暑くなるといっそうおいしくなるのがカレー。最近はスパイスがきいたカレーも多く、ワインとの相性が気になる方も多いのでは。そこで、WINE OPENER編集部員が、ナビゲーターにブランド担当者を迎えて、「カレー」に合うワインをテイスティングしてみました。おうちで作るカレーは家庭によってもいろいろですが、今回は、ワインにも合いそうなコクのある欧風カレーをチョイス。どんなワインがカレーと合うのか、テイスティングの様子をお届けします!
text WINE OPENER編集部 photo よねくらりょう
目次
ロゼ、白、赤
様々なワインでテイスティング
―今回は、カレーの中でも、比較的家庭で作りやすい牛肉入りの「欧風カレー」に合うワインを探そう!ということで、ロゼ、白、赤と各タイプが揃いましたね。まずは、セレクトした6本を見てみましょう。
テイスティングする6本
②M.シャプティエ
シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ
⑥カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール
ドミーニ ヴェネティ ヴァルポリチェッラ リパッソ クラッシコ スペリオーレ トルベ

辛口のロゼは福神漬け的役割!?
試して見えてくるカレーとの相性
―では、ロゼの辛口「①ドゥーシェ・シュバリエ<ロゼ>」と白の辛口「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」と「③ズッカルディ セリエ・ア トロンテス」から試してみましょう。
山本(ブランド担当以下略):「①ドゥーシェ・シュバリエ<ロゼ>」を選んだポイントは、スパイシーさがあるので、香辛料を使ったカレーと合わせやすいことと、辛口ではあるものの、少し甘みがあるため、辛さを和らげてくれる点です。実際に合わせてみると、ワインの味わいが思いのほかドライでしたので、カレーをリフレッシュさせてくれる効果があるように感じました。
辻井(編集部以下略):私は、辛い食べ物があまり得意ではないのですが、発泡性の刺激でカレーの辛味が強調されるような気がします。辛党向けの組み合わせかもしれないですね。
高橋(編集部以下略):たしかに辛味が結構引き立つように感じます。暑い日に辛いものを食べたくなった時に向いていると思います。
―次は白の辛口で「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」と「③ズッカルディ セリエ・ア トロンテス」です。
山本:「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」の「ゲヴュルツトラミネール」は、ドイツ語で「スパイス」という意味です。まさにその名前がカレーに合うことを示唆していると思いセレクトしました。「③ズッカルディ セリエ・ア トロンテス」は、マンゴーやピーチなどの香りに加えて、少しスパイシーさを感じられるワインなので、相性がいいと思います。
撹上(ブランド担当以下略):「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」はライチのような香りもありますね。今回合わせた欧風カレーに、マンゴーチャツネやりんごなどフルーツの香りがあったので、お互いに寄り添う感じがしました。
磯崎(編集部以下略):この組合せは、思った以上に調和している気がします。ドライだけど、果実味があるため、カレーのスパイシーさが心地よく感じられ、お互いを引き立てていますね。それと比べると「③ズッカルディ セリエ・ア トロンテス」は、ワインの酸味があとを引く気がします。
山本:「③ズッカルディ セリエ・ア トロンテス」の酸はしっかりしているので、ドライな味わいがまた次のひと口へ繋いでくれる感じがしますね。こうして①、②、③と飲み比べてみると、「①ドゥーシェ・シュバリエ<ロゼ>」はお口直しの福神漬的な役割かなと思いました。色味も似ていますし。
一同:確かに!
