ソムリエ、ワインテイスターとして活躍する大越基裕さんをアンバサダーに迎えたサッポロビールのプレミアム日本ワイン「グランポレール」。“全国各地の郷土料理とグランポレールのペアリング”をテーマにした、ユニークな企画をスタートさせました。第一弾は大越さんの故郷でもある、「北海道編」。北海道の郷土料理とグランポレールのペアリングについて、さらに郷土料理とのペアリングの魅力や今後について大越さんに語っていただきました。
目次
郷土料理にグランポレールを合わせた理由
なぜ、グランポレールと「郷土料理」なのでしょうか?
―――大越
「このコロナ禍において、今後も家庭での食事の充実が進んでいくでしょう。家庭で郷土料理を食すこと自体は頻繁にあると思いますし、今後コロナ禍が緩んでいく上で国内での移動において自分の故郷ではない地方の郷土料理を食す機会も増えていくと思います。地方の郷土料理は文化的にも重要性を持っていますし、旅行などで外からやってくるお客さまに向けても重要な位置を示していますよね。」
たしかに日本人にとって郷土料理はとても重要なものです。
―――大越
「郷土料理はその地域の方の意識下に残っている大切な料理ですし、別の地方の方にとっても興味が湧く料理です。例えば、今回は北海道の郷土料理を取り上げましたが、北海道以外の方にとってはそこまで身近な食べ物ではありません。日本料理なのに日本全員が知っているわけではないので食べてみたいと思わせますし、地元の方も“地元の郷土料理”が取り上げられたら嬉しいはずです。」
そんな郷土料理と人を繋ぐ架け橋がグランポレールというのは意義がありますね。
―――大越
「すき焼きや肉じゃが、しゃぶしゃぶなどはすでにワインとの相性が出ていますし、グランポレールだけに合うというわけでもありません。やるのであれば、日本の家庭料理である郷土料理という地方性に着目したかった。まずは、郷土料理とグランポレールを結びつけ、相性を明確にする。こうすることで、地方をふくめた数多くの方にグランポレールを身近に感じていただけるのではないかと思っています。」
グランポレールのワインについて
今回、主軸としているグランポレールのシリーズは?
―――大越
「今回、中心に考えているのはグランポレールの『プレミアムシリーズ』です。同シリーズの一番の魅力は、品種が豊富であること、そして日本を代表する4つの産地に畑を所有し、その土地らしいワインを表現できているところでしょう。ほかにはあまりないスタイルです。」
バリエーションにこだわった感じでしょうか?
―――大越
「もちろん品種の多さは魅力ですが、ワインはどこで造られているかが大切です。日本の特性、産地の特性、品種の特性。それらが多岐にわたることでワインのバリエーションが増えていきます。郷土料理を合わせる上でも、その土地のものだけにこだわるのではなく、さまざまなバリエーションを試していくことでよりよいものを見つけられると考えています。
そういった意味で、グランポレールの『プレミアムシリーズ』は魅力的ですね。もちろん、『スタンダードシリーズ』や『シングルヴィンヤード』でも相性がよいものは提案していきたいですが、基本的には『プレミアムシリーズ』を主軸に進めたいと思っています。」
「北海道編」で選ばれた郷土料理とワインの組み合わせ
冒頭でお伝えしたように、日本各地の郷土料理とグランポレールのペアリング企画第一弾は、「北海道編」。さまざまな郷土料理とグランポレールの相性を試した結果、4つの組み合わせが提案されました。
★室蘭やきとり ×グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成
★じゃがバター × グランポレール 余市ケルナー<遅摘み>
★ジンギスカン × グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ <特別仕込み>
★石狩鍋 × グランポレール 山梨甲州<樽発酵>
これらペアリングのポイントなどを大越さんにお聞きしてみました。
室蘭やきとり × グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成
室蘭やきとりと「グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成」のペアリングのポイントを教えてください。
―――大越
「室蘭やきとりは、豚肉と玉ねぎにからしを付けて食べる郷土料理です。しっかりめのタレにつけて豚肉を焼き、からしにつける甘辛い味わいが特徴ですね。
一方、『グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成』は野性味のあるブラックベリーにストロベリーの香り、そこから来る甘やかな感じが特徴のワイン。こういった甘やかな香りに対し、甘い香りのするタレのニュアンスは香りのハーモニーをつくりやすいといえます。
また、タレの甘さをからしが切ってくれる、“甘い、辛い”といった室蘭やきとり構成と甘い香りを出しつつドライに味わいを持ってくる『グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成』の味わいの構成が似ているところもポイントです。口に残るほど良い甘さのハーモニーもポイントですね。」
家庭で再現するには…?
