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日仏醸造家による
話題のブレンド・ヌーボー。
今年は赤と白、2種類が解禁

恒例となった日仏醸造家によるオンラインブレンド・ヌーボーが、今年も11月16日に解禁を迎えます。WINE OPENER編集部では、10月初旬に行われたオンラインブレンド直後に、醸造家のブリジット・プッツさんと久野靖子さんの対談を実施。今年は「ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子 2023」と「ラブレ・ロワ マコン・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子 2023」の2種類。それぞれのヌーボーをブレンドした当事者だから語れる、その魅力とは――。

text WINE OPENER編集部 photo Ryosuke Sugino

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ブリジット・プッツ
ラブレ・ロワ社醸造責任者。フランス国家資格ワイン醸造士(D.N.O.)取得。「メゾン・フランソワ・ショーヴネ」、「メゾン・ルイ・マックス」、「メゾン・ルイ・ヴィクトール」の醸造家や支配人を経て、2014年より現職。

 

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久野靖子
サッポロビール・グランポレール勝沼ワイナリー工場長。入社後、ワイン専任営業やマーケティング業務を経て、フランスでワインの勉強をするため単身留学。ボルドー大学のDUADを修了した後、帰国。2022年より現職。

ブレンドの基本コンセプトは、
ヌーボーの基本に立ち返ること

ブリジットさんと久野さんによるブレンドは、今年のヌーボーで4回目になります。今年はガメイ種の「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー」とシャルドネ種の「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー」、赤・白2種類のオンラインブレンドが行われました。

久野:昨年は世界情勢が不安定だったこともあり、「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー」のみの発売になりましたが、今年は2年振りに「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー」のオンラインブレンドも行うことができました。

昨年はコロナ禍の影響があり、なかなか海外に行くことが難しい状況でしたので、少しでも海外気分を味わっていただきたいという想いのもと、フランスでは定番の生ハムとチーズに合うブレンドを意識しました。

でも今年は、コロナ禍の様々な制約からやっと解放されましたよね。だから「家族や友達と一緒に、新酒が出来た喜びを共有する」というヌーボーの基本に立ち返り、親しい人たちとの食事の席で飲んでいただけるワインをイメージしてブレンドしました。

ブリジット:もちろんフランスでも、ボージョレ・ヌーボーと言えば夏の終わりと秋の訪れを告げるお祭りです。ブドウ栽培のサイクルの最後のお祝いで、家族や友人など親しい人たちと一緒に、その喜びを分かち合うもの。文化的な行事なのです。

今年は「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー」と「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー」、2種のオンラインブレンドが実現できたことを、とても嬉しく思っています。

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ブリジットさんにお聞きしますが、ボージョレ地区とマコン地区は隣接していますが、それでも地域特性に違いはあるのでしょうか?

ブリジット:おっしゃる通りボージョレ地区とマコン地区は地理的には近く、気候的にもほぼ同じです。違いを挙げるなら、土壌です。この土壌の違いによりボージョレ地区ではガメイ種が、一方のマコン地区ではシャルドネ種が伝統的に栽培されてきました。

先ほど終了したオンラインブレンドの実施に至るまで、何かおふたりで事前のやりとりはあったのでしょうか?

久野:ブリジットさんとはもう4回目のブレンドになるので、今回は特に細かい打ち合わせはしていません。原酒のヴィンテージ情報を頂戴していましたし、私もボージョレ地区やマコン地区の天候などの情報は日々収集していますしね。

でも、正直に言ってしまうと、実際にブレンドをしてみないとわからないことが多いんです。一発勝負みたいに聞こえるかもしれませんが、実はそうではなく、ブリジットさんと私の信頼関係の積み重ねみたいなところが大きい仕事だと思っています。

今年の4月にプライベートでフランスへ行ってブリジットさんにお会いし、ブドウ畑を見学させていただき、改めてラブレ・ロワ社のフィロソフィーに触れることが出来ました。そういった経験もあり、今まで以上に安心感のあるオンラインブレンドになったと感じています。

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原酒の素晴らしさを
さらに高めるブレンドを意識

今年のブレンドは、何本の原酒が用意されたのでしょうか?

久野:白が3本、赤が3本ですね。

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どのような視点で原酒を選んだのでしょうか?

