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羊料理のレシピ付き!
レストランでも、お家でも。
日本ワインと羊肉で、心躍る春の食卓を。

ここ数年で、羊肉が随分と身近になりました。ジンギスカン、中華、フレンチやイタリアン……外食ではもちろんのこと、スーパーマーケットや通販でも羊肉が簡単に買えるようになり、家で羊肉を料理して楽しむ人もじわじわと増えています。

春は特に仔羊(ラム)がおいしい季節。さて、どんなワインと合わせるといいでしょうか? 新鮮で高品質な羊肉がジンギスカンで楽しめる人気店「羊SUNRISE」のオーナー・関澤波留人さんに、ワインと羊のおいしい関係についてお話を伺いました。

text WINE OPENER 編集部 photo よねくらりょう

羊料理 ■教える人
関澤波留人(せきざわ・はると)

1982年生まれ。建築関係の会社に勤めていたが、羊肉好きが嵩じて、32歳で飲食業に転身。北海道の人気ジンギスカン専門店に修業に入る。その後、同新橋店の店長に。2016年独立、麻布十番に「羊SUNRISE」を開店。2019年に神楽坂店を開店。2018年、様々な角度からラムの魅力を発信していく「ラムバサダー」に就任。また「プルマントーキョー」福田浩二シェフと「シープフリークス」を結成、羊肉の魅力を積極的に発信している。https://sheepsunrise.jp/sheepfreaks/(外部サイトにリンクします)

今回登場するワイン

①グランポレール
グランポレール 余市 ピノ・ノワール 2018
参考小売価格:税抜4,608円

北海道余市町「弘津ヴィンヤード」産ピノ・ノワール種。すみれやいちごを思わせる華やかなアロマ、柔らかなタンニンと鮮やかな酸味が特長で、ビロードのように滑らかな余韻が楽しめる。淡めの色合いの割に旨味はしっかりあり、醤油などの甘辛い味つけにもよく合う。

 

 

 

グランポレール 安曇野池田 カベルネ・ソーヴィニヨン 2018

②グランポレール
グランポレール 安曇野池田 カベルネ・ソーヴィニヨン 2018
参考小売価格:税抜5,008円

カベルネ・ソーヴィニヨン100%。2018年は雨が少なく日照量に恵まれたため、よく熟したブドウ由来の凝縮感あふれる味わいに。カシス、カカオやコーヒーのようなニュアンスも楽しめる。優しい余韻、醤油っぽさも感じる旨味と出汁感が心地よい。

 

 

 

グランポレール 安曇野池田 シラー 2017

③グランポレール
グランポレール 安曇野池田 シラー 2017
参考小売価格:税抜5,008円

長野県「安曇野池田ヴィンヤード」産、シラー種100%。2017年は熟度が高く、適度に酸味もあるブドウとなった。黒胡椒のようなスパイシーな香り、豊かで滑らかなタンニンが特長。どこか土っぽいニュアンスも感じる、程よいワイルド感が魅力だ。

 

 

「羊人気」が高まっています!

関澤さんのお店「羊SUNRISE」は、ちょっと新しいジンギスカンが楽しめるお店だと伺いました。

関澤波留人さん(以下敬称略、関澤):はい。当店は、羊肉の美味しさをより多くの人に知ってもらいたいと始めたジンギスカンレストランです。チルドで仕入れたフレッシュで薫り高い国内外産の羊肉を、お客様の目の前で職人が焼き上げながら提供するスタイルをとっています。「羊SUNRISE」という店名には、“羊の夜明け”という意味を込めました。羊の歴史や文化、栄養価、つくり手(羊飼い)のことなどを伝えながらベストの焼き加減で食べていただくことで、「硬い」「クセがある」といった羊肉のネガティブな先入観を覆し、ファンを増やしていければと思っています。おかげさまで、2016年に東京で独立開店して以来、2店舗を構えるまでになりました。

羊のどんなところが魅力なのでしょうか。

関澤:羊は人類最古の家畜であり、長い歴史があります。宗教上の規制も受けないので食べられる人も多いし、その分料理の幅も広く自由度も高い。おまけにヘルシーということも手伝って、今、世界中で羊ブームが起こっているんですよ。たとえばアメリカは現在、オーストラリア産の草食飼育の羊を中心に年間約75,000トン(2022年・以下同)も輸入しているし、羊を食べる文化がもともとなかった韓国でも、2012年には約3,000トンだった年間輸入量が、現在では約23,000トンまで増えている。日本の輸入量は現在、15,000トンほどでしょうか。また、まだ全体消費量の1%程度ですが、国産羊の飼育も増えています。

輸入量参照元:MEAT&LIVESTOCK AUSTRALIA

羊の月齢や産地の違いで、合うワインも変わってくる!?

お店のワインのラインナップも充実しているそうですね。

関澤:ドリンクのメニューはソムリエの資格を持つ兄がみています。ワインでは、 やブルゴーニュ、カリフォルニア産を始め、扱う羊肉と同じ産地のオーストラリア、ニュージーランドや日本などが揃っています 結果、ナチュラルな造りのものも多いです。ワインは羊肉と同じく「ストーリーのある」お酒。味わいの相性の良さはもちろん、テロワールや造り手のことなど共通項も少なくないのでお客様にもおすすめしやすく、話も弾みますね。

