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ワインと巡る世界の美景旅 第2回
標高はスカイツリーより高い!アンデス山脈のふもとに広がるアルゼンチン・メンドーサ

気軽に海外旅行に行けない昨今、気分だけでも旅を満喫したい!そんな方にお届けする世界の美景特集。各地の美しい景色を眺めながら、その土地のワインを飲めば、行かずとも旅気分に浸れそう。グラス片手のバーチャルトリップ。第二回はアルゼンチン西部のメンドーサの美景を紹介します。
text WINE OPENER編集部

ワインと巡る世界の美景旅_第2回_アルゼンチン・メンドーサ

南米最高峰アコンカグアの美しさに圧倒される

広大な南米大陸の南部に位置するアルゼンチン共和国。南北3,800kmにわたって延びる国は278万㎢と世界第8位の国土面積を誇ります。これは日本のおよそ7.5倍という規模。農耕に適した大草原が広がるパンパや切り立った山が連なるアンデス、荒涼とした大地を氷河が覆うパタゴニアなど多様な自然に恵まれています。

 

ワインと巡る世界の美景旅_第2回_アルゼンチン・メンドーサ
(写真はイメージです)

メンドーサは、そんな南北に長いアルゼンチンの真ん中、チリとの国境に近い西部にあります。南米大陸の西側に縦に連なるアンデス山脈のふもとにあたり、南米最高峰のアコンカグア(標高6,962m)登山の拠点になっています。登山には本格的な装備と経験が必要ですが、アコンカグアの美景を眺める日帰りハイキングツアーも開催されており、これなら気軽に参加できそう。

 

早朝、ホテルまで迎えにきてくれるバスや専用車で移動するのですが、車窓から見える景観がすでに絶景!切り立った渓谷が続き、ときどき断崖の向こうにアンデス山脈が顔をのぞかせます。

 

(写真はイメージです)

日帰りのハイキングツアーはアコンカグア州立公園を歩く5時間ほどのトレッキング。乾燥した大地は月面を思わせる荒涼とした砂礫や、うっすら緑をまとった斜面など次々に異なる表情を見せてくれます。雪に覆われたアコンカグアは圧巻の美しさ。アンデスの雄大な景色を眺めながら爽快なハイキングが楽しめます。

 

(写真はイメージです)

日帰りハイキングにはいくつもルートがあり、ツアーによって目的地は異なりますが、登山のベースキャンプ周辺まで行って戻ってくるのが基本ルートです。写真は標高3,400mのコンフルエンシア・キャンプ。ここから10日間ほどかけてアコンカグア登頂に挑む人もいますし、テントで1~2泊する手軽なトレッキングも人気です。

 

手軽なバスツアーでアンデスの美景巡り

5時間のハイキングでもきつい…という方には、アコンカグアを眺めるバスツアーがおすすめ。標高3,000m付近の展望台に立つと目の前にアコンカグアの雄姿が拝めます。南米最高峰は離れていてもさすがの迫力!

 

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日帰りのハイキングツアーやバスツアーで必ず立ち寄るのが、不思議な色彩をしたプエンテ・デル・インカ。日本語では「インカの橋」という意味をもち、自然にできた橋なのだそう。マーブル模様は硫黄などの温泉に含まれる成分が固まったものです。

 

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バスはそこからチリとの国境付近の街を通過し、標高4,200mのクリスト・レデントールを目指します。つづらおりの山道をバスでひたすら上るアンデスらしいドライブルート。一気に標高が上がります。

 

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4,000mオーバーの富士山よりも高い場所に、アルゼンチンとチリの終戦を記念して、両軍の大砲で作られたキリスト像が立っています。両側には風にたなびく国旗。向かって左がアルゼンチン、右がチリの国旗です。

世界屈指のおいしい牛肉を堪能!

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アンデスの美景を満喫したら、お待ちかねの食事タイム。アルゼンチンの名物料理を堪能するとしましょう。アルゼンチンの料理といえば、なんといっても牛肉!アルゼンチン人は牛肉が大好きで、1人あたりの年間牛肉消費量は日本の約5倍にもなります。肥沃な草原で育った牛は柔らかく、肉の旨味がダイレクトに口の中に広がります。

 

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アルゼンチンの人々が愛してやまないのがアサードと呼ばれるバーベキュー。炭火で焼いた牛肉はワイルドな味わいながら、赤身メインなので意外とさっぱり。たくさん食べられてしまうのも特徴です。パリジャーダというステーキやソーセージなどの盛り合わせもおすすめ。ただし、かなりボリュームがあるのでご注意を!

