまで秘伝だった料理の技術を体系的に教えるプログラムは画期的で、世界中から多くの料理人が訪れて学び、この地でレストランを開くシェフも出てきました。長らく培われてきた美食の土壌と料理の技術が結び着き、美食の文化が一気に花開いたのです。

サン・セバスティアンとその近郊のミシュランの星付きレストランは19軒。そのうち3つ星は3軒。スペイン全土で3つ星レストランは11軒なので、この街の食がいかにハイレベルかおわかりいただけるでしょう。

サン・セバスティアン名物、バル巡り攻略法

サン・セバスティアンというとバルというイメージもありますが…。

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袴田:バルはスペイン全土にありますが、特にサン・セバスティアンは有名ですね。星付きレストランは数ヶ月前から予約を入れなければなりませんが、バル巡りならふらりと立ち寄れる気軽さも魅力です。

バルはバスクの人々の暮らしには欠かせない存在で朝食やランチ、ティータイムと、さまざまなタイミングで利用されています。

 

どのようにバルを利用するのがスマートなのでしょう?

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袴田:特に決まりはありませんが、地元の人々はドリンク1~2杯、タパスかピンチョスを1~2皿程度でさっと立ち去るという方が多いようです。

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袴田:グループの場合は、1人が会計をまとめて払い、次の店では別の人が払うというのがスマートです。ついついあれもこれも…と頼みたくなりますが、それぞれの店に名物料理があるので、おすすめを聞いてみるのもいいでしょう。定番どころでは、トルティージャ(オムレツ)やアヒージョ、アンギーラと呼ばれるウナギの稚魚や、フォアグラを使ったピンチョスやタパスでしょうか。

―3年ほど前に日本で大流行したバスク風チーズケーキも、バスク州の名物料理なのでしょうか?

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袴田:バスチーですね(笑)。 実は「ラ・ヴィーニャ」というバルの名物メニューが口コミで話題になって広がったものなんです。しっとりなめなからな生地はほどよい甘さで、表面のほろ苦いカラメルもワインにもよく合うんですよ。

バルではどんなお酒が飲まれるのでしょうか?

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袴田:白ワインならバスク州で造られるチャコリがよく飲まれます。アルコール度数が低く、微発泡のものも。フレッシュで爽やかな酸味があるので、食前にも食中にもぴったりです。

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袴田:赤ワインも豊富な土地柄です。スペインを代表するワインの産地リオハは、バスク州、ナバーラ州、ラ・リオハ州の3州にまたがっており、3つの地区にわかれています。バスク州が属する地区はリオハ・アラベサと呼ばれ、色が濃く、香り豊かなワインが生産されます。当然郷土愛の強いバスク州で飲まれる赤ワインは、リオハ・アラベサ産がメイン(笑)。リンゴの発泡酒(シドラ)もメジャーですね。観光地をめぐるだけでなく、地元の人と並んでワインを片手にバルのカウンターで過ごすというのもバスクらしい旅のスタイル。この雰囲気に惹かれてリピーターになる方も多いんですよ。

なるほど、ぜひバスクのバルでワインと美味しいお料理を頂きたいですね。本日はありがとうございました。

ワイナリーのデザインも革新的な、リオハを代表するワイナリー

そんなリオハ・アラベサ地域を代表するワイナリーが1858年にリオハ・アラベサのエルシエゴ村で創設された「マルケス・デ・リスカル 」です。スペイン王室御用達であり、偉大な芸術家 サルバドール・ダリにも愛された 高品質なワインの造り手として広く知られています。歴史あるワイナリーですが、日々最新の技術を取り入れ、エレガントさ、フレッシュさなどをもつ様々なワインを生産しています。

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またワイナリーの敷地内にある5つ星ホテルは、なんと建築界の巨匠フランク・ゲーリー氏が手掛けたもの。広大なリオハのブドウ畑のなかで異彩を放つ最高級ホテルは、世界中のワイン愛好家、建築好きを魅了しています。

そんなスペインを代表するワイナリーのおすすめ3本を紹介します。

 

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マルケス・デ・リスカル 

ティント・レセルバ 
参考小売価格:税抜2,700円

リオハを代表するブドウ、テンプラニーリョとグラシアノをブレンドし、熟成を経たエレガントな赤ワイン。ドライフルーツのような凝縮感、バニラのような甘さやスパイス香が漂います。

 

 

 

G467マルケス・デ・アリエンソG01外観

マルケス・デ・リスカル

マルケス・デ・アリエンソ
参考小売価格:税抜1,600円

ステンレスタンクで発酵後、アメリカン・オーク樽で18ヶ月熟成させた赤ワイン。樽熟成からもたらされるヴァニラやココナッツのアロマが特長です。

 

 

 

TP64MRオーガニック ブランコ・ソーヴィニヨンG01外観

マルケス・デ・リスカル

オーガニック ブランコ ソーヴィニヨン
参考小売価格:税抜2,008円

有機栽培のソーヴィニヨン・ブラン種を使用した白ワイン。真珠のような麦わら色と、コクのある飲み口が特長で、力強い味わいが楽しめます。

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。