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国産チーズ×ワインのペアリング 第三回
富士山麓の清らかな空気と水で作られる
「河口湖チーズ工房」のフレッシュゴーダチーズ

日本のチーズ工房を訪ね、ワインとのペアリングを楽しむ旅。第三回は、山梨県河口湖町の「河口湖チーズ工房」を訪ねました。夫婦2人でコツコツとチーズを作るごく小さな工房。果たしてどのようなチーズと出合えるのでしょうか?

text WINE OPENER編集部 photo 鈴木謙介

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■今回お話を伺ったチーズ工房
河口湖チーズ工房
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町富士ヶ嶺856-3
電話:0555-89-3087
営業時間:10:00~18:00(10~3月は~17:00)
定休日:水・木曜日
https://www.kawaguchiko-cheese.com/(外部サイトにリンクします)

山梨県有数の酪農地帯で新鮮な生乳を使って作るチーズ

富士山の北西の麓に広がる河口湖町。爽やかな高原の空気と、良質な水に恵まれた県内有数の酪農地帯に、今回目指す河口湖チーズ工房があります。

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看板を見落とさないように注意して!

小さなテラスを備えた小さなチーズ工房で黙々とチーズを作るのは宮内 理さん。乳業会社に約20年間勤務しバターやヨーグルトなどの製造に携わっていましたが、退職を機に2016年、自分の工房を立ち上げました。

「個人の小規模なチーズ工房としては山梨でほぼ初めてのチーズ工房だったので、乳製品製造許可など必要な許可を取るのがとても大変でしたね。営業に必要な許可が揃うのに2年くらいかかったでしょうか。前例がないというのは大変なんですよ」

乳業会社に勤務しているころからチーズを作ってみたかったという宮内さん。退職後はチーズ製造の研修に参加したほか、各地のチーズ工房を巡り独学で技術を磨きました。

「売り上げという観点だけで考えれば、ソフトクリームを作って売っているほうが断然いいでしょうけどね。やはりチーズを作るのは楽しいんです。同じ素材、同じ要領で作っても少しずつ違うチーズができる。経験を積むごとにブレは少なくなりましたけど、特別にうまくできたな、というときはうれしいですね。小さな改良は常に加えています。好みの味わいのチーズに近づけていくのは楽しい作業ですよ」

現在製造しているのは、ゴーダ、カチョカバロ、パルジャミーノ風のハードチーズ、モッツァレラ、リコッタなど。近隣にある5~6軒の酪農家から生乳をわけてもらい製造しています。

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澄んだ空気と冷涼な気候が健康な乳牛を育む

「チーズ作りで重要なのは、何をおいても新鮮で良質な生乳。うちの近所にはたくさんの酪農家がありますからね。絞りたての生乳が手に入るんです。いちばん近い牧場までは歩いて、遠い牧場は車で生乳を取りに行きますが、それでも10分程度です。そうして集めてきた生乳をその日のうちに殺菌してチーズを作っています」

牧場と牛の種類で食べ比べできるゴーダチーズ

河口湖チーズ工房の特長のひとつが、ラベルに牧場と牛の品種が記されていることです。ゴーダチーズは、ホルスタイン種、ブラウンスイス種、ジャージー種、エアシャー種、4種混合と、5種類の生乳から作られており、パッケージからどの生乳で作られたかが分かります。

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牛の種類によってチーズの色合いが微妙に異なる

「通常、販売されている牛乳は、複数の酪農家の生乳を混ぜているので、特定の酪農家や牛の品種の牛乳を味わうというのは難しいんです。ですが牧場や牛の種類によって生乳の味は異なるので、せっかくならその違いを楽しめるものを、ということで牧場と品種名がわかるようにしました。食べ比べてみると甘味が強かったりナッツの風味が際立ったりと、違いがあって面白いですよ。リピーターの方は牧場や品種を指名してお買い求めになることもありますね。こんなことができるのも酪農家が点在しているこの地ならではです」。

