ワインを楽しむうえで知っておきたいテクニックのひとつが、利きワインです。「色」「香り」「味わい」を評価するための基本を身に付けましょう。ワインを正しく評価できるようになれば、プライベートで楽しむときもワイン選びに自信が持てます。
今回は、利きワインで押さえておくべきポイントを3つのステップに分けてご紹介します。
利きワインとは?
利きワインとは、いわゆるワインのテイスティングです。ワインはただ飲むのではなく、香りや味わい、色などを総合的に楽しむもの。テイスティングのやり方を身に付けておくことで、ワインの持つ魅力をさまざまな角度から評価できるうえ、自分の好みやお気に入りの料理に合う1本が見つかりやすくなります。
ワインは産地・製法・使用するブドウの品種・収穫年など、あらゆる要素で印象が大きく異なるものです。利きワインのコツをマスターしておくと、さまざまなシーンでぴったりのワインを見つけられるでしょう。
利きワインの方法・3つのステップ
利きワインの上達は、「色」「香り」「味わい」と3つのステップに分けて覚えることがポイントです。この項目では、具体的にチェックすべき点とコツをご紹介します。
1. 色
まずはグラスに注がれたワインの色を見ましょう。同じワインでも熟成度や産地などにより、色の印象は異なります。
ワインの色を見るときは、白い紙ナプキンやポケットチーフ、ハンカチなどをグラスの後ろにあてると微かな違いにも気付くことができます。
色で見るべきポイントは、以下の4つです。
・色調・・・温暖な生産地のワインほど濃くなる。また白ワインは若いほど、赤ワインは熟成するほど色調が薄くなる傾向に
・透明度・・・一般的に透明度が高いほどよい。ただし自然派ワインなど濾過していないものは透明度が低い
・粘度・・・糖分やアルコール度数が高いワインは粘度も高い
・輝き・・・状態の良いワインは輝きがある
多くのワインを実際に見て経験していくと、次第にそれぞれの特長が分かるようになります。
白ワインは若いものや冷涼な気候の生産地のものほど色合いが薄く グリーンがかっており、熟成されたものや温暖な気候で生産されたものほど黄金色が強く出る傾向です。赤ワインは若いうちは紫がかった赤色をしており、熟成とともに淡くレンガ色へ変化します。同じ品種であれば、温暖 な土地で生産されたものほど濃く深い赤色で、透明度が低いことが特長です。
2.香り
最初はグラスを回さずに1秒間吸ってみましょう。ワインの基本的な香りや印象を楽しみます。感覚が麻痺してしまうため、香りを楽しむときは長く吸わないことがコツです。
次にグラスを回し、数秒間かけてじっくり香りを確認します。グラスを回したことで、最初に抱いた印象とは異なる発見ができるでしょう。
若いワインほどブドウ本来の香りを感じやすく、花や果物などの香りが含まれています。熟成したものはバターやキャンディなどのほか、白ワインはハチミツ・ナッツ、赤ワインは紅茶・キノコなどの香りが印象的です。
ちなみにグラスを回し、ワインに空気を含ませて香りを引き出すことを「スワリング」と呼びます。スワリングの詳しい情報については以下のページでご紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
https://wine.sapporobeer.jp/article/how_to_turn_wine/
3.味わい
最後は実際に口へ含み、味わいを確認します。「飲む」のではなく、少量のワインを舌全体へ行きわたるよう含んで口をすぼめ、息を吸い込むようにして味わいを「確認する」のみに留めましょう。
味わいを確認した後は、口内に残ったワインを紙コップや吐器に出します。以下のようにさまざまな味わいを感じることができます。
・甘味
・渋味
・酸味
・苦味
・凝縮感
・重量感
甘味や渋味、酸味はある程度理解はできるものの、それ以外の味わいはどういうときに感じるものだろう?と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
苦味は渋味と混同されがちですが、完熟したブドウを使っているときに心地よく感じられます。
凝縮感は、ワインの中の様々な成分が「ギュッ」と凝縮し、味の深みや広がりを持っているかということ。
重量感とは、いわゆるボディのこと。ライトボディ・ミディアムボディ・フルボディなどの表現を見かけたこともあるかと思います。ワインの甘み、酸味、アルコール度数、渋味などのバランスがどのようにとれているかを表すときに使われるのが重量感です。軽やかなものをライトボディ、対して骨格がしっかりとしていてどっしりとしたワインをフルボディと表現します。
上記の6つのポイントを意識し、じっくりとワイン1本1本の特長を見つけてみてください。余韻までしっかりと楽しむことがポイントです。
実践!利きワインにチャレンジ
3ステップそれぞれの基本を理解できたら、次はいよいよ実践です。この項目では、利きワインにチャレンジしたい方へおすすめの組み合わせをご紹介します。
■同一品種で利きワイン
利きワインの実力を身につけるには、同一品種で行い、感覚を鍛えていくことが重要です。たとえば白ワインの原料となるブドウには、利きワインの経験を積むに最適な品種があります。
例①:シャルドネ
白ワインの女王とも呼ばれるシャルドネ種は、生産地によって印象ががらりと変わる特性のあるブドウです。強い酸味を感じるものもあれば、酸味の中にかすかなミネラル感を見つけるものもあるなど、利きワインの練習に最適なワインと言えます。
おすすめは、以下の3本の組み合わせです。
ドメーヌ・タリケ タリケ シャルドネ(参考小売価格:税抜1,200円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/TB74/
フランスのワイン新興生産地であるガスコーニュ地方で生まれた1本です。
