気軽に海外旅行に行けない昨今、気分だけでも旅を満喫したい!そんな方にお届けする世界の美景特集。各地の美しい景色を眺めながら、その土地のワインを飲めば、行かずとも旅気分に浸れそう。グラス片手のバーチャルトリップ。第三回は広大なオーストラリアの東南部に位置するニュー・サウス・ウェールズ州の美景をめぐります。
text WINE OPENER編集部
目次
ダイナミックな自然が生み出す美景スポットへ
日本の約20倍という広大な面積を誇るオーストラリア。ひとつの国でありながら世界六大陸に数えられていることからも、その大きさがわかります。今回紹介するニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリアの東南部にあたり、この州だけでも日本の2倍以上という広さ!

ニュー・サウス・ウェールズ州といわれてもピンとこないかもしれませんが、オーストラリア最大の都市シドニーならご存じではないでしょうか?シドニーのシンボルといえばシドニー・オペラハウス。疾走する帆船を思わせる印象的なデザインは、20世紀を代表する建築のひとつといわれ、2007年に世界遺産に登録されました。
オーストラリアには20の世界遺産があるのですが、ニュー・サウス・ウェールズ州にはそのうち6つがあり、シドニー・オペラハウスとオーストラリアの囚人遺跡群は文化遺産、そのほかは3つが自然遺産、1つが複合遺産のウィランドラ湖群地域。今回は自然遺産のなかから、ダイナミックかつ美しい景観をめぐってみましょう。
美しいリーフに囲まれたロード・ハウ諸島
最初に紹介するのは、1982年に自然遺産に登録されたロード・ハウ諸島。シドニーの北東780kmの沖合に浮かぶ島々は、海底火山の噴火によってできた島が波の浸食により分断されたものです。不揃いな海岸沿いに広がるのは世界最南端の美しいサンゴ礁。暖流と寒流がぶつかる海中には、熱帯と温帯の生物が共存しています。

ターコイズブルーのラグーンが広がる楽園風景に加え、熱帯雨林や切り立った山など多様な景観が見られるのもロード・ハウ諸島の特長。諸島最高峰となる標高875mのゴワー山は、ガイド付きのトレッキングツアーで登ることができ、山頂からは爽快な眺めを堪能できます。
この島々はオーストラリア本土と海で隔てられた絶海の孤島。大陸とは一度も地続きになったことのない海洋島なので、島内では多くの固有の動植物に出合えます。なかでも絶滅危惧種に指定された飛べない鳥ロード・ハウ・クイナは、島のシンボルとして手厚く保護されています。
シドニーから飛行機で約2時間で行けるロード・ハウ島ですが、貴重な環境を守るため1度に滞在できる観光客を400人に制限。美しい自然を舞台に、のんびりとした休日を過ごせます。
広大な森林、グレーター・ブルー・マウンテンズ地域

シドニーから内陸部へ車で2時間ほど走ると、2000年に自然遺産に登録されたグレーター・ブルー・マウンテンズ地域があります。マウンテンといってもただの山ではなく、8つの国立公園と保護区からなる1万㎢以上のエリア。日本でいうと青森県や岐阜県と同じくらいの広大な森林地帯が広がります。約3億年の時を紡ぐ太古の森林はもちろん渓谷や滝、湿地など多様な自然環境が見られ、生息する動植物も多岐にわたります。

ところでブルー・マウンテンズという名前の由来をご存知ですか?青みがかった幻想的な景観からその名がつけられたのですが、その正体はなんとコアラの大好物、ユーカリ。揮発性のユーカリのオイルが空気中に飛散し、日光に反射して周囲の森林を青く霞ませているんです。ブルー・マウンテンズには91種類ものユーカリがあり、そのうち12種はこの地域でしか見られない固有種です。
グレーター・ブルー・マウンテンズ周辺は避暑地として知られ、シドニーからの日帰りツアーも多く開催されています。ツアーの定番はスリー・シスターズという奇岩を眺める展望スポット。900mを超える3つの奇岩が並ぶ様子は、もはやモダンアートのよう。アボリジナルピープルの伝説では、悪魔から守るため魔法によって石に変えられた3姉妹と伝えられています。