牧場や品種だけでなく、そのときの飼料や季節によっても少しずつ味わいが異なるそう。実際に工房を訪れた人は、試食して気に入ったものを購入することができます。

「チーズはそう安いものではないですからね。気に入ったものを納得して購入してほしいと思っています。乳製品というのは、基本に忠実に、真面目に作れば、おいしくできないはずはないんです。そもそも牛が出してくれる生乳はとてもおいしいものですから」。

そう笑う宮内さん。実際にゴーダチーズを食べてみると、ミルクの柔らかさが感じられるフレッシュな味わいで、牛乳のおいしい部分だけを凝縮したようです。

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「ワインを練り込み熟成するワインゴーダもお勧めですよ」と語る宮内さん

今後宮内さんがやってみたいと思っているのが、ホエイを使って作るブラウンチーズだそう。チーズを作ると製造過程で発生するのがホエイという液体。牛乳から乳脂肪分やカゼインが取り除かれたもので、高タンパク、低脂肪で栄養価が高いため、近隣で養豚などを行っていればエサとして利用されます。

しかしたいていは廃棄されているのが現状。リコッタチーズはホエイを使用して作られるフレッシュチーズですが、賞味期限が短いので、大量に生産しても買い手がいなければやはり廃棄されてしまいます。いかにホエイを活用するかというのはチーズ工房共通の悩みなのです。

そこで宮内さんが目をつけたのが、新鮮な生乳とホエイを煮詰めて作るブラウンチーズ。ブラウンチーズの故郷、ノルウェーではもともとヤギ乳で作られており、ヤギを意味するイェト(Gjet)とチーズを意味するオスト(Ost)を合わせて、ブルノスト(Brunost)というチーズ名で親しまれていますが、最近では牛乳から作られるものもあるそうです。

ホエイと牛乳を褐色になるまで煮詰め、最後にクリームで味を整えて完成。キャラメルのように緻密な生地に黒糖を思わせる甘さがあるといいます。おいしくて、フードロスの解消にもつながるブラウンチーズ、完成が楽しみですね。

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注目のブラウンチーズ(※イメージ)。薄くスライスして、パンに乗せて食べると美味

今回は、河口湖チーズ工房のゴーダチーズと合わせて楽しみたいワインを2種類セレクトしました。

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ヌヴィアナ カバ<ブリュット>

ヌヴィアナ カバ<ブリュット>
オープン価格

シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造る辛口カバ。マカベオ種、チャレロ種、パレリャーダ種をブレンドした心地よいフレッシュ感のあるスパークリングワインで、リンゴ、洋ナシ、レモン、トロピカルフルーツなどのアロマが感じられます。

ペアリングのポイント

かすかなトーストやナッツの香りが、ゴーダチーズのミルキーな風味にぴったり。どちらもクセがなく万人に愛される味ので、パーティーシーンにも重宝します。

 

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ベリンジャー
ファウンダース・エステート シャルドネ 

ベリンジャー
ファウンダース・エステート シャルドネ 
オープン価格

1876年、フレデリックとジェイコブのベリンジャー兄弟がナパ・ヴァレーで創業したカリフォルニア屈指のワイナリー。辛口でしっかりとしたシャルドネ主体の白ワインは、リンゴや洋ナシの爽やかさやトロピカルフルーツの香り、クリーミーな味わいがバランスよく感じられ、芳醇さとフレッシュ感を併せ持つ、カリフォルニアのシャルドネ種の特長を表しているワインです。

ペアリングのポイント

樽香とチーズのミルキー感が相性抜群。塩味のあるスモークサーモンと組み合わせたり、香ばしいナッツやイチジクなどがあるとより味に深みが増しそうです。

 

どちらもクリスマスや年末のパーティーシーズンに、活躍すること間違いなしの組み合わせ。ぜひ試してみてください。河口湖チーズ工房のゴーダチーズは、オンラインでも購入できますが、牧場や品種を指定して買いたい場合は工房を訪れて。2024年には現在の工房の隣に新しい工房がオープンし、熟成庫も誕生する予定。夫婦2人で営んでいるので、訪れる前に電話で予約をするのがおすすめです。

ワインの購入はこちらから(外部サイトにリンクします)

河口湖チーズ工房の購入はこちらから
https://www.kawaguchiko-cheese.com/(外部サイトにリンクします)

 

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。