春の訪れを祝う、華やかなごちそうと言えば「ちらし寿司」です。おうちで作るカジュアルなちらし寿司も、お取り寄せする贅沢なちらし寿司も、合わせるワインで楽しさは倍増するはず!
そこで、WINE OPENER編集部員が、ナビゲーターにグランポレールとM.シャプティエのブランド担当者を迎えて、「ちらし寿司」に合うワインをテイスティングしてみました。ワインと合わせるのは難しいのでは?とも言われる「ちらし寿司」ですが、やってみないとわからない驚きの発見も! それでは早速、テイスティングの様子を見ていきましょう。
text WINE OPENER編集部 photo よねくらりょう
目次
日本代表 vs. フランス代表
産地を比較しながらテイスティング
―今回は、「ちらし寿司」に合うワインを探そう!ということで、和食に合う日本代表「グランポレール」と、意外性に期待したいフランス代表「M.シャプティエ」からワインをセレクト。その比較も楽しみながらテイスティングしていきたいと思います。
テイスティングする5本
①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-
④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ
十河(グランポレール担当以下略):ちらし寿司には様々なネタが入っているので、グランポレールの中でも幅広く食材に合うオールマイティなワインを選びました。
杉野(M.シャプティエ担当以下略):僕自身、ちらし寿司とワインを合わせるのは今回が初めてなので、M.シャプティエのワインがどのようにマッチするか、とても楽しみにしています。
和食に寄り添う
日本ワインの実力やいかに!
―では早速、グランポレール3種からテイスティングしていきましょう。ブレンドワインの「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-」、単一品種の「②グランポレール 余市 ケルナー」と「③グランポレール 甲州」の飲み比べです。

十河:日本の食卓に合うワインとして開発された商品ということもあり、「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-」2020年ヴィンテージの華やかな酸は酢飯ともバランスがいいですね。
磯崎(編集部以下略):爽やかさや華やかさに加えて、ブレンドによるものなのか、まろやかさもありますよね。そこが、ちらし寿司に寄り添ってくれているように感じました。
杉野:ちらし寿司にほのかな甘みをプラスしてくれて、まるで桜でんぶのような役割を果たしていません?
十河:たしかに! 「③グランポレール 甲州」と飲み比べてみると差が明確で、「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-」のほど良い甘さが、ちらし寿司の様々な具材をしっかり受け止めているように感じます。
芦澤(編集部以下略):煮穴子を食べたら、「③グランポレール 甲州」の個性が引き立ちました。甘辛い味付けに甲州が合っているんだと思います。
十河:酢飯やお醤油など、和食ならではの味付けには日本固有の品種が合うのではないかと思い「③グランポレール 甲州」をエントリーしました。甲州は果皮由来のほろ苦さもあるので、出汁には合うんですよね。
―ちらし寿司には様々な具材が入っているので、合わせるポイントも様々なようですね。
高橋(編集部以下略):マグロにイカ、甲殻類も入っていますが、「②グランポレール 余市 ケルナー」の爽やかな酸が懐深く受け止めてくれているような気がします。
十河:ケルナーを栽培している畑が海から2~3キロとほど近いので、そういったテロワールも影響しているかもしれませんね。
高橋:メインの魚介ではないんですけど、「②グランポレール 余市 ケルナー」の青りんご感はきゅうりとも合いますね。
磯崎:ちらし寿司に寄り添うのが「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-」だとしたら、ちらし寿司に花を咲かせてくれたのが「②グランポレール 余市 ケルナー」のような気がします。あと、今回のようにお寿司屋さんからお取り寄せしたちらし寿司と、自宅で作る家庭的なちらし寿司とでは、選ぶワインが変わってくるかもしれないですね。
芦澤:そうですよね。家庭的なちらし寿司をイメージすると、杉野さんがおっしゃった桜でんぶの役割も果たしつつ、海産物にも酢飯にもオールマイティに合う「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-」はいいかもしれませんね。
高橋:自宅でちらし寿司を食べるときは、すまし汁とか他のお料理もあることを考慮すると、ワインの香りは強すぎないほうがいいんですかね?
杉野:「②グランポレール 余市 ケルナー」の香りは特長的ですが、ちらし寿司の味わいを邪魔してはいません。しっかりとした酸が、家庭的なちらし寿司にはない味わいであったり、エレガントさを足してくれるのではないでしょうか。
M.シャプティエ×ちらし寿司
その意外な発見とは?
―続いてM.シャプティエ2種のテイスティングをお願いします。今回は価格帯的にもカジュアルに楽しめる「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」と、洗練された味わいの「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」を用意しました。

杉野:甘味もありながらフレッシュ感のあるバランス型のワインが「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」で、どのネタと合わせても受け止めてくれるのではないかと思ってセレクトしました。一方の「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」は、しっかりとした酸とエレガントさが特長なので、どのような合わせ方ができるのか私も楽しみな1本です。
高橋:えびと「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」はとても合いますね! 甘味も酸味もしっかりと感じられるワインなので、醤油ともよくマッチしています。
―先ほどの「③グランポレール 甲州」もそうですが、醤油がワインとの繋ぎ役を果たしているようですね。
十河:醤油が加わることで、シャプティエのボリューム感にちらし寿司が負けなくなりましたね。醤油との相性の良さもあり、ちらし寿司の具材含め全方位的に合うのが、「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」のような気がします。
芦澤:一方の「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」は、ワイン自体が非常にエレガントですよね。香りも味わいも際立っています。
十河:樽感もありますね。
杉野:逆に樽感がネガティブに感じたりしませんでしたか?
