TRIP

世界のワイナリーを巡る旅 vol.2
スペイン・リオハのトップワイナリー、マルケス・デ・リスカル

旅先でのワイナリー訪問は、ワインを通してその土地の自然や歴史を知る貴重な体験。今や旅のオプションのひとつとして定着しています。今回紹介するのは、スペイン北部のリオハで約165年の歴史をもつ老舗ワイナリー、マルケス・デ・リスカル社。王室御用達のワイナリーは、ワイン好きはもちろん、建築マニアも訪れる注目スポットでした!

text WINE OPENER編集部

世界のワイナリー_02

ブドウ畑の中に現れるアバンギャルドなワイナリーホテル

マルケス・デ・リスカルがあるリオハは、スペインを代表するワインの産地。ピレネー山脈の麓に広がる穏やかな気候に恵まれた地域です。ラ・リオハ州を横断するエブロ川流域に、リオハ・アルタ、リオハ・アラベサ、リオハ・オリエンタルという3つの地区があり、地区によって土壌や気候が少しずつ異なるのが特長です。

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リオハはワインツーリズムが盛んなことで知られ、約600軒のワイナリーのうち80軒以上が見学やテイスティングなどを受け入れているワイナリー巡りの聖地。マルケス・デ・リスカルも早くからワインツーリズムに積極的に取り組んでおり、スペイントップクラスの知名度と人気を誇っています。

その象徴ともいえるのが、広大なワイナリーの敷地に建つ5つ星のホテル「ホテル・マルケス・デ・リスカル ア・ラグジュアリー・コレクション・ホテル」。リボンのように波打つスチールとチタンの屋根で覆われた建物は、光の加減によってブドウを思わせる赤紫や青紫に輝き、周囲に広がるブドウ畑のなかで際立つアートです。

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前衛的なデザインのホテル建築を手がけたのは、カナダ・トロント出身の建築家、フランク・O・ゲーリー氏。同じくスペインのバスク州ビルバオに立つグッゲンハイム美術館など、世界的に評価の高い建物を手掛けている建築界の巨匠です。

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2006年にオープンしたホテルは、マリオットグループの高級カテゴリー、ラグジュアリー・コレクションのひとつに数えられています。客室数は61室で、どの部屋も窓の外にブドウ畑が広がる居心地のいい空間。どこまでも続くブドウ畑を自転車で散策したり、ワイナリーツアーに参加したり、ブドウ配合のスクラブなどを使うスパトリートメントで癒されたりと、ワイナリーホテルならではの体験ができます。

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ワイナリー併設のホテルでは、ブドウが育った場所で、その土地の食事とワインのマリアージュを楽しみたいもの。ホテル内にはミシュランの星を獲得した有名シェフ、フランシス・パニエゴ氏が率いる「レストラン・マルケス・デ・リスカル」があり、リオハの伝統料理をワインと共に味わえます。ほかにも3軒のレストランとワインバーがあり宿泊客以外でも利用が可能。ランチとディナーの営業なので、ワイナリー見学の前後にレストランで食事を楽しむというのもいいでしょう。

ワイナリーの哲学を肌で感じられるツアー

マルケス・デ・リスカルでは、自社のワインを深く知ってもらうために3種類のワイナリーツアーを用意しています。どのツアーもまずは創業当初の建築が残るワイナリーとワイン畑を見学します。広大なブドウ畑を散策すると、遠くに見えるのは石造りの教会。歩くだけで気持ちがいい!

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マルケス・デ・リスカルがあるリオハ・アラベサ地区は、粘土質と石灰岩の土壌で、テンプラニーリョ種のブドウを栽培するには最適。芳醇でエレガントな赤ワインが造られています。 ブドウ畑に面した古い建物がワインの醸造所。発酵・熟成中のワイン樽が連なる貯蔵庫を見学したり、最先端のワイン製造工程について学んだりと好奇心が刺激されます。

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ワインの知識を深めた後は白1種、赤2種のワインをテイスティング。ソーセージなどの軽いつまみと一緒にワインを楽しむ至福の時間です。 3種類のワイナリーツアーの概要は以下の通り。

