CULTURE

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

歴史あるワインはヨーロッパだけのもの!と思っていませんか?実は、南アフリカのワインもなかなかに歴史深いものなのです。新世界(ニューワールド)を牽引する南アフリカワインについて、その魅力を歴史や産地ごとの特長など、あらゆる面からご紹介します。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

 

南アフリカワインの歴史

南アフリカでワインが造られるようになったのは、今から350年ほど前のこと。まさに大航海時代のまっただ中といえる1652年。オランダ商館(オランダ東インド会社)の医師であるヤン・ファン・リーベックにより、南アフリカの開拓が始まりました。

オランダによる植民地支配が行われた南アフリカで、アジア貿易の中継点として最適な地、ケープタウンを中心に開拓は始まります。オランダ政府の指示により現地で指揮をとったのは、オランダ東インド会社の初代現地法人代表を務めたヤン・ファン・リーベックです。

1655年には、南アフリカが地中海性気候となっていることからブドウ栽培が始まり、ワインを醸造してはフランスへ輸出する事業が盛んに行われるようになりました。

ヤン・ファン・リーベックとオランダ東インド会社によって始められたワイン造りは、やがて1680~1690年ごろにフランス・ユグノー派の人々がさらなる発展を促しました。これらの事情により、当時の南アフリカはオランダ人をはじめとした白人の比率が高くなっています。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

1975年には、イギリスによる植民地化が始まります。オランダから奪い取る形で、1815年には正式なイギリス領のひとつと認定されました。既にワイン造りが盛んであったケープタウン産を中心に、南アフリカのワインをイギリス人が口にする機会が増えました。

しかし、イギリスの酒税法でワインに対する関税が撤廃されると、イギリスの人々はフランスワインを求めるようになります。同時期に南アフリカではフィロキセラによる害虫被害が深刻化したことから、イギリスへのワイン輸出量低下とともに、国内でのワイン生産量が一時的に減少しました。

その後は建て直し、1925年には、南アフリカの独自品種、『ピノタージュ』が誕生。さらに50年弱経った1973年には、WO(ワイン・オブ・オリジン)という原産地呼称が制定されました。

南アフリカのワインは1990年代になると、民主化が進んだことにより、国際的な地位を確立していくようになります。

南アフリカワインの産地と品種

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

ここでは、南アフリカワインの産地や主に栽培されているブドウ品種についてご紹介します。

産地

南アフリカのワインは5つの州(西ケープ州、北ケープ州、東ケープ州、クワズル・ナタール州、リンポポ州)で生産されています。州自体の面積は北ケープ州が圧倒的なのですが、ワイン産業の中心地は西ケープ州。その9割が集中しています。西ケープ州にはかつてのフランス系移民が多く移住したフランシュック地区があり、フランスのワイン文化と触れ合う機会が多かったことも影響しているのでしょう。

西ケープ州にある5つの地域が主要な産地です。

・沿岸地域
・ブレード・リヴァー・ヴァレー地域
・ケープ・サウス・コースト地域
・クレイン・カルー地域
・オリファンツ・リヴァー地域

全体的に、気候は穏やかな地中海性気候となっており、春から夏にかけて乾燥した風が吹くのが特徴です。この風は南東から吹いており、『ケープ・ドクター』の名で知られています。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

地域別で見ると、沿岸地域はコンスタンシア、パール、ステレンボッシュ、ダーバンビル、スワートランド、タルバグあたりです。南アフリカで最も冷涼なコンスタンシアは、ケープ地方のワイン発祥地でもあります。対してパールは暖かく、酒精強化ワインも多く造られています。

ケープ地方を代表する銘柄を生産しているのは、ステレンボッシュです。ワイン生産のための教育機関・研究所を有しており、中心地ともいえる地域です。ダーバンビルは斜面にブドウ畑を作る生産者が多く、さまざまな土壌や海風などの影響で品質の高いブドウが良く育ちます。

スワートランドやタルバグは株仕立ての整枝方法をとる畑が多かったのですが、近年は垣根式が増え、品質管理の向上を目指している地域です。酒精強化ワインやフルボディのワインが多いのが魅力で、赤ワイン・白ワインともに高評価を得ています。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

これら沿岸地域に共通するのは、白ワイン系のブドウ品種が多く栽培されている点です。しかし、パールやスワートランドのように、赤ワイン系のブドウ品種も多く栽培している地域もあり、土壌がまったく異なるため、さまざまなワインを楽しむことができます。

ブレード・リヴァー・ヴァレーは昼夜の寒暖差が大きく、乾燥した空気のためブドウ栽培に非常に適した地域です。石灰質土壌で、もとはシャルドネ種の産地として盛んでしたが、近年はシラーズやカベルネソーヴィニョンなど、その他のブドウ品種も手掛けています。

ケープ・サウス・コースト地域は、冷涼な環境に恵まれており、数々のメダル受賞ワインを産出している優秀なワイン産地のひとつです。シャルドネ、リースリング、ソーヴィニョンブランなど白ワイン用のブドウが多く栽培されている他、赤ワインの代表的品種であるピノ・ノワール、シラーズの栽培も盛んです。