―――大越
「室蘭やきとりをご家庭で再現したい場合、醤油とみりん、砂糖のバランスで甘辛い“すき焼きのタレ”のようなものを豚肉につけて焼くだけでいいのではないでしょうか。また、『グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成』は焼鳥のタレと合うので、単純に焼鳥のタレを豚肉につけて焼くだけでもペアリングの方向性としては面白いと思います。」
グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成(参考小売価格:税抜1,808円)
購入はこちら(外部サイトにリンクします)
じゃがバター ×グランポレール 余市ケルナー遅摘み
じゃがバターと「グランポレール 余市ケルナー遅摘み」のペアリングのポイントを教えてください。
―――大越
「じゃがバターの特徴は、“食感がやわらかい”ところ。歯ごたえがほとんどないため、酸がキリっとしていたり、タンニンが強いなど骨格がしっかりとしたワインでは飲み応えが強く相性が難しくなります。
つまり、じゃがバターにはテクスチャー(食感)を合わせていくとうアプローチになりますね。そうなると柔らかさを持っているワインとの相性が良いのですが、この特徴を持つワインは、アルコール度数が高くリッチなスタイルか甘みがちょっとあるスタイルのワイン。
じゃがいもはお野菜ですのでアルコールが強いものより、結果的に少しだけ残糖がある『グランポレール 余市ケルナー遅摘み』がちょうど良いと判断できます。さらにバターのコクや塩気があるものなので、ちょっと糖分のあるワインだと塩気とのバランスが良い。食感の部分と甘みと塩気の部分で、味わいのバランスのマッチ度が上がります。」
家庭で再現するには…?
―――大越
「北海道の大通り公園などでは少し小ぶりの男爵芋を二つくらい割り箸にさすような形で売っていますが、ご家庭ではシンプルに調理すればよいと思います。ホイルで包んで焼いた後に切れ目を入れ、バターをかけて塩をかける…。塩気がポイントなので有塩バターの方がいいですが、『インカのめざめ』などの品種は甘いので無塩バターでもいいかもしれませんね。」
グランポレール 余市ケルナー 遅摘み(参考小売価格:税抜2,308円)
購入はこちら(外部サイトにリンクします)
ジンギスカン × グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ <特別仕込み>
ジンギスカンと「グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ <特別仕込み>」のペアリングのポイントを教えてください。
―――大越
「私は北海道出身ですので、羊は子どもの頃からよく食べていました。スーパーにはラムしゃぶなどが普通に売っていましたね。それくらい、北海道の方にとってみれば身近な食材といえます。
さて、ジンギスカンも甘辛いタレに漬込んで焼くか、焼いてそのタレにつけて食べるかといった味が濃い郷土料理です。こういった味の料理には凝縮感のあるブドウを選びたいところです。そこで北海道のブドウの中でもっとも凝縮感を出せるツヴァイゲルトを使った『グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ <特別仕込み>』を合わせました。
骨格があるブドウなので、しっかりと噛ませるお肉との相性が良く、濃い味で食べさせるジンギスカンと中和的なバランスで合わせられます。『グランポレール 岡山マスカットベーリーA樽熟成』も良さそうですがこちらは柔らかいですし、室蘭やきとりのようにからしがあったから成り立った世界観ともいえます。北海道のブドウ品種という部分でも親和性が高いですね。」
家庭で再現するには…?
―――大越
「ジンギスカンは全国的にも有名な北海道の郷土料理です。そのため、ジンギスカンのタレや羊肉もよく見かけますし、もやしや玉ねぎを合わせる程度で簡単に再現できます。『松尾ジンギスカン』がとくに有名ですが、タレに漬込まれたパックのものを使うだけでも十分だと思いますよ。」
グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ <特別仕込み>(参考小売価格:税抜3,008円)
購入はこちら(外部サイトにリンクします)
石狩鍋 × グランポレール 山梨甲州樽発酵
石狩鍋と「グランポレール 山梨甲州樽発酵」のペアリングのポイントを教えてください。
―――大越
「石狩鍋は、簡単にいうと“味噌鍋”です。鍋の中に海鮮がたくさんはいる郷土料理ですが、特徴的なのはシャケが入るところでしょうか。ご家庭によってはホタテなどの魚介類も入るようですが、私もよく昔は食べていましたね。
さて、北海道では石狩鍋を合わせ味噌で仕立てるので、白ワインとの相性が良いですね。香り系というよりは甲州種のような香りをかぶせないもの、穏やかなタイプのもの、魚介の味わいを支えて生かしてくれるものがいいでしょう。『グランポレール 山梨甲州<樽発酵>』はシュールリーなどをしていることから、うまみを持っている石狩鍋のような料理にはぴったりです。同調感を合わせる、というところがポイントになってくるペアリングでしょう。」
家庭で再現するには…?