 

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アサードは塩で食べてもおいしいのですが付け合わせのソースも絶品!パリージャ(アサードを出すレストラン)では、必ずハーブやスパイスをオリーブオイルとビネガーでマリネしたチミュチリソースを用意しています。これが肉の旨味を倍増させてくれるんです。香りもよく、食欲を刺激する万能ソースをお試しあれ。

 

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チョリソと呼ばれるソーセージも肉汁たっぷりで美味。日本でチョリソというとトウガラシ入りの辛いソーセージのイメージがありますが、アルゼンチンでは極太の粗挽きソーセージのことを指します。これを使ったホットドッグ、チョリパンもおすすめ。アルゼンチンでは軽食扱いなので、屋台などで食べられます。

 

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また、ひき肉を小麦粉の生地で包んで揚げたエンパナーダもアルゼンチンの名物料理。小腹がすいたときにスナック感覚でいただきます。

アンデスの恵みを受けた個性豊かな味わいのワイン

ワインと巡る世界の美景旅_第2回_アルゼンチン・メンドーサ

アルゼンチングルメを紹介したところで、忘れてはいけないのがワインでしょう。アルゼンチンは南米ではチリと並ぶワイン大国。ワイン用のブドウはおもにアンデス山脈の東側で育てられ、とくにアンデス南東部のメンドーサはアルゼンチンのワインの約7割を生産する銘醸地なんです。

 

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メンドーサのブドウ畑があるのは標高550~2,000mの高地。乾燥した大地に降り注ぐ豊富な日光と、昼夜の寒暖差が良質なブドウを育みます。湿気が少ないので、農薬を使わなくてもブドウが病気になりにくく恵まれた環境。ほとんど雨が降らないため、アンデス山脈の雪解け水を利用した灌漑システムが発達しています。

 

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ブドウ栽培にとってこれ以上ないくらいの理想的なメンドーサには、3,000以上のワイナリーがあり、ワイナリー巡りはメンドーサ観光のハイライトにもなっています。タクシーなどで直接訪れることもできますが、ワイナリーを巡るバスツアーも便利。チケットに含まれるのは交通費だけで、現地では好きなワイナリーを見学するシステム。曜日によって訪れる地区が異なり、訪れるワイナリーも変わります。

 

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(写真はイメージです)

もちろん試飲もできるので、好みのワインを探してみては?メンドーサは、とくにマルベックの栽培に適しており、世界の栽培面積の75%以上を占めると言われています。黒ワインとも呼ばれるマルベックは、濃厚でどっしりとした骨格をもちつつエレガントな味わいが特徴です。また白品種ではアルゼンチン原産のトロンテスが多く栽培されています。

世界最高の称号を3度も獲得したワイナリー

ファミリア・ズッカルディ

メンドーサの数あるワイナリーのなかで、世界的に注目されているのが『ファミリア・ズッカルディ』。メンドーサのなかでも標高の高いウコ・ヴァレー地区にあり、ワイナリー巡りのバスツアーにも必ずラインアップされている名門です。

『ファミリア・ズッカルディ』は、世界最高のワイナリーを選出する「ワールド・ベスト・ヴィンヤーズ」では2019年から3年連続で1位を獲得。このアワードは、ワイナリー見学や併設のレストラン、周辺の景観などを含め優れたワインツーリズムを実践しているワイナリーを評価するもの。第1位を受賞したファミリア・ズッカルディは、まさに一度は訪れたい世界最高峰のワイナリーといえます。

また、2016年にはアンデス山脈のふもとに新しいワイナリーをつくりました。芸術的かつ独創的なフォルムの醸造施設や、独特の卵型をした醸造用のタンクの原料(土や石)はすべてアンデス山脈から調達したものです。これはぜひワイナリーをリアルに訪ねてみたい!ワイナリーで飲むワインに思いを馳せてしまいます。

さすがにアルゼンチンは遠いので、まずは自宅で楽しめるズッカルディのワインを紹介しましょう。メンドーサを代表する2品種、マルベックとトロンテスから選んでみました。

 

ズッカルディ

ホセ・ズッカルディ
参考小売価格:税抜4,508円

マルベックを主体にカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせたフルボディワイン。ズッカルディの特徴のひとつ、コンクリートタンクで発酵・熟成させており、熟成は2500リットルの大樽と500リットルの木樽で24か月間。しっかりとストラクチャーを感じさせながら、深い果実味や滑らかな口当たりも楽しませてくれます。

 

 

ズッカルディ

ズッカルディ セリエ・ア トロンテス
参考小売価格:税抜1,508円

標高の高い場所で栽培されるアルゼンチン原産のブドウ品種トロンテス100%のワイン。フルーティな香りのなかに、シャープな酸を感じさせるバランスのよい1本です。華やかに輝く黄金色も魅力です。

 

 

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広大な景観と、美味な牛肉料理とワインが堪能できるメンドーサ。ワイナリー巡りも楽しみなエリアです。いつか行きたい旅先リストへ、メンドーサを加えてみてはいかがでしょう?

 

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。