どんなワインが羊肉と合うのでしょうか。

関澤:実は以前、ソムリエの友人たちと「羊に合うワインは?」というお題で論議が白熱したことがあったんですよ。ある人は「繊細でシルキーな薄旨系」と言い、「いやいやスパイシーでジューシーな方がいい」、「しっかり重い赤!」という人もいた。よくよく聞いてみると、皆さんそれぞれが思い描いている羊肉が違っていた。そのくらい、月齢や産地の違いで羊の味わいが変わるんです。月齢が上がるにつれ、肉の香りや旨味はパワフルになります。それに伴って、合うワインのタイプも変わってきますね。

ラムは一般的に月齢12カ月未満を指し、クセが少なく柔らかめ。12カ月以上24カ月未満をホゲットと呼び、ラムよりも味わいが濃く、まだそれほどクセは強くありません。それ以上の月齢をマトンと呼び、羊ならではの香りや味わいは濃く、肉質もしっかりしています。ラムには繊細でシルキー系が、マトンには重厚なボルドーが合うでしょうしね。また、香りの強いオーストラリア産のラムチョップならオーストラリアのパワフルでスパイシーなシラーズ、国産羊ならクリアで洗練された日本のワインと相性ばっちりです。

羊料理と日本ワイン、おすすめの組み合わせとは

「羊SUNRISE」でのお薦めの組み合わせを教えてください!

関澤:国産羊はクセがほとんどなく、繊細で肉質もやわらかいので、羊肉の入門編にぴったり。また同じ日本のワインととてもよく合いますよ。日本のワインはどこか出汁感や醤油っぽさがあって、余韻が優しい。ずーっと飲んでいても疲れないしみじみとした旨味は、清らかな国産羊の味わいを引き立て、心地よいマリアージュが楽しめます。

羊の首肉やヒレなど筋繊維が少ない、特にやわらかい部位を集めて叩いた「ユッケ」は、冷涼な北海道・余市で育ったブドウによる繊細でシルキーな味わいが特長の「①グランポレール 余市 ピノ・ノワール 2018と。もみダレに使っているコチュジャンの辛味、醤油の旨味、はちみつの甘味は、イチゴのような華やかな香りとも呼応します。

羊料理
国産羊の炙りユッケ 税込2,420円
さっと極レアに炙った羊肉を細切りにし、赤玉ねぎや万能ねぎとともにユッケダレで和え、卵黄を添えた。旨味と甘味の強い、土浦「紫峰」というだし醤油を使用。

関澤:王道の「ラムチョップ」には、②「グランポレール 安曇野池田 カベルネ・ソーヴィニヨン 2018がいいでしょう。羊に添えてあるクミンやペッパーと、ワインが持つ八角などのスパイス香が相乗効果となって、薫り高いマリアージュが楽しめます。また、程良いタンニンが口に残る羊の脂を気持ちよく切ってくれます。

ラムチョップ 税込1,650円
豪快に焼き上げたラムチョップに、フライドガーリックやクミン、陳皮、ブラックペッパーなどを合わせたスパイス塩と、ヨーグルト、オレンジ、ミントジャムで仕立てるソースを添え、爽やかで辛味、酸味の効いたモダンテイストに。

羊を取り巻く状況は、ますますアップデート中!
家飲みでもぜひ、羊料理とワインを!

最近では、国産の羊肉も注目されているようですね。

 関澤:ここ3年で、国産羊を使いたいという料理人の声をよく聞くようになりました。一頭買いする必要があったり、専用のと畜場がほぼないなど、国産羊は流通にまだまだ課題があります。そこで、共同購入に近い形で仕入れ&発送を請け負ったり、国内に羊の加工場を造って枝肉の梱包、発送、配送が出来るようにしよう、というアクションに取り組んでいます。これが実を結んだら、もっともっと身近に、国産羊が楽しめるようになると思います。

羊の品種は交配が盛んで、どんどんアップデートされています。10年後はまた、羊肉の味わいが大きく変わっているかもしれない。日本ワインのブドウ品種も、どんどん変化していると聞きました。日本のワインも羊も、アップデートの真っ最中。これからますます面白くなります。目が離せませんよ!

最後に、家庭でも手軽につくれる、ワインに合う羊料理を教えていただけますか?

関澤:イタリア・トスカーナの家庭料理「ペポーゾ」にヒントを得た一品を考えてみました。羊肉をたっぷりの黒コショウと赤ワインでコトコト煮込むだけ。赤ワインと黒コショウが、羊肉特有の匂いを、スパイシーで滋味深い旨味に昇華してくれます。こちらには、③「グランポレール 安曇野池田 シラー 2017などいかがでしょうか。外国産のシラーやシラーズとはまた違った、国産ならではの程よいスパイス感と、ワイルドさ。どこか懐かしい土っぽさが、この料理ともよく合います。

ラムチョップのペポーゾ(赤ワインと黒胡椒煮込み)

■材料

・ラムチョップ:8~9本(600g)
・塩:10g

【A】(合わせておく)
 ・黒粒胡椒:40g
 ・はちみつ:5g
 ・水:100ml
 ・赤ワイン:300ml
 ・醤油:10g

・セージ、ローズマリー:各1本

■作り方

① ラムチョップに塩を揉み込んでしばらく置く。

② 鍋に油(分量外)適量を引き、中火で熱し、1の両面を軽く焼き付ける。

③ ②にAを注ぎ、セージ、ローズマリーを入れ、弱火に落として1時間ほど煮る。

 

羊SUNRISE 麻布十番店
東京都港区麻布十番2-19-10 PIA麻布十番2 3F
TEL03-6809-3953※ご予約はWEB予約フォームから受付
午後5時~午後11時(ラストオーダー午後10時30分)
日曜、第1・第3土曜定休(年末年始、GW、お盆休みあり)
https://sheepsunrise.jp/(外部サイトにリンクします)

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。