ロブスターやチーズの他、新鮮な魚のグリルともよく合います。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
[イエローテイル]シャルドネ(参考小売価格:税抜1,007円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/L221/
オーストラリア発の人気ワイナリー、カセラ・ファミリー・ブランズが手掛けた白ワインです。
パスタやグラタンなどクリーム系の料理はもちろん、刺身や焼き鳥など素材の味を楽しめる料理におすすめです。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
サンタ・リタ 120(シェント・ベインテ)シャルドネ(参考小売価格:税抜1,200円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/T457/
安価で良質なワインを多く日本へ輸出している、チリのサンタ・リタの旗艦ブランド「120」シリーズです。
白身魚のソテーやサーモンのグリルなど、素材の味を活かした素朴な魚介料理におすすめです。また、食前酒としても活躍します。
ブドウのシャルドネ種や代表的な白ワインについては、以下のページでも解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
https://wine.sapporobeer.jp/article/chardonnay/
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例②:カベルネ・ソーヴィニヨン
シャルドネ種が白ワインの代表的品種なら、赤ワインの王者とも呼ばれる代表的な品種がカベルネ・ソーヴィニヨン種です。世界中で広く栽培されている黒ブドウで、熟成によって色調やタンニン、酸味 の変化などが楽しめます。
おすすめは、以下の3本の組み合わせです。
コレクション・プリベ・マルゴー(参考小売価格:税抜3,700円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/T472/
世界的なワイン産地であるボルドー生まれのワイナリー、コーディアが発売したフルボディの赤ワインです。
赤身の肉料理やレバーペーストなど、濃厚な味わいとよく合います。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
ベリンジャー カリフォルニア・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜1,200円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/L277/
140年以上の歴史を持つアメリカのベリンジャー・ヴィンヤーズで生産された、ミディアムボディの1本です。
ぶりの照り焼きや肉じゃがなど、意外にも和食との相性が抜群です。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
ネダバーグ・カベルネ・ソーヴィニヨン(参考小売価格:税抜1,517円)
https://www.sapporobeer.jp/product/wine/LL41/
南アフリカの代表的なワイナリーのひとつ、ディステルが手掛けたミディアムボディの赤ワインです。
ローストビーフやステーキといった、赤ワインとのマリアージュの定番とも言える肉料理と合います。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
カベルネ・ソーヴィニヨン種の特長や人気の赤ワインについては、以下の詳細ページもぜひご覧ください。
https://wine.sapporobeer.jp/article/cabernet_sauvignon/
■おつまみとともに利きワイン
おつまみ片手に談笑しながら利きワインを楽しみたい方は、吐き出さずにしっかりと味わってみましょう。ワインのおつまみで失敗しない定番アイテムは、以下の4つです。
・生ハム
・オリーブ
・チーズ
・サーモン
上記の他、ワインによってはケーキなどスイーツ系が合うこともあるため、自分なりのマリアージュを試してみてください。
もし迷ったら、定番のチーズを選べば失敗しないでしょう。ワインとチーズの組み合わせについては、以下のページでご紹介しています。
https://wine.sapporobeer.jp/article/cheese_wine/
※ ワインについては、記事掲載時点での情報です。
まとめ
利きワインは、いわゆるテイスティングのことをさしています。グラスに注がれたワインを楽しみつつ、色や香りをじっくりと確認し、最後に舌で味わいや余韻を楽しんでみましょう。
ワインは同じ品種のブドウを使用していても、生産地やワイナリー、その年の気候などさまざまな要因で印象が異なる奥深いものです。利きワインの実力を身につけると、より深くワインの魅力に気付くことができます。
個人でも練習することができるため、ぜひ挑戦してみてください。
この記事を監修したソムリエ
杉浦直樹
歌舞伎役者として人間国宝 中村雀右衛門に師事。15年ほど主に歌舞伎座に舞台出演。その後銀座のクラブマネージャーを経て、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。現在は支配人兼ソムリエとして、ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒を専門とし たフレンチレストランを経営する。
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