まだまだ気軽に海外旅行に行けない昨今、気分だけでも旅を満喫したい!そんな方にお届けする世界の美景特集。各地の美しい景色を眺めながら、その土地のワインを飲めば、行かずとも旅気分に浸れそう。グラス片手のバーチャルトリップ。第五回はニュージーランドの南島から、ダイナミックかつ清らかな心癒やされる美景を紹介します。
text WINE OPENER編集部
目次
ダイナミックな自然が生み出す美景スポットへ
北島、南島の2つからなるニュージーランド。国土は南北に細長く、日本の4分の3ほどの面積に、504万人(日本は1億2,500万人)が暮らしています。人口密度は日本の335人/㎢に対し、ニュージーランドは17.9人/㎢ほどで、乳製品・畜産・羊毛をはじめとした1次産業が主産業。
ちなみに、ニュージーランドで飼育されている羊は約2,730万頭で、人間よりも圧倒的に羊が多く暮らす、牧歌的でのどかな島国です。
日本と同じく四季がありますが、夏と冬は逆で6~8月が冬、12~2月が夏。天気がめまぐるしく変わるので、1日のうちに四季があるとも言われます。
今回は、ニュージーランドを代表するワイン、ソーヴィニョン・ブランの故郷であるマルボロを中心に、南島に点在する美景を巡ってみましょう。
ニュージーランド随一のワインの産地、マルボロを訪ねる
ニュージーランドワインといえばソーヴィニヨン・ブラン。そう言っても過言ではないでしょう。ソーヴィニヨン・ブランはニュージーランドのブドウの全収穫量の約76%を占め、なかでも国を代表する産地が南島のマルボロです。見渡す限りの丘陵地帯にどこまでもブドウ畑が続き、その間に小さなブティックワイナリーが点在しています。
ワイナリー巡りは、レンウィックの村を起点にすると良いでしょう。周辺には30あまりのワイナリーがあります。風光明媚なワイン畑のなかにあるワイナリーを巡って、お気に入りのワインを探してみましょう。
1,500kmにもわたる海岸線が織り成す唯一無二の絶景、マルボロ・サウンド
マルボロの北部には太古の渓谷に海水が流れ込み沈降してできた、複雑に入り組んだ海岸線が続いています。一帯はマルボロ・サウンドと呼ばれ、50カ所以上の自然公園が点在。エメラルドグリーンの海でのダイビングやセイリングをはじめ、稜線を歩くハイキングや、ペンギンやイルカ、オットセイなどを探しにでかけるアニマルウオッチングクルーズが人気です。
ユネスコの星空保護区に指定されたテカポ湖
南島の美景スポットといえばテカポ湖ははずせません。ユネスコの国際ダークスカイ・リザーブ(星空保護区)に指定されていて、スターウオッチングスポットとして知られています。北極のオーロラと同じように南極の上空で瞬く、南天オーロラ(南極光)が見られることも。その希有な自然環境をさらにドラマティックな光景にしているのが、石積みの「善き羊飼いの教会」です。星明かりと南天オーロラに浮かび上がる夜の教会がなんともロマンティック。
夜の景観で一躍有名になりましたが、昼の景色も見事です。11月から1月には、ミルキーブルーの水を湛える湖のほとりにルピナスが咲き誇ります。この吸い込まれそうな湖の色は、氷河が動くときに削りだされる細かい岩石の粉、ロックフラワーが湖の水に溶け込んだため。自然の偶然がこんなも美しい景色を作り出すことに驚かされます。
ニュージーランド最高峰、マウント・クックの勇姿を眺める
3,000m級の山々が連なる南アルプス最高峰のマウント・クック(アオラキ)。雪を抱いた、切り立った山々は壮大でどこか近づきがたいオーラを放っていますが、思いのほかアクセスは良く、マウント・クックの拠点となるマウント・クック村へは、国道80号線をドライブして簡単に訪れることができます。
プロの登山家も訪れますが、気軽なトレッキングルートも多数用意されており、初心者でも湖や氷河、可憐な高山植物や動物との出会いが楽しめます。
マウント・クックを映し出す静寂なる湖、マセソン湖
そんなマウント・クックを、完璧な姿で映し出す湖があります。それがこのマセソン湖。風のない穏やかな日には、周囲の山々を映し出す見事なリフレクションスポットになります。鏡のように風景を映し出せるのは、周囲の原生林の地面から有機成分が染み出し、湖の水を濃い茶色にしているから。ちょうどマウント・クック側に湖が開けていたこともあり、この絶景スポットが誕生しました。
「世界8番目の不思議」と言われたミルフォードサウンド
まるでキスチョコのように海から立ち上がる山々が印象的なミルフォードサウンド。その景観は彫刻家が丹念に彫り上げた美術作品のようで、作家ラドヤード・キップリングがこの地を世界7不思議に次ぐ「世界8番目の不思議」と名付けた、自然美に圧倒されます。
この迫力の光景を楽しむなら日帰りクルーズに参加するのがいいでしょう。海から垂直に立ち上がる崖の上には湖が点在し、雨の後は水かさが増して溢れ出した湖水が滝になることも。ヘリコプターツアーならば、絶壁の上に点在する宝石のような湖から滝がこぼれ落ちる、神秘的な光景を目の当たりにすることができます。
世界が認めるニュージーランドのワイナリー、マトゥアとは?
ニュージーランドのワインは近年、世界から熱い注目を集めています。国を代表するブドウ、ソーヴィニヨン・ブランは、1969年、マトゥアの創設者であるスペンス兄弟が初めてマルボロの地に植樹したのが始まり。氷河が生み出した水はけの良い土壌、長い日照時間、昼夜の寒暖差などの好条件に恵まれて育ったブドウは、フレッシュでピュア、それでいてしっかりとした果実味をもった比類なきワインとなり、ニュージーランドのワイン界に大きな革命をもたらしました。
マトゥアは現在、国内で最も多くの賞を受賞し、毎年2桁成長を続けるニュージーランドを代表するワイナリーに成長。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどで広く愛されています。
そんなマトゥアはボトルデザインも魅力的。ラベルの爽やかなブルーは、南島の特長でもある真っ青な河川の“ティエル・カラー”をイメージ。そこに描かれているのは、原住民であるマオリ族のシンボルのタトゥーです。さらにこのエチケット(ラベル)には遊び心も。ワインの飲み頃の温度まで冷やすとタトゥーのデザインと雪のマークが浮かび上がるという仕掛けがあるのです。
今回はマトゥアを代表するソーヴィニヨン・ブランの一本をご紹介します。
マトゥア
リージョナル・ソーヴィニヨン・ブラン マルボロ
参考小売価格:税抜2,008円
マルボロで収穫されたソーヴィニヨン・ブランを、ステンレスタンクで低温発酵させた、フレッシュでクリアな飲み口が特長。柑橘やパッションフルーツのような華やかな香りと、グレープフルーツやバジルを思わせる清々しい味わいで、カルパッチョや、お寿司など、魚介系の料理と相性抜群です。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
さあ、ニュージーランドの絶景に思いを馳せながら、キリリと冷えたソーヴィニヨン・ブランで乾杯しませんか?
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。