CULTURE

GRANDE POLAIRE STORY
~想いをつなぐ日本ワイン~
Vol.7 サッポロビール岡山ワイナリー
原田英雄さん・大黒達希さん【後編】

2003年に誕生した日本ワイン「グランポレール」。キーメッセージである「想いをつなぐ日本ワイン」を深掘りすべく、WINE OPENERでは4つの産地にフォーカスしていきます。生産者や醸造担当者の言葉から見えてくる、グランポレールに宿る魅力とは何か――。今回登場するのは、グランポレールの醸造拠点のひとつである岡山ワイナリー。醸造の中枢を担う原田英雄さんと大黒達希さんが大切にしていることは、キーメッセージの「想いをつなぐ」ことでした。後編では、岡山ワイナリーを代表するぶどう品種「マスカットベーリーA」「マスカット・オブ・アレキサンドリア」について解説。さらに自身が抱く使命と情熱を、両者が静かに語ります。

text WINE OPENER編集部 photo 本宮 誠

■前編はこちら

GRANDE POLAIRE STORY 07
左が大黒達希さん、右が原田英雄さん

岡山ワイナリーを代表する
2つのぶどう品種について

―岡山ワイナリーならではのぶどう品種と言うと、「マスカットベーリーA」と「マスカット・オブ・アレキサンドリア」になるのでしょうか?

大黒達希(以下、大黒):そうですね。マスカットベーリーAは山梨県も産地ですが、グランポレールで展開しているのは岡山産マスカットベーリーAで製造している「グランポレール 岡山マスカットベーリーA<樽熟成>」のみです。

原田英雄(以下、原田):これは僕の主観ですが、山梨産のマスカットベーリーAよりも、岡山産は香りが華やかだと思います。同じぶどう種でも、気候や土壌の違いが出ますからね。

―岡山ワイナリーが原料として扱っているマスカットベーリーAは、岡山県のどのエリアで栽培しているのでしょうか?

原田:岡山ワイナリーがある赤磐市よりも西側に位置する井原市ですね。昔からマスカットベーリーAを栽培している地域で、山間にぶどう畑があるんです。

大黒:驚くような斜面地に畑があって、機械とか絶対に入れないような場所ですが、水はけはいいんですよね。

原田:立地的に栽培効率は悪いかもしれませんが、手をかけて栽培してくれるのでぶどう自体がすごくきれいなんです。納品されたぶどうを選別するときに、井原の農家さんが育てたマスカットベーリーAは取り除くものがほとんどない。すぐに仕込みに使える品質のぶどうを持ってきてくれるんです。もともと生食用のぶどう(ニューベリーA)を栽培していたという背景も影響しているのかもしれません。

GRANDE POLAIRE STORY 07 大黒:マスカットベーリーAは1927年に新潟県で開発された黒ぶどう品種で、その歴史も長く、日本の気候に栽培適性が合っているんですよね。だから品質の高いぶどうが育つし、和食ともペアリングしやすいワインに仕上がります。 

WINE OPENERで公開中の記事にもありますが、すき焼きとマスカットベーリーAの相性は最高でした。

原田:香りから来るちょっとした甘さが、すき焼きに合うのかもしれませんね。すき焼きの割り下もそうですが、マスカットベーリーAは砂糖と醤油を使って味付けした和食とは特に合うと思います。

GRANDE POLAIRE STORY 07 ―一方のマスカット・オブ・アレキサンドリアは、岡山県が全国生産量の9割を占めています。なぜ岡山で栽培が定着したのでしょうか?

原田:日本で初めてマスカット・オブ・アレキサンドリアの温室栽培に成功したのが岡山県で、それをきっかけにさまざまなぶどうの栽培が盛んになっていったようです。マスカット・オブ・アレキサンドリアの原産地はエジプトなので、多湿の日本とは真逆の気候ですよね。だから岡山でマスカット・オブ・アレキサンドリアを栽培した当初(1920年頃)は、ガラス室の温室栽培だったそうです。岡山県は台風が少ないので、ガラス温室が壊れにくかったことも、マスカット・オブ・アレキサンドリアの栽培が定着した理由のひとつかもしれません。

―マスカット・オブ・アレキサンドリアの特徴を挙げると?

