CULTURE

GRANDE POLAIRE STORY
~想いをつなぐ日本ワイン~
Vol.8 グランポレール安曇野池田ヴィンヤード
石原大輔さん【前編】

2003年に誕生した日本ワイン「グランポレール」。キーメッセージである「想いをつなぐ日本ワイン」を深掘りすべく、WINE OPENERでは4つの産地にフォーカスしていきます。生産者や醸造担当者の言葉から見えてくる、グランポレールに宿る魅力とは何か――。今回登場するのは、2009年に開園したグランポレール安曇野池田ヴィンヤードの栽培家・石原大輔さんです。穏やかな笑顔の奥に潜むのは、ワイン醸造のためのぶどう栽培に駆ける情熱。前編では石原さんの栽培家としてのキャリアを振り返りながら、パーソナルな部分にもフォーカスしていきます。

text WINE OPENER編集部 photo 岡崎健志

GRANDE POLAIRE STORY 08

日本アルプスワインバレーに属す
安曇野池田ヴィンヤード

風光明媚な北アルプス山麓に広がる安曇野市は、名水百選にも選ばれた豊かな水に恵まれ、昼夜の寒暖差があることから日本有数の米どころとしても知られています。昭和45年に米の生産地調整政策が実施されると、転作作物として蕎麦が広く栽培されるようになり、「安曇野=蕎麦」のイメージが定着しました。蕎麦の味と香りを引き立てるわさびも特産品で、市内にはわさび農園が点在しています。

※イメージ。(写真/shutterstock)

安曇野池田ヴィンヤードがある長野県池田町は、ぶどう栽培が盛んな地域。2018年3月には、近隣の安曇野市と大町と並んで国の「ワイン特区」に認定されました。県道51号線沿いにある「池田町ハーブセンター」では、池田町産ぶどうで醸造されたワインや食用ぶどうをはじめ、ハーブや野菜を購入することができます。 GRANDE POLAIRE STORY 08 長野県北部に位置する安曇野池田ヴィンヤードは、グランポレールが日本ワインの新たな可能性にチャレンジするために開園した自社畑です。北アルプスを源流とする高瀬川と東側の山地に挟まれ、標高は560m~630m。風通しがよく夜温が下がりやすい冷涼な気象条件と、養分が少なく水はけの良い土壌条件が重なり、グランポレールが誇る高品質なぶどうが育ちます。白ワイン品種ではシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、赤ワイン品種ではピノ・ノワール、メルロー、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培。多様なぶどうを、試行錯誤しながらも器用に育てているのが今回の主人公・石原大輔さんです。

ワイナリーでの醸造経験が
栽培家としてのターニングポイントに

GRANDE POLAIRE STORY 08 ―石原さんは大阪のご出身で、高校卒業後は岡山大学農学部の自然科学研究科へ進学されたそうですね。農学部に進学した理由は?

石原大輔(以下、石原):食全般に興味があったからだと思います。食べることが好きだったのもありますが、もともと自然が好きだったんです。生まれ育ったのは大阪の南部で、自然に囲まれた場所だったので。だからここ安曇野池田の環境も大好きなんです。

―岡山大学では大学院まで通ったそうですが、どのような研究をされていたのでしょうか?

石原:主に大麦の遺伝子を研究していました。だから、ぶどうは全然関係なかったですね(笑)

―大麦と言えばビールの原料ですが、サッポロビール入社を志望した理由はビール醸造だったのでしょうか?

石原:いえ、特に大麦やビールに対するこだわりがあったわけではなく、サッポロビールを志望したのはお酒の原料に関わる仕事がしたかったからなんです。大麦もホップもぶどうもそうですが、お酒の原料となる植物に興味があって。サッポロビールは原料にこだわる会社なので、そこに共感したのが志望動機でした。

―入社後は、ここ安曇野池田ヴィンヤード一筋で?

石原:入社6年目の2015年に、1年半だけ岡山ワイナリーに転勤しています。そこでワインの品質管理の仕事や、契約農家さんからぶどうを買い付ける購買の仕事もやらせてもらいました。自分的には、岡山ワイナリーの経験がひとつのターニングポイントだと思っています。

GRANDE POLAIRE STORY 08 ―それはどういうことですか?

石原:収穫したぶどうがワインになるまでのプロセスと、高品質なぶどうとは何かを学ぶことができたからです。

―なるほど。入社からぶどう栽培に没頭してきた石原さんがワイン醸造の現場に入ることで、自分が栽培すべきぶどうを具体的にイメージできたということですね。では、どのようなぶどうが高品質と言えるのでしょうか?