―――大越
「合わせ味噌などがあれば十分ですね。みそ汁のような感じですので、魚介たっぷりのリッチなみそ汁という感じ。また、塩味系も甲州種にはいいですね。おだやかな味わいに仕立てて甲州種によせていくと相性が良くなるでしょう。甲州種に合わせるのであれば、キムチ鍋など味わいが強くなってしまうような味付けは避けた方が無難です。」
グランポレール 山梨甲州〈樽発酵〉(参考小売価格:税抜2,508円)
購入はこちら(外部サイトにリンクします)
ご紹介したペアリングの詳細は、グランポレールブランドサイトでもご紹介しております。
ワインと料理を合わせるコツ
郷土料理が持つ個性に合わせた見事なワインペアリングでした。ちょっとだけ料理にワインを合わせるコツを教えていただけますか?
―――大越
「郷土料理だから…というわけではなく、基本的に全ての料理にワインを合わせる時のポイントは同じです。料理とワインを合わせるコツは大きくわけて5つほどあります。
①香りの共通点(香りのハーモニー)
②料理とワインの重さを合わせる(脂分に対するワインの骨格の強さなど)
③脂を中和する要素(酸やタンニンのバランス)
④口当たりを合わせる(テクスチャー(食感)のバランス)
⑤似た味わい(酸味のある料理に酸味のしっかりとしたワインなど)
こういったポイントを2つ3つ重ね合わせていき、ひとつの組み合わせを見つけ出すという流れです。可能性をいろいろ探りながら、より良い組み合わせを見つけ出していきましょう。」
郷土料理とグランポレールのペアリング 今後について
今後、北陸や中部、西日本など各地の郷土料理とグランポレールを試していきます。どのようなことを楽しみにしていますか?
―――大越
「今回は北海道だったので僕自身よく知っていますし、わかっていることも多くありました。ただ、他の地方の郷土料理で食べたことのないものは多いですし、その味の構成によってワインとどのようなペアリングの世界を見せてくれるのか楽しみで仕方ありません。」
郷土料理とワインを通じて、新しい世界が見えたらおもしろいですね。
―――大越
「今後、その地域に行き、その地域で郷土料理を食べてみたいと思っています。ちなみに、“地域と地域のものを合わせるのが最も良い”とされている部分がありますが、その地方のワインという部分にこだわるのではなく、テイストという部分にぐっと寄ってご紹介していきたいと考えています。」
今回、北海道ならではのワインも出てきましたが?
―――大越
「そうですね。今回、北海道のケルナーとツヴァイゲルトが登場しましたが、あくまで“たまたま”だと考えています。地方性だけで、ペアリングは語れません。さまざまな組み合わせを楽しむために、ワインにはバリエーションがあるのです。そういったワインを使い、さまざまな郷土料理とペアリングを伝えていきたいですね。」
ブランドアンバサダー 大越基裕さんご紹介
今回お話しを伺った大越基裕さんは、グランポレールのブランドアンバサダーとして活躍いただいています。
・大越基裕さんプロフィール
北海道出身。『銀座レカン』ソムリエを経て2013年よりワイン・テイスターとして独立。青山のベトナム料理「AnDi」がミシュランでビブグルマンを獲得。殆どのお客様がオーダーするペアリングコースが大好評。その他講演、執筆、コンサルタントなど多方面で活躍。
保有資格は、「国際ソムリエ協会」インターナショナルA.S.I.ソムリエ・ディプロマ 、ブルゴーニュ大学認定醸造技師(DTO)、IWC審査員、JALワインアドバイザーなど。
ブランドアンバサダーに就任された際に、大越基裕さんにグランポレールの魅力を語っていただいた記事もぜひご覧ください。
https://wine.sapporobeer.jp/article/grande_polaire_ambassador/
グランポレールの購入はこちら
グランポレールの購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
まとめ
郷土料理は、長年その土地で受け継がれてきた文化的にも重要な料理。“郷土料理とグランポレールを合わせる”というアプローチによって、より私たちの生活にとってワインが身近な存在となっていくはずです。
「北海道編」で登場した郷土料理とグランポレールのペアリングも、地元の方たちはもちろん、アレンジ次第でほかの地域の方たちも再現しやすいものばかりでした。
郷土料理、家庭料理でもっとグランポレールを身近な存在に!ぜひ、第2回、第3回のペアリングも期待しましょう。
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。