同じ産地や醸造年、ワイナリーでも、ワインの値段に違いがあるのって不思議ですよね。
生産量の少ないワインは何となく高額になる理由は分かるけれど、それ以外の基準って何なの?と疑問に思う方も多いはず。
ここでは、ワインの値段の違いがどのように決められているのかを解説します!
ワインの値段はどうやって決まる?
ワインの値段に違いがある理由は、1つではありません。ワインの値段を決める要素は、以下のように複数あげられます。
・ブランド
・原料となるブドウ
・ワインの製造方法
・生産量
もちろん、ワイナリーが長年努力して築き上げてきたブランドも値段を決める要因ですが、それだけではありません。スペインのマルケス・デ・リスカル社のように、王室御用達の歴史あるワイナリーながら、リーズナブルなワインも取り扱うところも珍しくないのです。
たとえば、ワインにそれほど詳しくない方でも知っている、シャンパーニュ。厳しい条件と管理のもと世に出されるシャンパーニュは、ブランド化の成功例の最たるもので、同じ製法による他のスパークリングワインと比べると、高い価格で販売されています。
原料となるブドウや製造方法といった直接的な要素も、大きくワインの価値を左右させます。
ブドウについての重要なポイントは、いくつかあります。まず1つめは、ブドウの木1本から収穫できるブドウの量(収量)です。実を間引いたブドウの木は、一粒一粒に栄養がしっかり行きわたり、味や香りが凝縮したブドウが実りますが、実が成り放題になっている木は、味や香りが薄れます。
ブドウの樹齢も値段を決めるポイントになります。若い樹齢のブドウの樹よりも樹齢が高いブドウの樹の方が、品質が安定すると言われています。一方で収量は減っていきますし、希少性も増すので高価になります。ヴィエイユ・ヴィーニュ(Vieille Vignes)や古木と表現されることが多いので、チェックしてみてください。ただし樹齢何年からを古木と表現するかはワイナリーによって異なります。
ブドウについての他のポイントとしては、栽培地がどれくらい特定できるかということもあります。出自が明らかかどうかということです。例えばお米でも、ざっくりと日本産なのか、新潟県産なのか、魚沼市産なのかで値段が変化しますよね。ワインも同じように、EU産なのか、フランス産なのか、ブルゴーニュ産なのかで値段が変わります。さらに細かく村や畑まで特定されると、値段は高くなっていくというわけです。
製造方法では、収穫方法ひとつとっても軽視できません。手摘みで実を傷つけないように収穫するか、収穫したブドウのうち良いものだけを人の目で選定するか、すぐに仕込みに入れるかなども大事なポイントです。
その後も、ステンレスタンクを使うか、樽を使うか。樽のサイズは大きいか小さいか。樽でも新樽を多く使えばその分コストが上がって最終的な値段に反映されます。機械化されているか人力によるところが多いか。熟成期間をどれくらいとるか。特別なひと手間をかけるか。温度管理をどこまでするか。実に様々な要因でワインの値段が決まっていきます。
そして、手間暇をかけたワインほど生産量も限定され、値段が高くなる傾向にあります。
値段が高いワインほど美味しいって本当?
値段が高いワインのポイントに当てはまるのが、当たり年のヴィンテージワインで長期熟成されたものです。
数も少なくて、長期熟成で味わいに深みが出た当たり年のヴィンテージワインは高額ですが、実は値段が高く熟成期間が長ければ美味しいワイン、とも断言できないのです。
ワインには大きく分けて長期熟成に適したものと、早飲みに適したものがあります。醸造してから早いうちに飲んでしまうほうが美味しいワインは、長期熟成するとかえって美味しくなくなってしまいます!