石原:一番大事なのは、健全であること。その次に大事なのが、しっかり熟していることだと思います。ぶどうは病気になりやすい果実なんですね。要するにカビのついていないぶどうを育て、しっかり熟したものを出荷することを、ワイナリー側は求めているんです。もちろん頭では理解していたつもりですが、醸造の現場に入ったからこそ腑に落ちたんだと思います。ぶどう栽培のその先にあるワイン造りについて考えることを習慣化できたのが、自分にとって大きな経験でした。

知識を吸収することは、
とても楽しいこと

GRANDE POLAIRE STORY 08 ―石原さんはぶどう栽培に関する知識や経験を、どのように積み上げていったのでしょうか?

石原:栽培マニュアルがあるわけじゃないので、栽培や醸造に関連する本を読み漁ったり、講習会に参加したり、社内の先輩や近隣の農家さんや他ワイナリーの方から情報をいただいたりしました。いろんなところから知識をつまみ食いして、今の自分が出来上がっているような感じですね。本を読んだり人から教えていただいた知識を、実際に畑に出てやってみて、そこで生まれた疑問は本を読んだり人に聞いて解決して、また畑で実践してみる…その繰り返しですね。

―そうやって調べたりすることは、昔から好きだったんですか?

石原:興味のあるものに対しては凝り性というか、わりと深くハマるタイプでしたね。自転車もそうですし、昔はHIPHOPにハマってレコードを集めたりもしていました。食べることに関しても同じで、ラーメンや蕎麦が好きなので、今でもいろいろ食べ歩いたりしていますね。

―安曇野といえば蕎麦が有名ですもんね。

石原:はい。安曇野には有名なお蕎麦屋さんがたくさんありますからね。

―ちなみに、石原さんの推しは?

石原:えっとですね…本当のことを言ったほうがいいですよね?

―お願いします!

石原:実はこの界隈のお蕎麦屋さんではなく、長野市の戸隠というエリアにあるお店でして。もちろんこれは僕個人の感想であって、ここ安曇野にも美味しいお蕎麦屋さんはたくさんあります。どこが一番好きかということよりも、お蕎麦屋さんを食べ歩いて比較して、自分なりに体系立てて感想を持つことが大事だと思っています。それはワインや日本酒に関しても同じですね。知識を吸収することは、とても楽しいことですから。

GRANDE POLAIRE STORY 08

>>>後編は2月16日(金)公開予定です。

 

GRANDE POLAIRE STORY 08

グランポレール安曇野池田ヴィンヤード
石原大輔さん

幼少期に描いた将来の夢は、漫画家とラーメン屋の大将だったそう。「自分でものを作って、人に楽しんでもらう仕事がしたかったんだと思います」と石原さん。学生時代はHIPHOPにハマり、音楽浸けの毎日を送る。やがて興味の対象は「酒の原料となる植物」に向き、サッポロビール入社後はグランポレール安曇野池田ヴィンヤードの栽培家としてぶどう栽培に情熱を注ぐ。尊敬するワイン生産者は「M.シャプティエ」。

■My favorite GRANDE POLAIRE

GRANDE POLAIRE STORY 08

グランポレール 安曇野池田 シラー 2018
オープン価格

安曇野池田ヴィンヤード初の「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2023」金賞受賞ワイン。「受賞の一報を受けたときは、今までの努力、苦労が報われた気持ちでした。と同時に、関係者のみなさんに感謝を伝えたいと思いました」と、石原さんにとっても思い入れの強い1本に。ブラックチェリーのアロマやシラー独特のホワイトペッパーのようなスパイシーなニュアンスと、滑らかでふくよかな味わいで、冷涼な安曇野池田ヴィンヤードのテロワールを表現している。

 

長野の高冷地は
蕎麦の聖地

GRANDE POLAIRE STORY 08

「信州そば」と聞けば、蕎麦っ喰いが黙っちゃいない―。「戸隠そば」や「開田そば」など、長野県には名産地が数多く点在しています。安曇野池田ヴィンヤードがある北安曇郡池田町にも有名な蕎麦店が多く、蕎麦の薬味に欠かせないわさびは全国有数の生産地。安曇野に立ち寄った際は、ぜひ蕎麦めぐりもお忘れなく。

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

 

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