CULTURE

GRANDE POLAIRE STORY
~想いをつなぐ日本ワイン~
Vol.2 グランポレール北海道北斗ヴィンヤード
野田雅章さん【前編】

2003年に誕生した日本ワイン「グランポレール」。キーメッセージである「想いをつなぐ日本ワイン」を深掘りすべく、WINE OPENERでは4つの産地にフォーカスしていきます。生産者や醸造担当者の言葉から見えてくる、グランポレールに宿る魅力とは何か――。今回登場するのは、2018年に開園したグランポレール北海道北斗ヴィンヤードで日々ぶどうと対峙する、栽培家の野田雅章さん。前編ではグランポレールの4つの産地の栽培責任者でもある野田さんの哲学に迫ります。

text WINE OPENER編集部 photo 岡崎健志

GRANDE POLAIRE STORY 02

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新興産地「道南エリア」に開園した
グランポレールの未来を担うヴィンヤード

グランポレール北海道北斗ヴィンヤードは、1896年に創設された「トラピスト修道院」の敷地の一部を利用し、2018年に開園しました。津軽海峡を見下ろす25.4ha(現在の植え付け面積は9.2 ha)に及ぶ広大な土地で、「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「メルロー」「シラー」「ピノ・ノワール」「ゲヴュルツトラミネール」「甲州」といった多様なぶどう品種を栽培しています。ファーストヴィンテージとなった「グランポレール 北斗シャルドネ<初収穫>2022」は高い評価を獲得し、ワイン集積地として注目を集める「道南ワイン」の価値を押し上げました。

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夜景の名所である函館山や五稜郭を擁す函館市からは、車で1時間圏内。海産物の宝庫である道南エリアの朝市は活気に溢れ、新鮮な魚介がどっさり乗った海鮮丼に目を奪われます。他県を圧倒する恵まれた土地であることは周知の事実ですが、ぶどう栽培地としてはどのような魅力があるのでしょうか。グランポレール北海道北斗ヴィンヤードの栽培家、野田雅章さんに話を伺いました。 GRANDE POLAIRE STORY 02

ファーストヴィンテージは
自分の想像を超える仕上がりに

―道南エリアは北海道の新たなワイン集積地として注目を集め、進出するワイナリーの数も徐々に増えています。本州と比べると、どのような環境的優位性があるのでしょうか?

 野田雅章さん(以下敬称略):北海道は冷涼な気候ということもあり、キレのある酸が品質的な特徴だと思います。私は本州でもぶどう栽培をしてきましたが、一番の問題は酸が落ちやすいこと。つまり、酸度が低くなってしまう傾向がある。ぶどうは熟すにつれて酸味が少なくなっていくので、本州ではぶどうの成熟度と酸度のバランスに注意して、酸が落ちすぎない時期に収穫する必要があります。ところが北海道は冷涼な気候のため酸の低下が穏やかで、高いレベルを維持してぶどうが熟し、結果的にキレのある酸が生まれます。これが本州との違いであり、環境的な優位性と言えるのではないでしょうか。一方、道内の生産地と比べると、北斗は比較的温暖な地域なので、凍害リスクが低いという点も挙げられますね。

―同じ北海道ですが、北斗と余市でも気候的な違いがあるのでしょうか?

 野田:はい。5月、6月、7月あたりは余市の方が温かいのですが、逆にぶどうが成熟する8月、9月、10月は北斗のほうが気温は上がります。なので、 同じ北海道でも、こういった相違が産地の個性として表れてくる可能性があると考えています。

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―そんなグランポレール北海道北斗ヴィンヤードのファーストヴィンテージが「グランポレール 北斗シャルドネ<初収穫>2022でした。ワインの仕上がりに対して、どのような感想を抱きましたか?

野田:ファーストヴィンテージにしては、出来すぎたなって(笑)。昨年は成熟時期に天候に恵まれた影響も大きいとは思いますが、想像以上によかったです。

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―ぶどうの良し悪しは、どの段階でわかるものなのでしょうか?

 野田:収穫間近が一番よくわかると思います。実際にぶどうを口に含んで確認するのですが、去年のシャルドネは香りの広がりやボリュームがトップクラスでした。私の栽培経験の中でも一番でしたね。だから「この品質のぶどうでいいワインが造れなかったら今後は厳しいぞ」という不安もありましたし、逆に「いいワインに仕上がるなら今後も期待できる」という両方の気持ちがありました。結果的に自分の想像を超える仕上がりになったので嬉しかったですが、このクオリティを維持していくプレッシャーみたいなものも感じています。

―先ほど、成熟時の天候に恵まれたと仰っていましたが、苦労した点はありましたか?

 野田:成熟期間から収穫前は好天に恵まれましたが、逆に夏はひどかったんです。7、8月まではものすごい雨が続き、降水量は例年の2倍以上。そうなると病気が出やすいんです。ぶどうの病気は雨で広がるものなので…。その時期に注意深く栽培管理をして、あんまり病気を出さずに乗り切れたこともポイントだったと思います。

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―具体的にどのような作業をしたのでしょうか?

野田:しっかりとぶどうの状態を観察して、果実のまわりの葉っぱをひたすら手で取る作業です。葉を取り過ぎると日焼けして駄目になってしまうので、そこを加減をしながら通気性を高めて、病気にかかりにくくするということです。あとは、ここの畑は傾斜地にあるので、水はけの良さも有効的に働きました。

タイミングを見計らい
適期作業することが最も大切

―野田さんがぶどう栽培で一番大切にしていることは何ですか?

野田:適期作業です。適切な時期に手入れをすることを心掛けています。適期から遅れてやっても作業の量としては同じですが、ベストのタイミングでやればぶどうはしっかりと反応してくれるものなんです。

―その適期は、どのように判断するのでしょうか?

野田:感性ですね。誰が見てもこれが正しいということはなく、私の感性で判断する。ぶどう栽培には様々な作業があります。今やらなければいけない作業に濃淡をつけて、最も必要な作業から重点的にやっていくという考え方です。あとは、タイミングも大事。そこを間違うと、病気も出るし、虫に喰われてしまったり、余計に手間がかかってしまいます。少しの判断を間違えるだけで、連鎖的に悪影響を及ぼしていくので、注意深く観察することがとても大事なんです。

>>>後編に続く

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グランポレール北海道北斗ヴィンヤード
野田雅章(のだ・まさあき)さん
岡山大学農学部で果樹園芸学を専攻。マスカットや巨峰などの食用ぶどうの研究に従事。1993年、サッポロワイン社(現サッポロビール)に入社。岡山ワイナリーに勤務し、敷地内にある小さなぶどう畑の管理を担当。後に、当時サッポロワイン社が所有していたワシントン州のぶどう畑の管理を担当する。ワイン研究所の所員として栽培技術や技術開発にも従事してきた。現在はグランポレールの4つの産地の栽培責任者。

グランポレール 北斗 シャルドネ<初収穫> 2022
オープン価格 ※数量限定販売品 

青リンゴや白い花のような香りが楽しめます。爽やかで生き生きとした酸味がバランスの良い、エレガントなワインです。

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

 

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