芦澤:そんなことはなかったですよ。むしろマグロなど脂のある魚や、味付けされた煮穴子とは特に相性が良かったと思います。
杉野:それは良かった。僕はこの樽感が、すし桶に入ったちらし寿司をイメージさせるんですよ。
磯崎:わかります! すし桶で作ったちらし寿司のイメージ=高級感が、「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」のエレガントさとも合いますよね。
高橋:ホームページの商品紹介を見ると、「合う料理」の項目に寿司というキーワードがあったので、個人的に「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」とちらし寿司のペアリングは楽しみにしていました。でも実際にテイスティングしてみると、想像とは違う合い方で…。まさかすし桶をイメージさせるなんて!
芦澤:持っていない要素を加えて相乗効果を楽しむペアリングは、読者の皆さまにもぜひご提案したいですね。
杉野:そういう意味では、ちらし寿司に品格を与えてくれるワインなのかもしれませんね。ペアリングの面白さは「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」、ちらし寿司を引き立てる打率の良さでは「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」といった感じでしょうか。
飲み比べる楽しさも
ぜひお試しを!
―では、候補の5本すべてをテイスティングしたところで、「ちらし寿司」と合わせたいワインの結果を発表します。今までのお話の中にも挙がりましたが、今回は「家庭的なちらし寿司」と「お取り寄せした高級ちらし寿司」と設定を分け、それぞれ1票ずつ投票してもらいました。
結果は…
■「家庭的なちらし寿司」と合わせたいワイン
「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN」 3票
「②グランポレール 余市 ケルナー」 2票
■「お取り寄せした高級ちらし寿司」と合わせたいワイン
「④M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ」 3票
「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」 2票
となりました!
―今回のテイスティングを振り返って、皆さんはどのような感想を持ちましたか?
高橋:国や産地の違いで、こんなにも差があるんですね。とても面白い気づきでした。グランポレールはちらし寿司をちらし寿司らしく、M.シャプティエはちらし寿司をエレガントに昇華してくれる力があると思いました。
芦澤:ちらし寿司と言えどもお寿司なので、当初は辛口のワインが合うと思っていました。でも実際にテイスティングしてみると、香り豊かで甘味を感じるワインが合うんですよね。また、「⑤M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール」の樽感がすし桶を感じさせるという発見も、とても面白く有意義でした。
磯崎:様々な食材が入ったちらし寿司という独特なお料理でも、繊細に包み込んでくれる調和性がグランポレールの魅力だと感じました。M.シャプティエのほうは、果たしてどういうペアリングになるか当初はイメージできませんでしたが、ワインが持つ品格のある華やかさがちらし寿司に花を咲かせたと思います。ご家庭で作ったちらし寿司をM.シャプティエで格上げするという楽しみ方も、ぜひお試しいただきたいです。
十河:日本の食卓に合うというコンセプトで複数品種をブレンドしている「①グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN」は予想通りぴったりのペアリングでした。一方で、「②グランポレール 余市 ケルナー」とちらし寿司のペアリング提案は新たな発見でした。M.シャプティエとちらし寿司を合わせるのは初めての経験でしたが、すし桶をイメージさせたりシーンの提案ができるという視点には、ペアリングの新たな可能性を感じました。
杉野:日本ワインを表現するグランポレール特有の甘味が、ちらし寿司をより華やかなものにしてくれるという発見がありました。自然な旨みや甘さを大切にする和食に、グランポレールが持つ甘味がマッチするんでしょうね。M.シャプティエはボリューム感のあるワインなので、お取り寄せした高級ちらし寿司とは“品格”のペアリングが楽しめそうです。シーンに合わせてワインを選び、その時々の楽しみ方があるということも、今回ご提案できたのではないでしょうか。
「ちらし寿司」に合うワイン5選
グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉-SEN-
参考小売価格:税抜1,507円
山梨県産甲州を主体に岡山県産マスカット・オブ・アレキサンドリアをバランスよくブレンド。爽やかな香りとほのかな渋みや酸味が感じられる日本ワインならではの味わい。
グランポレール 余市 ケルナー
参考小売価格:税抜1,908円
余市の協働契約栽培畑産ケルナー種ぶどうを100%使用。やや酸度の高いぶどうから、青りんごを想わせるみずみずしくフルーティな香りを引き出し、爽やかでキレある、すっきりした飲み口に。
グランポレール 甲州
参考小売価格:税抜1,808円
果汁を低温でじっくりと発酵させ、ぶどうのアロマを引き出すとともに、発酵終了後も澱の上で熟成し、コクとキレをプラス。甲州種の特徴であるほろ苦さ、爽やかな酸味が魅力の辛口ワイン。
M.シャプティエ コート・デュ・ローヌ ブラン ベルルーシュ
参考小売価格:税抜1,700円
ローヌの定番ワイン。アプリコット、フェンネル、アイリスのような華やかな香りに加え、丸い甘味やフレッシュ感も感じる。フィニッシュではアニスの微かな香りが現れる。
M.シャプティエ サン・ペレイ ブラン レ タヌール
参考小売価格:税抜3,100円
コート・デュ・ローヌの冷涼な風土を生かした、エレガントで洗練された白ワイン。青りんご、白い花、蜂蜜を感じさせるアロマ、フレッシュ感に加えて十分なミネラル感も。
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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。