また、長期熟成に適したものにも「ピーク」があるので、あまりに長く熟成させすぎるのは禁物。
長期熟成タイプのピークは、赤ワインで30年前後まで、白ワインで25年前後までを目安にすると良いでしょう。50年熟成に耐えられる貴腐ワインもありますが、基本的には30年や25年が目安です。
当たり年のヴィンテージワインは年々売れていくため、長期熟成と希少性が増していき、価格も高くなっていきます。
しかし長期熟成すると、ワインのクセ(渋みや香り)が出てくるので、万人受けするわけではありません。人によっては魅力的な味わいのクセも、ワインを普段飲まない方からすると、「うーん、ちょっと合わないかな?」と思われることも。
このような理由から、「値段の高いワインだから美味しい!」といえるものとは限らないことが分かります。
また、2019年にすでに発効された経済連携協定(EPA)の関税を撤廃・削減する対象のひとつにワインがあり、欧州ワインはその恩恵を受けて価格が低くなったものもあります。これまでのワインの品質はそのままに、手頃な価格で購入できるようになった欧州ワインをぜひ見つけてみてください。
日本でのワイン輸入量第1位のチリについても、2007年に締結された日本とチリのEPA(経済連携協定)によって、輸入関税が低くなっています。さらにチリは環境や土壌が良質なブドウ栽培に適していて、かつ人件費を安く抑えられるなど、良質なワインを低コストで生産できる地域である点も要チェック。
豊かな土壌で良質なブドウが採れれば安定した供給にもつながるため、1,000円以内の価格のワインでも美味しいものが見つかります。
値段の違いを試せるおすすめワインはこちら
同じワイナリーでも、ブドウの産地や手間のかけ方、熟成方法などでワインの値段に違いが生まれるのは珍しくありません。
値段の違いによる味の違いを知るには、同じワイナリーで醸造された同じ品種のブドウが使われているワイン同士がおすすめ!ぜひ試してみてください。
たとえば、手頃な価格と親しみやすい味わいで人気のサンタ・リタ社のワインは、同じブドウ品種でも、1,200円や8,000円と複数の価格で売られています。
ここではカベルネ・ソーヴィニヨン種の赤ワインを例に比較してみましょう。値段が高いものから順に紹介していきます。
・カーサ・レアル・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜8,000円)
樹齢50年をこえる古木もあるマイポヴァレーの自社畑、かつ単一畑の
カベルネ・ソーヴィニヨン種のみを100%使用しています。
手摘み収穫を行い、品質が優れた年のみ製造という徹底したこだわりの
プレミアムワインです。フレンチ・オーク樽で16か月熟成され、
果実の甘味と程よい酸味のバランスがうまくとれており、
上品な味わいを堪能できます。
・メダヤ・レアル・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜2,500円)
マイポヴァレーのサンタ・リタ社自社単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンのみを果実の完熟を待ち、丹念に手摘みされた葡萄を使用しています。光沢感のあるルビーレッドの色に思わず魅了されてしまいます。
フレンチ・オーク樽で12~14ヶ月間熟成されたため、赤や黒系の果実、メンソール、バニラなど、芳醇な香りがバランスよく醸し出され、飲んだ後もしばらく深い味わいを
楽しめます。
・レセルバ・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜1,800円)
自社畑のブドウのみを使用したワイン。
プラムの完熟した濃厚な香りやハーブやバニラの爽やかな香りが混ざり合い、見事な調和を生み出しています。
ほのかな渋みとなめらかな口当たりが特長的です。
・120(シェント・ベインテ)カベルネ・ソーヴィニヨン
(参考小売価格:税抜1,200円)
ワイナリーの旗艦ブランドなので、サンタ・リタ社を知るにはぜひ味わってほしいワインです!
