ワインショップなどにいくと見かけることがある「新世界ワイン」や「ニューワールドワイン」という表記。『なんのことだろう?』と気になる人も多いのではないでしょうか?
ここでは、ワイン初心者の方のために新世界ワインとはなんなのか、また代表的な新世界ワインにはどんなものがあるのか詳しく解説していきたいと思います!
新世界(ニューワールド)ワインとは?
ワイン生産の歴史が新しい生産国が「新世界(ニューワールド)」と呼ばれています。新世界のワイン産地国としては、アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、南アフリカ、カナダ、そして日本があります。
新世界に対してワインの歴史が古い生産国は「旧世界(オールドワールド)」と呼ばれています。旧世界として分類される産地国はフランス、イタリア、スペイン、ドイツなどです。
新世界ワインには、旧世界のワインと比べて価格が比較的安いものが多いという特長があります。また、果実味が豊かで香りや味わいがしっかりしているワインが多いこと、そしてアルコール度数がやや高めということも新世界ワインの特長となっています。
2015年には初めてチリ産のワインの輸入量がフランスのワインの輸入量を抜いて日本国内市場トップになりました。
2015年以降もチリ産のワインが輸入量でトップをキープしていますので、今後は新世界ワインを目にする機会がますます増えていくことでしょう。
新世界(ニューワールド)日本産ワインの特長
・歴史
国産ブドウが原料の果実酒が「日本ワイン」と呼ばれます。その日本ワインが本格的に造られるようになったのは、今から約140年前の明治の始め。
1874年に山田宥教(のりひろ)と詫間憲久(のりひさ)が甲府で初めて本格的にワイン造りをはじめました。そして、明治政府主導で、山梨県をはじめ、北海道、山形県、茨城県、神奈川県などでブドウ栽培とワインの試験醸造が始まります。
1877年には、その年にフランスに留学してワイン醸造法を習得した土屋龍憲(たつのり)と高野 正誠(たかの まさなり)が帰国し、初の民間ワイナリーを設立しました。ですから新世界ワインの中でも歴史は浅い方といえます。
とはいえ、ワイン造りの技術が上がってきているのは事実。2003年からは国内のワインを対象にしたワインコンクールが開催されるようになり品質の向上に貢献しています。
さらに、近年では海外のコンクールで金賞を受賞するワインも出てきていて、世界的にも日本ワインに対する関心が高まっています。
・産地
北海道から九州まで全国でワインの生産が行なわれていますが、日本ワインの主な産地として知られているのは山梨・長野・北海道・山形・岩手・新潟です。
ワイナリーの数としては、山梨県が特に多く、全ワイナリーの約3割ほどが集中しています。最近では長野県と北海道のワイナリーの数も大きく伸びていて、注目の産地です。
日本ワインを造っているワイナリーの数としては、山梨県:77社、長野県:32軒、北海道28軒、山形県:12軒、新潟県:9軒、大阪府:6軒となっています。(国税庁「国内製造ワインの概況2015年調査分」より)
・品種
赤ワインに用いられる主なブドウ品種はマスカット・ベリーA、コンコード、メルロー、キャンベル・アーリーなどです。日本固有のブドウ品種としてはマスカット・ベリーAの他にブラック・クイーン、ヤマブドウなどがあります。
白ワインに用いられる主なブドウ品種には甲州、ナイアガラ、デラウェア、シャルドネなどです。この中で甲州が日本固有のブドウ品種となります。
・味わい
新世界ワインのひとつ日本ワインの味わいの特長は、一言でいえば「繊細さ」です。赤・白いずれもフルーティーな香りと甘味があり飲みやすいという評価を得ています。
新世界(ニューワールド)アメリカ産ワインの特長
・歴史
18世紀にスペイン人宣教師によって最初のブドウ畑とワイン醸造所がカリフォルニアに造られたのがアメリカワインの始まりとなります。
1920年から国家禁酒法が施行されたためワイン産業も大きな影響を受けましたが、1933年に禁酒法が廃止されて以降は再びワイン造りが活発に行なわれるようになってきました。
・産地
アメリカワインの主な産地はカリフォルニアで、実に国内ワイン生産量の約9割を占めています。カリフォルニア州の北部に位置するナパ・ヴァレーには、世界的に有名な高級ワイン「オーパス・ワン」のワイナリーがあります。
とはいえ、「カリフォルニアワイン=高級ワイン」というわけではなく、太平洋沿岸では中級クラスのワイン、内陸部のセントラル・ヴァレーではテーブルワインも多く生産されています。
・品種
赤ワインに用いられる主なブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、メルロー、シラー、ピノ・ノワールなどがあります。白ワインに用いられる主なブドウ品種はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブラン、フレンチ・コロンバールなどです。
・味わい
新世界ワインのひとつアメリカワインの味わいの特長は、アルコール度数が高い濃縮された赤ワインが多いこと、そしてフランスのボルドーの味わいに近いワインが多いということです。
白ワインはオーク樽での熟成感がある、まろやかなものが比較的多いです。
「新世界(ニューワールド)チリ産ワインの特長
・歴史
新世界のワイン産地国の中でワイン造りの歴史が中国に次いで古いのがチリといわれています。
16世紀半ばにスペインの征服者や宣教師によってブドウ栽培が始まり、19世紀後半にワイン醸造の専門家がチリに渡ってきたことによりワイン産業がさらに発展していきました。
・産地
チリワインの生産地は国土の中央に位置するエリアに南北1,400kmにわたって広がっています。アコンカグアヴァレーやセントラル・ヴァレーといった中部エリアには、日本にも輸出されるカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインが盛んに生産されています。
・品種
赤ワインに用いられる主なブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンで、全体の45%強を占めています。他の品種としてはメルロー、カルメネール、シラーなどがあります。
白ワインに用いられるブドウ品種にはソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、セミヨン、ペドロ・ヒメネスなど数多くの品種があります。
・味わい
チリの赤ワインの味わいの特長は、タンニンがふくよかで果実味がしっかりしているところです。白ワインは柑橘やトロピカルなフレーバーが感じられるものが多くなっています。
まとめ
以上、ワインについて語る上で欠かせない「新世界ワイン」について解説しました。ワイン生産の歴史が新しい「新世界」に分類される国がどこなのか理解していただけたのではないでしょうか?
また日本、アメリカ、チリ、それぞれの新世界ワインの歴史・産地・品種・味わいについてもお伝えしましたので、ワインを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
旧世界のワインと比べて歴史は浅い新世界ワインですが、世界的に高く評価されているワインもたくさんあります。ぜひいろんな国の新世界ワインを飲み比べてみてくださいね!
◆リンク
サッポロビールが提供する、「新世界」日本のワイン
http://www.sapporobeer.jp/wine/winery/japan/grande_polaire/index.html
サッポロビールが提供する、「新世界」アメリカのワイン
http://www.sapporobeer.jp/wine/winery/america/index.html
サッポロビールが提供する、「新世界」チリのワイン
http://www.sapporobeer.jp/wine/winery/chile/index.html