また長い年月をかけて形成された鍾乳洞もあり、いくつかは実際に中に入ることもできます。なかでも最も有名なのは、3億4000万年前から今も成長を続けるジェノラン鍾乳洞。巨大な鍾乳石や石筍が織り成す神秘的な造形に目を奪われます。
太古の森が残るオーストラリア・ゴンドワナ多雨林群
約2億年前まで南半球を中心に広がっていたといわれる巨大なゴンドワナ大陸。オーストラリアはその超大陸から分裂してできたとされ、以後ほかの大陸と地続きになることがなかったため、現在でも太古の森が残されています。
ニュー・サウス・ウェールズ州北東部とクイーンズ・ランド州南東部にまたがる多雨林群は、まさにゴンドワナ大陸時代の面影が残る場所。世界最古のシダ類をはじめ多くの固有の動植物が生息する森は、今にも恐竜が現れそうな雰囲気です。
多雨林群は3700㎢にわたって広がり、冷温帯、温帯、亜熱帯、乾燥帯の気候帯が存在します。それぞれの気候帯に生息する動植物が見られるのもこの多雨林群ならでは。貴重な生態系などが評価され、1986年に自然遺産に登録。1994年に登録地域が拡大されました。 トレッキングや自然観察のフィールドとして人気があり、年間を通して多くの観光客が訪れます。
オーストラリア随一のグルメシティ、シドニー

ニュー・サウス・ウェールズ州の美景めぐりの起点は、日本からも直行便が運航している州都シドニー。オーストラリアの経済の中心地だけあって賑やかな街は、食の充実度も国内随一。世界トップレベルのシェフたちが腕を振るう、見た目も華やかなオーストラリアン・キュイジーヌは、シドニー旅行の大きな楽しみのひとつです。

ミシュランシェフが手がける洗練されたコース料理を満喫したり、海を眺めながら新鮮なシーフードを味わったり、肉汁したたるステーキを頬張ったり、スタイリッシュなルーフトップバーでカクテルタイムを過ごしたり、食の選択肢は多彩に用意され世界のフーディーたちからも熱い視線が注がれています。
それらのグルメシーンを彩るのがオーストラリアワイン。シドニーのレストランやバーでは、カジュアルにワインを楽しむオージーたちの姿が。実はニュー・サウス・ウェールズ州は国内のブドウ生産量の約3割を占めるワインの名産地。1780年代後半からシドニー近郊でブドウ栽培が行われており、オーストラリアワインの発祥の地としても知られています。
日本のナンバーワンオーストラリアワイン(※)
※:2020年輸入酒銘柄別ランキング 食品産業新聞社調べ
そんな歴史あるニュー・サウス・ウェールズ州のワインのなかに、日本でも人気のワイン があります。それがワラビーのイラストが目印のイエローテイルです。
イエローテイルを醸造しているのはカセラ・ファミリー・ブランズ。イタリアのシチリア島から移住したカセラ夫妻が1969年に設立したワイナリーです。堅苦しいことは抜きにして、気軽に楽しむことをコンセプトにしたイエローテイルは、今までワインを飲んでいなかった人たちを取り込み、世界50か国 以上で販売される人気ブランドへと成長しました。
イエローテイルはほとんどが単一品種のワインで、ブドウの風味をダイレクトに感じられるシンプルな味わい。リーズナブルな価格帯やポップなデザインなど、手にとりやすいカジュアルな雰囲気も人気の秘密です。
気軽にコップで飲んでもいいし、バーベキューのお供や、カクテルのベースにしてもいい。難しいウンチク抜きに味わえる、とっても楽しいワインなのです。イエローテイルの豊富なラインナップから、今回は下記の2本を紹介しましょう。
イエローテイル
[イエローテイル]カベルネ・ソーヴィニヨン
参考小売価格:税抜1,015円
熟すのを待って収穫したブドウを使い、芳醇な香りと味わいを引き出したワイン。ブラックベリー、チョコレート、バニラのアロマと、さわやかなミントの香りが心地よく調和。口に含むと果実本来の酸味とスパイシーかつ豊かなベリーの味わいが広がります。
イエローテイル
[イエローテイル]シャルドネ
参考希望価格:税抜1,015円
オーストラリアを代表する白品種シャルドネの果実味を存分に味わえるワイン。バニラとココナッツのアロマがまろやかな印象を与えます。ほどよい酸味を感じさせるさわやかな飲み口と、焼き立てのパンのような香ばしさも楽しめます。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
ダイナミックな景観や、固有の動植物に出合えるニュー・サウス・ウェールズ州。日本でも人気のオーストラリアワイン[イエローテイル]の 産地でもあります。いつか行きたい旅先リストへ、ニュー・サウス・ウェールズ州を加えてみてはいかがでしょう?
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。