クレイン・カルー地域は、甘口ワインの生産が多い地域です。マスカット品種の栽培が多い一方、ティンタバロッカやトゥリガナショナル、メルローなども多く見ることができます。優秀な赤ワイン産地として名をあげている他、実は世界的に高評価なブランデー産地としても有名です。

オリファンツ・リヴァー地域は、比較的暖かい地域で、高品質ながらリーズナブルな価格のワインが多く生産されています。境界部分に位置する標高の高いセダバーグ地区は冷涼なエリアですが、同様に高品質のワインが造られています。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

これら4つのワイン産地の恵まれた環境は、南アフリカの位置でも証明されています。緯度で見ると、南アフリカもワインベルトに入っているため、ワイン造りに最適な環境といえるのです。

ワインベルトとはブドウ栽培やワイン醸造に適した緯度のことで、北緯30~50°と、南緯20~40°の2本存在します。

北緯はフランスやイタリアなどヨーロッパ諸国が代表的ですが、日本もワインベルトに入っているのをご存知でしょうか。対して南緯は南アフリカの他、チリ、アルゼンチン、ニュージーランド、オーストラリアがワインベルト上に点在しています。

ブドウ品種

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

広大な南アフリカで栽培されているワイン用ブドウの品種は、以下のとおりです。栽培面積は約10万haにもおよび、傾向としては、白ブドウ(約55%)と赤ブドウ(約45%)で、若干白ブドウの栽培が多いようです。

<白>
・シュナン・ブラン種・・・南アフリカで最も栽培面積が広い品種
・コロンバール種・・・ブランデーの原料として使われることが多い品種
・ソーヴィニヨン・ブラン種・・・栽培面積はシュナン・ブランの約半分ながら、アフリカの得意品種となりつつある
・シャルドネ種・・・産地によって印象を変えるニュートラルな品種

現在はシュナン・ブラン種が最も広大な栽培面積を誇っていますが、近年減少傾向にあります。とはいえ、いまもなお世界最大級のシュナン・ブラン種栽培地が広がっているのも事実です。

<赤>
・カベルネ・ソーヴィニヨン種・・・ワイン産業で重要な位置づけの品種のひとつ
・シラーズ種・・・カベルネ・ソーヴィニヨン種とともに南アフリカで広大な栽培面積を誇る品種
・ピノタージュ種・・・ピノ・ノワール種とサンソー種の交配によって生まれた独自品種
・メルロ種・・・フランスのボルドーを原産地とする品種

赤ワイン用のブドウでは、カベルネ・ソーヴィニヨン種とシラーズ種が南アフリカでの栽培面積2トップです。ピノタージュ種やメルロ種はそれぞれの約半分程度ですが、ピノタージュ種は独自品種という明確な特長を持っています。

カベルネ・ソーヴィニヨン種は赤ワインの中でも有名な品種なので、様々な国のワインと南アフリカのワインで飲み比べてみて、味の違いを知ってみるのも面白いですね♪

カベルネ・ソーヴィニヨン種のワインで、国ごとの特長について知りたい方は「赤ワインの代表格「カベルネ・ソーヴィニヨン」の魅力」をご覧ください!

南アフリカワインの特長

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

南アフリカワインの魅力を語るうえで欠かせない要素をまとめてみました。ヨーロッパほどではないながらも、350年という、決して短くない歴史を紡いできた南アフリカのワインの特長をご紹介します。

自然に優しいワイン

南アフリカのワイン産業の中心地であるケープ地区は、ケープ植物区保護地域群という世界自然遺産を有しています。実は、ケープ地区のワインはこの保護区内に産地を持つものが多いのです!

・IPWが設けられている
・品質保証と持続可能シール導入

加えて、重要なのはこの2つのポイント。

環境に配慮したワイン生産のガイドライン『IPW』が設けられており、農薬や添加物を微量に抑えたり、水源やリサイクルにも配慮したりしています。人にも環境にも優しいワイン造りが、世界的に認められているのです。

2010年に制定された『品質保証と持続可能シール』の制度によって、品質管理も一定レベルを維持。ボトル一本一本の生産者や瓶詰め日について知ることができます。

ワインの評価

南アフリカのワイナリーは、現在約600軒。2014年には、生産量で世界7位にまで増加しました。イギリス・ドイツ・ロシア・スウェーデン・アメリカなど世界各地へ輸出されており、イギリスでは生産国別の販売量が4位になったそうです。

フランスの「ワールド・ベスト・シラーズ」をはじめ、多くのワインコンテストで最高賞をおさめるなど、南アフリカワインのレベルの高さは世界各地で認められています。

おすすめの南アフリカワイン「ディステル」

ここで、南アフリカのワイナリーを代表する「ディステル」を紹介します。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

ディステルはステレンボッシュ・ファーマーズ・ワイナリー(SFW)とディスティラーズ・コーポレーションの合併により、2000年に創立されたワイナリーです。両社は長きにわたって南アフリカのワイン産業の発展に尽くしてきました。

