一般的な赤ワインや白ワインとあわせて、オレンジワインにも挑戦してみませんか?近年特に注目を集めているオレンジ色のワインです。
オレンジワインと聞くと、カットしたオレンジを漬け込んだフルーツワインのようなものをイメージする方は多いでしょう。実は、まったくの別物です。
ここでは、初めてオレンジワインの名を聞いたという方に向けて、オレンジワインの歴史や魅力をご紹介します。
目次
オレンジワインとは
オレンジワインとは、白ブドウを材料に、赤ワインと同じ製法で造られたワインのことを指しています。白ブドウを果皮ごと醸造することによって、果皮の香りや色が抽出され、鮮やかなオレンジがかった液色となるのが特長です。
抽出される色にちなんで「オレンジワイン」、地方によっては「アンバーワイン(琥珀ワイン)」とも呼ばれています。
オレンジワインの歴史
白ブドウを使用して造られるオレンジワインは、大きく分けると白ワインの仲間に分類されます。白ワインと赤ワインの大きな違いは、ブドウを潰すときに果皮と種を取り除いて破砕するか、果皮や種ごと破砕するかです。
しかしオレンジワインは果皮や種ごと潰しているため、赤ワインのようなコクももちあわせています。
なぜ従来の白ワインとは異なる製法が取り入れられ、オレンジワインが浸透したのか、この項目ではオレンジワインの歴史について振り返ってみましょう。
もともとはジョージアで造られていた
オレンジワインの起源は、約8000年前にまでさかのぼります。ヨーロッパとアジアの境に位置する国、ジョージアにおいてクヴェヴリの中で白ブドウを発酵させ、オレンジワインを造っていたことがはじまりです。
クヴェヴリとは卵型をした大きな「かめ」で、地中に埋めて醸造することで安定した温度の中でワインを発酵させることができます。クヴェヴリを使用したワイン製法は、2013年にユネスコの無形文化遺産に指定されました。
自然派ワインの造り手によって復活
オレンジワインは長い歴史の中で国際市場に出る機会に恵まれないまま、一時期は歴史から姿を消していました。しかし1990年代後半、ひとりの自然派ワインの造り手が独特の製造法に着目したことをきっかけに世界中へ名が知れ渡ることとなりました。
果皮や種を取り除いて実を破砕する白ワインには、赤ワインのように酸化防止剤の役割を担うタンニンがほとんど含まれていません。そのため品質を守るために酸化防止剤(亜硫酸)を多く取り入れる必要がありました。
しかしオレンジワインの製法なら果皮に含まれるタンニンが果汁に含まれるため、亜硫酸の添加を抑えたままでワイン造りが可能です。
1998年に最初のオレンジワインが造られてから瞬く間に世界へ広がり、現在は本場ジョージアをはじめイタリアやオーストラリア、日本などでも造られるようになりました。
オレンジワインの製造方法
オレンジワインの詳しい製造方法をご紹介します。果皮や種ごとブドウを潰すことも独特ですが、使用するブドウの品種にも特長があります。
例えば、オレンジ色の鮮やかな液色は果実の潰し方に加え、発酵方法の影響によるものです。
発酵方法
収穫されたブドウは破砕した後も、果汁を果皮や種と一緒に発酵させます。スキンコンタクト法と呼ばれるもので、潰したブドウから果汁のみを取り出して発酵させる方法と異なり、果汁に果皮と種の成分が抽出されることが特長です。
白ブドウの果皮等に含まれる黄色系の色素が溶出されることにより、オレンジワインの名前の由来でもある鮮やかなオレンジ色が生まれます。
使用する品種
オレンジワインの醸造に使用されるブドウ品種は、香りの成分が高いアロマティックなものが中心です。例えば以下の品種があげられます。
・リースリング種
・ヴィオニエ種
・ゲヴェルツトラミネール種
上記の他にもさまざまな品種が各国で使用されています。また、酸味が強いピノ・グリ種などもオレンジワインの定番といえる品種です。
アロマティックな品種が使用される理由は、果皮ごと発酵させることで香り成分が多く含まれるオレンジワインの特性を最大限に引き出すためです。そのため、さらに香り成分を抽出するための醸し発酵も行われます。
製法の過程上、オレンジワインはどうしても酸味が落ちてしまうものです。酸味の強い品種は、弱まってしまう酸味を補うために使用されます。
オレンジワインの味わい
オレンジワインの味わいは、白ワインと赤ワイン両方の魅力を楽しめるものです。白桃やアプリコットなど甘くて濃厚な果実味をもちつつも、赤ワインのように果皮由来の渋味とコクもしっかりと感じられます。
オレンジピールやはちみつのニュアンスももっており、他の白ワインや赤ワインとはまったく異なる表情を見せてくれるワインです。ぜひ一度、オレンジワインにも挑戦してみてくださいね。
まとめ
オレンジワインの魅力は、独特の製法による鮮やかな色とふくよかな果実味、そして赤ワインのようなコクとさまざまな表情を楽しめることです。ブドウの実を破砕して果皮や種ごと発酵させるため、他にはない奥深い香りと味わいが生まれます。
現在、オレンジワインの起源であるクヴェヴリを使用した製法はユネスコの無形文化遺産に指定されています。日本にもオレンジワインを製造するワイナリーが現れるほど世界的に注目を集めているオレンジワインは、今後もますます発展が期待できるでしょう。