お手頃価格でありながら、完熟した果実や凝縮されたプラムの味わいを楽しめます。アンデス山脈の麓にある畑から収穫されたカベルネ・ソーヴィニヨンが使用されています。
・スリーメダルズ カベルネ・ソーヴィニヨン(オープン価格)
品種特有ののスパイシーな香りが活かされた赤ワイン。
赤系・黒系の果実のアロマのバランスが良く、タンニンが穏やかであるため、フルーティーでみずみずしい味わいを感じられます。
カジュアルな食卓のお供としてどうぞ。
同じブドウ品種でもこのようにバリエーション豊富です。高価なワインにはそれなりの理由がありますが、リーズナブルなものでも満足させてくれる美味しさです。ワインを楽しむシチュエーションに合わせて選べるようになるといいですね。
次に、アメリカのカリフォルニア州で活躍するワイナリー、ベリンジャーの豊富なラインナップもチェックしていきましょう。赤ワインも魅力的なワイナリーですが、今回は白ワインにスポットライトを当てます。土地や醸造家の特徴が顕著に出るブドウ、シャルドネ種を使った以下のワインはいかがでしょうか。
・プライベート・リザーブ・シャルドネ(参考小売価格:税抜6,500円)
選び抜かれた区画から手摘みされたシャルドネ種のブドウは、区画ごとに別々に醸造、熟成されます。8ヶ月程度の熟成後、最終的に選ばれたものだけがブレンドされます。卓越したブレンド技術でつくりあげたベリンジャーのトップワインです。
アロマやブーケの風味が複雑に重なり合った白ワイン。
アップルパイやレモンの皮を彷彿とさせる香りが特長的ですが、
口に含むとバタースコッチやバニラのような香りに変わります。
・ナパ・ヴァレー・シャルドネ(参考小売価格:税抜3,200円)
カリフォルニア北部のナパ・ヴァレーのブドウのみを使い、その特徴を最大限に活かして造られたワイン。
ブドウは早朝に収穫され、やさしく圧搾。ステンレスタンクとフレンチ・オーク樽で醸造し、瓶詰前に6か月熟成。ブドウ畑の中でも優良な品種で造れられた“シャルドネのベリンジャー”という名声を引き継ぐワインです。
フレンチ・オーク樽で熟成されたブドウの香りに、トロピカルフルーツや青リンゴ、シトラスの風味が加わり、芳醇でクリーミーな味わいに仕上がっています。
・ファウンダース・エステート・シャルドネ(参考小売価格:税抜2,000円)
ファウンダース・エステートのシリーズは、ベリンジャーのハウスワインスタイルともいえるシリーズです。シャルドネの栽培に適した地区の畑のブドウを
十分に熟成したタイミングで収穫します。
フレンチ・オーク樽で4か月間熟成。
深みのある香りと共に、膨らみのある味わいに仕上げます。
リンゴや洋梨の豊かな香りとトロピカルなフレーバーが調和し、新鮮でありながら濃厚な味わいを生み出しています。
・カリフォルニア・シャルドネ(参考小売価格:税抜1,200円)
カリフォルニアシリーズは、名門ベリンジャーのカジュアルレンジです。日本人の味覚調査を実施し、味の設計に反映させるなどこだわりを持って発売された商品です。
熟したフルーツのフレーバーをワインに最適に表現できる一番のタイミングで収穫したブドウから造られます。発酵後にステンレスタンク熟成。冷却処理を施して製造します。爽やかな果実の味わいが引き出されています。洋梨や桃のようなフルーティーな香りが口に広がり、スッキリとした飲み口を味わえます。
ベリンジャーのトップワインであるプライベート・リザーブ・シャルドネは、有名なワイン専門誌2誌でいずれも100点満点中93点の評価を得ています。
ワイナリーの特性を知りたいなら、ベリンジャーのハウススタイルに位置付けられているファウンダース・エステート・シャルドネとの飲み比べがおすすめです。
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。
まとめ
ワインの値段の違いは、ブランドの知名度、生産量、ブドウによるものだけではありません。収穫が手摘みか機械なのか、ステンレスタンクか樽熟成なのかといった製造方法も重要な要素です。
注意点は、高い値段のワインほど美味しいとは限らないこと。人によって好みの違いもあるので、値段だけを参考にせず、いろいろ試して好みの味を見つけてみてください。
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