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日仏醸造家にインタビュー!
話題のブレンド・ヌーボー、解禁。

2021年も好評を博した日仏醸造家によるオンラインブレンド・ヌーボー「ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子」が、2022年も11月17日に“解禁”を迎えます。WINE OPENER編集部では、10月初旬に行われたオンラインブレンド直後に、醸造家のブリジット・プッツさんと久野靖子さんにインタビューを実施。2022年のオンラインブレンド・ヌーボーは、どんな食事とも合わせられる、抜栓から最後の1杯までおいしいワインに仕上がったようです。

text WINE OPENER編集部 photo 杉野良輔

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

ブリジット・プッツ
■ブリジット・プッツ
ラブレ・ロワ社醸造責任者。フランス国家資格ワイン醸造士(D.N.O.)取得。「メゾン・フランソワ・ショーヴネ」、「メゾン・ルイ・マックス」、「メゾン・ルイ・ヴィクトール」の醸造家や支配人を経て、2014年より現職。

 

久野靖子
■久野靖子
サッポロビール・グランポレール勝沼ワイナリー工場長。入社後、ワイン専任営業やマーケティング業務を経てフランスにワインの勉強の為単身留学。ボルドー大学のDUADを修了した後、帰国。2022年より現職。

食中酒として、最初から最後まで
楽しんでいただけるワインを目指した

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

―ブリジットさんと久野さんによるブレンドは、2022年のヌーボーで3回目になります。“オンライン”ブレンドとしては2021年が初めての試みでしたが、振り返るとどのような感想ですか?

久野:それまでやったことがない挑戦でしたし、原酒の長距離移動という懸念もありました。でも、2019年に私がラブレ・ロワ社のオフィスに伺って、ブリジットさんと2日間に渡ってブレンドを行う過程で、私の好みやブリジットさんの価値観などかなり濃密な擦り合わせをしてきたんですね。その経験があったからこそ、オンラインブレンドという挑戦が実現できたんだと思います。

ブリジット:とても非日常で興味深い経験でした。モニター越しでしたが、お互いの考え方をしっかりと話し合えましたし、靖子さんとは同じ部屋でブレンドしているような気分でした。2021年は冷夏でブドウの成熟がうまくいかず、厳しいヴィンテージだったにも関わらず満足のブレンドができたのは、靖子さんとの信頼関係があったからでしょう。私たちが目指したフルーティさとフレッシュさと酸味のバランスが非常によい仕上がりだったと思います。

久野:2021年のヴィンテージはとてもバランスが良く、丸みやふくよかさが抑えめで、酸を中心としたバランスの良さが特長でした。私がワインに求めるエレガントさがきちんと出ていましたし。

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

―そんな2021年の試みを経て、2022年のオンラインブレンド・ヌーボーはどのようなコンセプトだったのでしょうか?

久野:食中酒として、最初から最後まで楽しんでいただけるワインを目指しました。つまり、冷菜も温かいお料理も、お魚でもお肉でもおいしい、そんなキャパシティの広いワイン。このコンセプトは2021年も2022年も変わっていません。そのうえで、2021年と2022年の違いは、生ハムやカマンベールチーズに合うヌーボーを意識したこと。というのも、2022年はやっと外でボージョレ・ヌーボーを楽しめる雰囲気ですよね。その解放された気持ちを、生ハム×カマンベールチーズ×ボージョレ・ヌーボーという、非常にフランス的でわかりやすい提案で楽しんでいただきたいと思いました。

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

ブリジット:2022年の原酒の品質は非常に素晴らしいものでした。2021年よりも簡単だったとは言いませんが、気持ち良くブレンドの日を迎えることが出来ましたね。

ワインの中に太陽を感じることができる
食中酒にぴったりのヌーボー

―先ほどオンラインブレンドが無事に終了しましたが、実際どのようなやりとりがあったのでしょうか?

久野:ブリジットさんから原酒を3本お送りいただきましたが、どれもいい。どれもいいんですが、その中で私の好みの1本に、他の2本を20%、30%、40%…と割合を変えてブレンドして試していくという作業を繰り返しました。

―ブレンドが完成して、お二人が生ハムとカマンベールチーズと合わせて試飲していたときの笑顔が非常に印象的でした。どういう心境だったのでしょうか?

久野:正直おいしいなと思いましたし、このブレンドで良かったと思いました。「そうそう、ワインとチーズってこういうおいしさがあるよね」って再認識しました。

ブリジット:このヌーボーとのマリアージュは本当に完璧でしたね。ブレンドの構成にぴったりだったので、思わず笑みがこぼれたのだと思います。

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

―2021年と2022年のオンラインブレンド・ヌーボーを比較すると、どのような違いがあると感じましたか?

ブリジット:2021年と比べ、2022年のヌーボーはもっと成熟したリッチな印象です。ワインの中に太陽を感じることができますね。

久野:2021年のヌーボーは、一本芯があってエレガントで、すっとした立ち姿のワインでした。一方、2022年のヌーボーは酸が控えめですが、その代わりに力強さでバランスをとるタイプなので、コクのあるお料理にも合わせてみたくなりましたね。それこそビーフシチューにも負けないと思います。コンセプト通り、食中酒にぴったりのヌーボーですね。

新酒が解禁される喜びを
みんなで分かち合ってほしい

―オンラインブレンドを通して、醸造家としての哲学のようなものをお互いに感じ、刺激を得たのではないかと想像します。この点についてはいかがでしょうか?

久野:ブリジットさんは、とても柔らかい雰囲気でいらっしゃるんですが、すごくクレバーな方なんですね。ワインに限らずものづくりの過程には、さまざまな選択肢が出てくると思いますが、その選択の整理が非常に上手な方なので、そこから学ぶところが多かったです。

ブリジット:靖子さんのワイン造りのフィロソフィー、ワインに対する考え方に触れることができたのは、とても大きな経験でした。靖子さんは自分が何を求め、どういうワインが造りたいかが非常にはっきりしています。そして、それを言語化して伝えることも上手。このオンラインブレンド・ヌーボーは、靖子さんと私の経験が交わったことで、完璧なバランスを生み出せたのだと思います。

ヌーボー_オンラインブレンド_2022

―オンラインブレンド・ヌーボー「ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野靖子 2022」が、いよいよ2022年11月17日に“解禁”を迎えます。それを心待ちにしている方々には、どのように楽しんでほしいですか?

久野:2022年のヌーボーは、世界情勢や円安などの事情もあり、例年とは違うことも多いと思います。それでも、ボージョレ・ヌーボーはボージョレ・ヌーボー。とっても明るくて楽しいものなので、お祭り気分で飲んでいただければと思います。

ブリジット:ボージョレ・ヌーボーはフランスでもお祭りです。ブドウ栽培のサイクルの最後のお祝いで、家族や友達と一緒に、その喜びを分かち合うものです。皆さまにも、靖子さんと私のこのブレンドを、同じように分かち合っていただきたいと思います。フランスではヌーボーを1本や2本で買うのではなく、ほとんどがケース買い。半分はすぐ飲んで、もう半分は熟成を楽しみます。そういった楽しみ方も、ぜひお伝えしたいですね。

久野:今年のオンラインブレンド・ヌーボーは特に、熟成にも向く仕上がりだと思います。2、3年後も楽しめるワインなので、ぜひヴィンテージ違いも楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ ヌーボー by ブリジット・プッツ&久野 靖子 2022

ラブレ・ロワ ボージョレ・ヴィラージュ・ ヌーボー
by ブリジット・プッツ&久野 靖子 2022

参考小売価格:オープン(750ml)

https://www.sapporobeer.jp/wine/beaujolais/

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。