日本ワイン産地として西日本NO.1の産出量を誇る、岡山県。グランポレールには、岡山県産のブドウを原料としてワインを造る「岡山ワイナリー」があります。今回、同ワイナリーで造られているマスカット・オブ・アレキサンドリア種とマスカット・ベーリーA種」から造られたグランポレールワイン2種の魅力、そして理想的なマリアージュについて、ソムリエ大越基裕さんに語っていただきました。
※国税庁統計年報 「ワイン」及び「日本ワイン」果実酒製造業者実態調査(平成30年度調査分)
果実酒の都道府県別ランキング 岡山県(西日本1位)
目次
ワイン産地における岡山県について
―編集長
岡山県は、西日本NO.1の産出量を誇るワイン産地。
同県はフルーツ王国と知られるほか、雨が少なく「晴れの国 岡山」と呼ばれる温暖な産地です。大越さんは、“岡山県”と“岡山県産のワイン”についてどのようなイメージを持たれていますか。
―大越
岡山県はワイン用のブドウ産地として、注目されるべき場所だと思っています。
日本は気候がなかなか安定しないといった部分がありますが、その気候が安定していることが岡山県をフルーツ大国に押し上げているひとつの要因でしょう。
個人的に岡山県産のワイン用ブドウには、優しい味わいで作られているイメージがありますね。
―編集長
岡山県は台風も少ない地域だと聞いています。
―大越
そうですね。ブドウ栽培において台風は怖い存在です。そういった部分が少ないこと自体、産地としてはメリットになっているのではないでしょうか。
岡山県のマスカット・オブ・アレキサンドリア種についてのテイスティング
―編集長
本日は、「グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」と「岡山マスカット・ベーリーA〈樽熟成〉」の2種を大越さんにご試飲いただき、コメントを頂戴したいと思います。
まず1本目は、「グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」。
岡山のマスカットは生食用としての価値が高く、このブドウを使用してワインに仕立てるというのは、とても贅沢に感じます。
ぜひ、ワインの味の特長や魅力についてコメントをいただけますでしょうか。
―大越
まず、「グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」の香りから。
マスカットの芳香性の高さ、グラスに鼻を近づけただけでアロマティックな香りをキャッチできます。
味わいについては、少し残糖が残る、よりやわらかい印象。ただし、アフターのフレイバーに、“オレンジの花”や“バラ”などのフローラルな香り、マスカット・オブ・アレキサンドリアらしい華やかな香りがぐっと残りますね。
また、後味にポジティブなほろ苦さを持っているところもマスカット種のワインらしいポイントです。
―編集長
ありがとうございます。
大越ソムリエおすすめ理想のマリアージュ“ゆず大根”
―編集長
「グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」に料理を合わせるなら、どんなものがよいかお聞かせください。
―大越
いろいろなペアリングが思いつきますが、僕としてはこのマスカット・オブ・アレキサンドリアの香りを活かしたい。
また、ワインに少し甘味があるので料理側に酸味があると、その甘味とバランスが取れます。
そういった中で今回提案するのが、「ゆず大根」です。
大根を甘酸っぱくマリネにし、ゆずの香りをつけた料理ですが、“甘い×酸味”のバランスが取れます。
また、先ほどお伝えしたようにこのワインのアフターに“オレンジの花”のような柑橘を思わせる香りがあるため、ゆずのような柑橘の香りが入ってきてもマスカットの華やかな香りを生かせるんです。
ワイン自体もミディアムライトといったボディ感ですので、油脂分が強いものより、こういった軽やかなものの方が合わせやすいでしょう。
―編集長
マスカット・オブ・アレキサンドリアとゆず大根とは、予想外です。試す楽しさのあるペアリング提案ですね。
◆レシピ ゆず大根
材料(4人分)
大根 1/2本
塩 大1
砂糖 50g
酢 大3
柚子の皮 1個分
柚子 1個分
柚子の皮(千切り) 適宜
作り方
1.大根は5cm長さに切り、スライサーで薄切りにして塩をふり、よく揉んで水気を絞る。柚子の皮は粗みじん切りにし、実は絞る。
2.鍋に砂糖、酢を入れ弱火にかけ、砂糖がとけたら火を止め、柚子のしぼり汁を加え混ぜ合わせる。
3.保存瓶に1と2を入れ、柚子の皮を加え、半日以上漬け込む。
4.お皿に3を盛り付け、柚子の皮の千切りを飾る。
※漬け込みはファスナー付きプラスティック・バッグやビニール袋でもOKです。
※料理&レシピ 料理研究家/フードコーディネーター 福島さやかさん作成
岡山県のマスカット・ベーリーA種についてのテイスティング
―編集長
さて、続いては「岡山マスカット・ベーリーA〈樽熟成〉」。
西日本有数のマスカット・ベーリーAの産地として知られる岡山県井原市のブドウだけで仕込み、樽熟成を施したこだわりのワインです。
ぜひ、このワインの特長と魅力について大越さんのコメントを頂きたいと思います。
―大越
マスカット・ベーリーAといえば山梨県がイメージされますが、グランポレールのマスカット・ベーリーAは、“日本にもテロワールがあるのだな”と思わせてくれる指標のような存在です。
香りは黒イチゴや黒糖、わた飴、火を入れた甘やかなストロベリーの香りなど、典型的な品種の特長がキレイに上ってきます。
樽熟成ということで、樽感、ヴァニラやシナモンといった香りも加えられていますね。
口当たりが甘やかな果実感ですが、樽の介入とフレッシュな酸のおかげでダレず引き締まった印象。骨格のある味わいとバランスに仕上がっています。