ディステルの高級ブランドである「プレジール・ド・メール」は、フランスのシャトー・マルゴーのポール・ポンタリエ氏をコンサルタントに招き、同社の理想のワインを実現しました。プレジール・ド・メールのワイン哲学は、“品質はブドウ畑から”。選び抜かれたブドウだけがワイン醸造に使われます。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

ディステルの主力ブランドの一つである「ネダバーグ」は、1791年にオランダ東インド会社総督ネダバーグ将軍がドイツ移民にワイナリー用の土地を提供したことにより、感謝の証として将軍の名前を冠したことが由来となっています。南アフリカのワイナリーの中でも最も受賞歴の数が多いワインとして知られています。

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

ネダバーグは恵まれた気候の中で生産され、ニューワールドの果実味とオールドワールドのエレガンスの要素を持ち合わせていることが特長です。このワインを造るために、ごく少量での醸造と大量生産の両方に適した地下貯蔵庫があり、理想的なロケーションで育ったブドウのみを厳選するのに、さまざまな農園から調達できるキャパシティを備えています。

ディステルは世界中からワインのバイヤーが集結するネバダーグ・オークションを30回以上開催しており、自社製品に限らず、各ワイナリーが自慢の一品を提供し、南アフリカワインの可能性をアピールする場として設けています。

今回はディステルが生産しているおすすめのワインを紹介します。

プレジール・ド・メール

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・プレジール・ド・メール・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜3,900円)

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/C999/index.html

シャトー・マルゴーのポール・ポンタリエ氏がコンサルトとして参画しているワイン。長期熟成でありながら、若いうちでも飲みやすい完熟した果実とソフトなタンニンが特長です。

 

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・プレジール・ド・メール・シャルドネ(参考小売価格:税抜3,900円)

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/MV82/index.html

南アフリカ有数のパール産のブドウを100%使用。フランス産の子樽で熟成することにより、びん熟成に耐えるポテンシャルと、若くても充分に楽しめるフルーティな味わいを持ったワインです。

 

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ネダバーグ

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・ネダバーグ・ピノタージュ(参考小売価格:税抜1,517円)

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/LL42/index.html

ピノ・ノワール種とサンソー種を交配した南アフリカ独特の品種ピノタージュを使用しています。プラムやチェリーといった果実の香りとソフトなタンニンが特長で、優しい味わいの赤ワインです。

 

 

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南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

・ネダバーグ・リリック(シュナン・ブラン使用)(参考小売価格:税抜1,200円)

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/0694/index.html

華やかでトロピカルな香りに、イチジクや青々とした果実を想起させるアロマが特長。果実の旨味と酸味が調和し、口に含んだ瞬間から余韻まで楽しめる辛口のワインです。

 

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南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

・ネダバーグ・キュヴェ・ブリュット(参考小売価格:税抜1,300円)

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/0750/index.html

フリーランジュース(一番果汁)のみを使用し、みずみずしくアロマティックなブドウの香りが魅力的なスパークリングワインです。華やかで生き生きとした泡立ちに、ほのかなブドウの自然な甘さが後味として残ります。

 

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南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

・ネダバーグ・デュエット(参考小売価格:税抜1,200円)

https://www.sapporobeer.jp/product/wine/0693/

飲みやすいミディアムボディですが、木樽での熟成により、果実味とタンニンが絶妙なバランスで感じられる味わいに仕上がっています。プラムやベリーの甘く華やかな香りがジューシーな印象を与えてくれる、後味すっきりの赤ワインです。

 

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ディステルの紹介・商品一覧はこちら
http://www.sapporobeer.jp/wine/winery/southafrica/distell/index.html

 

南アフリカのワインは、優雅さと新鮮な味わいが特長的なので、肉と魚、どのお料理にも相性抜群です!ぜひお好みのワインを見つけて、色んなマリアージュを試してみてください♪

南アフリカのワインに合う料理のコツについては、「ワインのペアリングを覚えると、ワインと料理がさらにおいしくなる!」をご参考ください。

ワインのプロ×旅のプロ 南アフリカワイン「ディステル」試飲会レポート

南アフリカワインの魅力とは?その歴史と特長について

ワインのプロであるサッポロビールと旅のプロである旅工房(https://www.tabikobo.com/)のメンバーで、南アフリカワイン「ディステル」のおすすめアイテムを試飲しました。南アフリカの観光地としての魅力とワイン生産地としての素晴らしさを語りつくしています。

詳しくは、「旅工房×サッポロ 南アフリカワインを試飲してみた!」の記事をご覧ください!

 

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

まとめ

南アフリカのワインは、350年ほどの歴史を持っており、ここ20年の間で世界的な評価もどんどん高くなっています。

国内でもワインの品質を維持するための制度を整えるなど、ワイン文化の発展に積極的。ぜひ、世界各地のコンテストで賞を取り続ける南アフリカのワインを試してみてくださいね。

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