ブリジット:ワインは複数のタンクで醸造していますが、必ずタンクごとに試飲します。どのタンクが最もテロワールを表現できているか、代表的な味わいか、そういった視点で選んでいます。今年のマコン・ヴィラージュは醸造期間が長く、とても美味しい原酒に仕上がっていました。醸造期間が長くオンラインブレンドまでに間に合うか不安もありましたが、無事に3本ご用意することができ、ほっとしています(笑)。

久野:ブリジットさんのおっしゃる通り、マコン・ヴィラージュに関しては3本とも甲乙つけがたい素晴らしい仕上がりでした。ただやっぱり1本ごとに特徴があり、香りが印象的であったり味の持続性が長いもの、マコンにしては少し甘いニュアンスがあるものも。

ブレンドのポイントとしては、タンニン由来の渋みが強いものが1本あったので、それをどのようにコントロールするかをブリジットさんと話し合いながら着地させました。

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ブリジット:マコンのシャルドネはとても生育過程がよく、プレス直後のジュースを味見したとき、このヴィンテージは素晴らしいワインに仕上がると確信しました。だからマコン・ヴィラージュは、どんなブレンドをしても素晴らしいワインに仕上がると思っていました。

ブレンドのポイントは、靖子さんもおっしゃった通り、あまり重たいものにはしたくないという狙いがありました。冒頭でも言いましたが、今回はお食事と一緒に楽しむことで、さらに美味しいと感じられるワインを目指したかったので。

一方、ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボーのブレンドは、どのようなことを意識されたのでしょうか?

久野:こちらは結構悩みました。マコン同様にどの原酒も素晴らしいクオリティだったので。候補に挙がったブレンドすべてがヌーボーとしてすごく美味しかったのですが、ワインとしての完成度みたいなところを追いたかったので、味の持続性に長けたブレンドを最終的に採用しました。

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ブリジット:とてもヌーボーらしいワインに仕上がりましたね。昨年は比較的アルコール度数が高く、強い印象のワインでしたが、今年のボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボーは非常に伝統的なヌーボーの味わいに仕上がったと思います。

マコンは牡蠣フライ、
ボージョレは煮込みハンバーグとぜひ!

今年のヌーボーは、どのような料理に合わせたいと思いましたか?

ブリジット:オンラインブレンド中も、リヨンの伝統的なにんにく入りソーセージやカマンベールチーズを用意して、そのマリアージュも意識しながらテイスティングしました。

今年のボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボーは、そういったシャルキュトリーやチーズと非常に合わせやすいと思います。

一方のマコン・ヴィラージュ・ヌーボーは、チーズにも合いますが魚料理がいいですね。私の大好きなお寿司ともよく合うはずです!(笑)

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久野:たしかにマコン・ヴィラージュ・ヌーボーは、白身魚の握りにおすすめですね。ちょうど解禁日(11月17日)あたりが日本では牡蠣の旬なので、ぜひ牡蠣フライとも合わせて楽しんでいただきたいですね。クリーミーなお料理とも合うので、ホワイトソースやベシャメルソースを使ったお料理もいいと思います。

ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボーは、まずは煮込みハンバーグやビーフシチューと合わせて楽しんでいただきたいですね。

今年のオンラインブレンドを通して、新たな発見みたいなものはありましたか?

久野:いいワインを造っていくことの面白さ、でしょうか。品質の良いワインを造るのは当然として、目指すクオリティを追っていく楽しさみたいなものを再発見できました。細かい調整を最後までやったので、その細部を決めていく過程が面白かったです。

ブリジット:ブレンドの結果がすべてなので、靖子さんとの信頼関係も含めて、更新された素晴らしさがこの2本にあると感じています。

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今年のヌーボー解禁を心待ちにしている日本の皆さんには、どのように楽しんで欲しいですか?

ブリジット:マコン・ヴィラージュ・ヌーボーはとにかく香りが素晴らしい。あとは味わいもミネラル感が強く、非常にきれいなワインに仕上がりました。ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボーも非常にいい仕上がりですので、ぜひ親しい人たちと食卓を囲み、会話を楽しみながらヌーボーをお祝いして欲しいですね。そこには間違いなく笑顔があると思いますし、私も日本の皆さんの反応を楽しみにしています。

久野:最近の日本は、スポーツ関連では明るい話題がありますが、ニュースでは物価高などネガティブな情報を耳にする機会が多いのではないでしょうか。そんな中で、ヌーボーが明るい話題のひとつになってくれたら嬉しいですね。今年も素晴らしいワインが出来たというお祝いをすることで、そこに笑顔が生まれる。ワインを生活に取り入れることで、たくさんの笑顔が生まれることを願っています。

2U25_ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子 2023_G01_外観
ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー
byブリジット・プッツ&久野靖子 2023
オープン価格(750ml)

 

 

 

 

2U26_ラブレ・ロワ マコン・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子 2023_G01_外観
ラブレ・ロワ マコン・ヴィラージュ・ヌーボー
byブリジット・プッツ&久野靖子 2023
オープン価格(750ml)

 

 

ボージョレ・ヌーボー 2023
https://www.sapporobeer.jp/wine/beaujolais/

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。