原田:香りが上品で他にはない高貴さを感じますね。

大黒:ぶどうの段階でも上品さは感じますが、ワインにした状態のほうが特徴は強く出ると思います。ワインになってから半年くらい熟成させると、さらにマスカット・オブ・アレキサンドリアの個性が捉えやすくなると思います。

グランポレールの価値を
さらに高めていくことが自分たちの使命

―グランポレールは2023年に20周年を迎え、キーメッセージが「想いをつなぐ日本ワイン」にリブランディングされました。そのメッセージに対して、どのような感想を持っていますか?

原田:グランポレールは、畑でぶどうを育てる栽培家、そのぶどうをワインにする醸造家、そしてワインを販売する人たちの想いがつながって成立するものだと思っています。あとは、グランポレールのワイン造りに関わってきた先輩方の技術や想いも、自分たちにバトンとしてつながっています。当然、僕たちはそのバトンを次につなげていかなければならないので、「想いをつなぐ日本ワイン」というメッセージの奥深さを感じています。

大黒:グランポレールが誕生して20年になるので、誤解を恐れずに言うと、ブランド立ち上げに参加した大先輩方の引退が近づいているわけです。そういう過渡期であるからこそ、「想いをつなぐ日本ワイン」というメッセージの意味を痛感しています。諸先輩方の想いや技術を受け継ぐなんて、僕みたいな若造が簡単に言えることではありませんが、その想いを持ちながら頑張っていきたいと思っています。

―ブランド20周年と聞くと長いようにも感じますが、グランポレールとしてはまだまだこれからという認識でしょうか?

大黒:まだまだこれからですね。グランポレールを立ち上げた諸先輩方から、ようやくバトンをもらうところに今いる感じでしょうか。今まで築き上げてきたグランポレールの価値を、さらに高めていくことが自分たちの使命だと思っています。

原田:バトンをもらったら、次は渡すことも考えないといけません。これからのグランポレールを担う人材育成も、我々の使命ですね。

―おふたりがその“バトン”を渡す前に、グランポレールで造ってみたいワインはあったりしますか?

原田:具体的な味わいのイメージはありませんが、お客様が「また飲みたい」と思えるワインを造っていきたいですね。そのためには、今のトレンドや食生活にもアンテナを張る必要がありますし、進化させないといけないことも出てくると思います。想いをつなぎ、受け継ぐことも大事ですが、変化を恐れずに取り組んでいきたいです。

大黒:「ちょっとした驚き」のあるワインを造っていきたいですね。岡山ワイナリーで造るワインであれば「この価格帯で、この味わい?」とか、そういう嬉しい驚きを与えられるワインをお客様にお届けしたいです。

GRANDE POLAIRE STORY 06

右/原田英雄(はらだ・ひでお)さん
左/大黒達希(おおぐろ・たつき)さん

サッポロビール岡山ワイナリーの中枢を担う醸造家。先輩である原田さんは「大黒はキャリアだけでは図れない信頼感がある」と、醸造におけるパートナーを評す。ちなみに原田さんが幼少期に抱いていた夢は「パイロット。いろんな地域を飛び回るという意味では、今の仕事にも通じている」とか。一方の大黒さんは「ウルトラマンですかね(笑)。今はチームの重要性を感じていますが、戦隊ヒーローよりも、ひとりで戦って解決していくヒーローに憧れた」と振り返る。チームでのワイン造りを大切にしながら、醸造家としての情熱を静かに燃やすおふたりでした。

原田さんと大黒さんがおすすめする
岡山ワイナリーを代表するワイン

グランポレール 岡山マスカットベーリーA<樽熟成>
オープン価格

 

 

 

 

 

 

グランポレール 岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア<薫るブラン>
オープン価格

 

 

 

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

 

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