・プラン1…一人22ユーロ

ワイナリーとブドウ畑を見学した後「ブランコ」「マルケス・デ・アリエンソ」「ティント レセルバ」を試飲します。リオハ産のチョリソとソーセージ付き。所要時間は1時間30分。このプランは子供も参加でき、11~17歳は11ユーロ、10歳以下は無料です。

・プラン2…一人36ユーロ

ワイナリーとブドウ畑を見学した後「フィンカ・モンティコ(※)」「フィンカ・トレア(※)」「グラン・レセルバ」を試飲します。リオハ産のチョリソとソーセージ付き。所要時間は1時間45分。

・プラン3…一人50ユーロ

ワイナリーとブドウ畑を見学した後「ブランコ・レセルバ・リムザン」「XR・デ・マルケス・デ・リスカル(※)」「バロン・デ・チレル」を試飲します。チーズとチョリソ、イベリコ豚のハム付き。所要時間は1時間45分。

 

※:「フィンカ・モンティコ」「フィンカ・トレア」「XR・デ・マルケス・デ・リスカル」はサッポロビールでの取り扱いはありません。

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ワイナリーツアーはホームページ(外部サイトにリンクします)から予約。参加したいツアーと人数、日程を選ぶと、その日に開催されるツアーが表示されます。時間と言語(スペイン語か英語)を選んだら、必要事項を記入してクレジットカードで支払い予約完了です。

ワイナリーツアーに最適なシーズンはいつ?

ワイナリーのスタッフによると、ワイナリーツアーに最適なのは気候が安定し過ごしやすい3月~5月と9~10月とのこと。3~5月は新緑が美しく、9~10月は収穫期の華やかな雰囲気。ワイナリー訪問を考えているなら、この時期が狙い目ですね。

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9月にはリオハの州都ログローニョで、ブドウの収穫祭「サン・マテオの祭り」が開催され、さまざまなイベントで盛り上がるので、それに合わせて旅行を計画するのもいいでしょう。

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マルケス・デ・リスカルへはどうやって行く?

マルケス・デ・リスカルがあるのは、石造りの建物が並ぶエルシエゴという小さな村。ノスタルジックな町並みが魅力なのですが、アクセスはあまりよくなく、空港があるビルバオから車で1時間ほどかかります。現地旅行会社のワイナリーツアーやプライベートツアーに参加するのが楽ですが、ホテルに宿泊するなら送迎をお願いすることもできます。

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海外での運転に慣れているならレンタカーで訪れるのも楽しいもの。ただし日帰りの場合はワインのテイスティングができないので宿泊者向けです。 時間があるなら、ログローニョの町までバスで行き、そこからタクシーを利用するのが一般的。ログローニョからマルケス・デ・リスカルまでは車で約20分です。 山あいの道路を走り、気づくと周囲は一面、緑に覆われたブドウ畑。そしてマルケス・デ・リスカルのアバンギャルドなホテルが見えてくる…心躍るようなワイナリー訪問を体験してください。

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編集部おすすめ!マルケス・デ・リスカルのワイン

今すぐリオハへ!というわけにはいかないので、まずは日本でもスペイン気分を味わえる、マルケス・デ・リスカルを代表する赤と白のワインをご紹介します。

マルケス・デ・リスカル
ティント レセルバ 
参考小売価格:税抜2,700円

時代を超えて愛されてきたリオハを象徴するワイン。アメリカンオーク樽で長期熟成させたバニラを思わせる香りの中に、ドライフルーツのようなアロマも感じられます。濃密な果実味とほどよい酸味のバランスがよく、しっかりとしたタンニンのボリューム感も魅力。ドライいちじくのようなエレガントな余韻が長く続きます。

 

 

 

マルケス・デ・リスカル
ブランコ・レセルバ・リムザン
参考小売価格:税抜2,100円

リオハの西にあるルエダで栽培されたヴェルデホ種100%の白ワイン。フランス産のオーク樽で発酵させた後、澱とともに熟成させたまろやな香りと複雑なテクスチャーが特長です。砂丘の多い土壌のためエキスの多い濃厚なワインになっています。フローラルの香りが爽やかな飲み口のある1本です。

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。