見えてきた
カレーとの相性のポイント
―次に、甘口のロゼ「④ベリンジャー カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」、赤2種類「⑤ベリンジャー ファウンダース・エステート ピノ・ノワール」と「⑥カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール ドミーニ ヴェネティ ヴァルポリチェッラ リパッソ クラッシコ スペリオーレ トルベ」をテイスティングしてみましょう。
撹上:「④ベリンジャー カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」は、いちごジャムのようなフレーバーがありますね。
高橋:さっきの「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」もカレーによく合うと思いましたが、またそれとも少し違うカレーとの一体感を感じる味です。
磯崎:スパイシーな料理には甘いワインというイメージがあったものの、あまり試したことがなかったのですが、確かに合いますね。コクや甘味など、カレーのそのものの深い味わいを引き立てています。
辻井:このカレーはコクも甘味もしっかりある濃厚なタイプなので、それと同調できる程度の甘味がありつつ、デザートワインより軽快に飲めるベリンジャーはよく合うと思いました。個人的には少し意外な、面白いペアリングです。
山本:ワインの甘味がカレーを受け止めてくれる。それを受け止めた後、ワインはそれほど重くないので、また次の一杯につながります。フルーティな香りの中に、動物っぽい香りもあるのでその辺りは牛肉を使ったカレーの風味に寄り添うかと思います。
「⑤ベリンジャー ファウンダース・エステート ピノ・ノワール」は、渋味が穏やかな方がカレーに合うかと思い選んだワインです。特にカリフォルニアのピノ・ノワールは、柔らかい果実感があって優しいスタイルなので、カレーに合いやすいのでは。
磯崎:私は個人的にこの組合せが一番好きですね。一般的なピノ・ノワールよりも果実味豊かで、カレーと合わせても、渋味が目立たず、うまく調和していて。カレーもワインもお互いの輪郭がはっきりするペアリングのように感じました。
山本:肉を噛みながら飲むと、この赤ワインが肉の旨味を倍増してくれますね。肉の旨味とワインの果実感、ワインの甘味とカレーの甘味。カレーのスパイシーさとピノ・ノワールが持つ優しいスパイシーさ。それらのバランスがいい。
撹上:同じくそう思います。ルーだけなら、ジンファンデルの甘味が合いますが、牛肉のブロックがボディ感のあるピノ・ノワールがいいのかなと。
辻井:「⑥カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール ドミーニ ヴェネティ ヴァルポリチェッラ リパッソ クラッシコ スペリオーレ トルベ」は、すごく好きなワインですが、今日の辛みのあるカレーと合わせるとアルコール感が少し強まる気がしました。でも、ルーではなく具の牛肉に合わせてみるととてもよく合います。
山本:レーズンやプラムみたいな香りに加えて、ビーフジャーキーやなめし革といった香りがあったので、煮込んだ牛肉とは合うと思いました。あの肉を噛み締めた時のワインの甘味と心地よさは筆舌に尽くしがたいです。
今回のワインの中で
カレーといっしょに飲みたいワインはどれ?
―今回のカレーとのペアリングを振り返ってみて、いかがでしたか?
高橋:同じカレーなのに、合わせるワインが違うと、辛かったり、フルーツの甘さを感じたり、奥深い味わいを感じたりと、違うカレーを食べているような気になって面白いなと思いました。
磯崎:「カレーやスパイシーな料理には甘みのあるワインを」とよく言われますが、確かに「④ベリンジャー カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」は同調という意味ではすごく合っていたことを再確認しました。
辻井:日常的な家庭料理のカレーと、ワインが合うことがわかって興味深かったです。テイスティングしてみてわかったのは、濃厚な辛味と甘味のある牛肉のカレーには、果実味が豊かで、アルコール度数が控えめなワインが合わせやすいことでした。
撹上:自分の思い込みで「きっとロゼが合う」とイメージしていましたが、実際に飲んでみないとわからないことを改めて実感しました。普段はドライなワインが好きですが、「④ベリンジャー カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル」のような甘いワインの方が今日のカレーには合いましたね。
山本:やはり、実際に試してみたら、共通項があるものは特においしく感じました。たとえば、「②シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ」の豊かな果実味と、カレーの持つ甘味、また、「⑥カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール ドミーニ ヴェネティ ヴァルポリチェッラ リパッソ クラッシコ スペリオーレ トルベ」が持つちょっと動物的なニュアンスと肉の旨味の同調性が心地よく感じたので、私自身、カレーを作るときには、ワインをテイスティングして、その時のカレーに合うものを探す楽しみができました。読者の皆さんにも、ぜひ、ワインとカレーの相性をいろいろ試して楽しんでいただきたいです。
今回編集部が特におすすめしたい2本はこれ!
M.シャプティエ
シファーコフ ゲヴュルツトラミネール トロッケン・セック ファルツ
参考小売価格:税抜3,500円
ベリンジャー
カリフォルニア ホワイト・ジンファンデル
参考小売価格:税抜1,400円
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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。