ちなみに、熟度感がやや高めといった部分は山梨県のそれとの違いでしょうか。マスカット・ベーリーAが熟した豊潤さが、より出ていると感じますね。
―編集長
ありがとうございます。
大越ソムリエおすすめ理想のマリアージュ“焼き鳥”
合わせるお料理についてお聞きしてよろしいでしょうか。
―大越
今回、提案するのは「焼き鳥」です。
自宅でお料理をされる方が増えている昨今、家庭で焼き鳥が焼ける「家庭用焼き鳥器」などが流行っています。ベランダで焼き鳥を楽しめるキットもあるなど、“ワイン×焼き鳥”のペアリングを自宅で楽しめる時代になりました。
ただ、今回提案するのはタレの焼き鳥単体ではなく、そこにからしをつけたものとのペアリング。
「マスカット・ベーリーA〈樽熟成〉」とタレとの相性の良さはもちろん、からしが入るとワインの甘やかな感じをよい意味でからしが抑制してくれます。
焼き鳥のタレとからし、そしてマスカット・ベーリーAが織りなす、興味深い世界観とハーモニーを楽しむことができます。
また、マスカット・ベーリーA自体タンニンが少ないブドウ品種なので油脂分が少なく、ポーションの小さな焼き鳥のような料理の方が合わせやすいでしょう。
◆レシピ 焼き鳥
材料(2人分)
鶏もも肉 1枚
長ネギ(白い部分) 1本
ししとう 8本
ミニトマト 8個
塩・胡椒 少々
A
醤油 大3
みりん 大3
酒 大1.5
オリゴ糖 大1.5
練り辛子 適宜
七味唐辛子 適宜
竹串8本
作り方
1.鶏肉は一口大に切り、塩胡椒で下味をつける。長ネギは3cm長さに切る。
2.竹串に鶏肉と長ネギを交互に刺し、別の竹串にししとう、ミニトマトをそれぞれ刺す。
3.フライパンに2を入れ、両面焦げ目がつくまで焼く。
4.別の鍋にAを入れ、半量になるまで煮詰め絡めてタレを作り、焼いたねぎま串に絡める。
5.お皿にねぎま、ししとう、ミニトマト串を乗せ、お好みで練り辛子、七味唐辛子を添える。
※野菜串はお好みの野菜でOKです。野菜串にタレをかけても美味しいです。
※料理&レシピ 料理研究家/フードコーディネーター 福島さやかさん作成
―編集長
焼き鳥とマスカット・ベーリーAと聞いて、“シンプルだな…”と思ったのですが、さすが大越さん。からしを使うとはひねってきましたね。
―大越
北海道は豚肉と玉ねぎに洋がらしをつけて食べるのですが、マスカット・ベーリーAを合わせたらとてもよいペアリングだったんです。
また、七味唐辛子やししとうといったものも組み合わせるとおもしろいですね。ししとうは緑系の香りがあるので、マスカット・ベーリーAと興味深い世界観を作ってくれると思います。
―編集長
焼き鳥にからし、ししとう、七味唐辛子などすぐにチャレンジできそうです。ペアリングは体験することがもっとも理解しやすいですからね。
個人的にも楽しんでみたいと思います。
岡山県産ワイン2種への率直な感想
―編集長
本日は大越ソムリエに今日2種の岡山産ワインの試飲をして頂きました。
率直な感想と、今回のマリアージュを楽しむポイントがございましたらお願いします。
―大越
マスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカット・ベーリーAということで、香りをいかに生かしたペアリングができるかが重要になります。
例えば、マスカット・オブ・アレキサンドリアであれば果実の甘やかさが特長ですし、煮詰めたストロベリーの香りはマスカット・ベーリーAの特長です。
甘いものに濃い味わいのものを合わせがちですが、それでは重たくなり過ぎてしまうため、よい意味で全体のバランスを取る必要があるでしょう。
今回提案したような、ツンとするからしや七味唐辛子の辛さ、ししとうの青っぽさなど、こういったものが甘やかな果実感とのバランスを取ってくれることもあるんです。
岡山県産のワインをペアリングするなら、この「香り」に着目したペアリングがおもしろいのではないでしょうか。
ブランドマネージャーの感想・今後の意気込み
―編集長
大越さんのマリアージュのお話などを受けて、グランポレール・ブランドマネージャーの高久さんからひとことお願いします。
―高久
大越さん、今回も素晴らしいペアリング提案ありがとうございます!
ゆず大根や焼き鳥といったものであれば家庭でも試しやすいですし、おっしゃる通り本格的な焼き鳥を自宅で楽しむハードルは下がってきています。
ワインオープナー読者の皆さんも、ぜひ今回のペアリングを試してみてください!
編集部 荻原:
今回は、岡山県で栽培される「マスカット・オブ・アレキサンドリア種とマスカット・ベーリーA種」から造られたグランポレールワイン2種の魅力、そして理想的なマリアージュについて、大越ソムリエにお聞きしました。
ワインを生活の中に取り入れることで、きっと毎日が豊かになるはずです。
ゆず大根とマスカット・オブ・アレキサンドリア、そして焼き鳥とマスカット・ベーリーAとの組合せ。とても身近な料理ですので、ぜひ皆さんもこれらペアリングに挑戦してみてください!
今回ご紹介したワインは、グランポレール岡山ワイナリーで造られています。醸造家 原田英雄さんのワイン哲学にも触れてみてください。
「グランポレール岡山ワイナリー」については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「グランポレール 岡山ワイナリー 醸造家 原田英雄さんが語る!岡山県のブドウ・ワインの魅力とは?」
グランポレール オフィシャルサイトはこちら
「グランポレール|サッポロのワイン」
今回ご紹介したワインの購入はこちら
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