CULTURE

ブドウ栽培家が熱く語る「グランポレール余市」の魅力!ー弘津ヴィンヤードにインタビュー

サッポロが日本ワインの魅力をお届けするプレミアムなシリーズ、「グランポレール」。北海道余市町の広大かつ優美な自然に育まれた環境の中でワイン用ブドウの栽培を行っているのが、「弘津ヴィンヤード」です。

今回は、余市産グランポレールを支える余市のワイン用ブドウの栽培家、弘津ヴィンヤードの2代目 弘津雄一氏にインタビューを行い、余市産ブドウで造られたワインのおいしさの秘密に迫りました。

余市産ブドウで造られたワインとは?

余市産ブドウのワインは、その名のとおり北海道余市町で生産されるブドウをベースに造られた日本ワインです。1984年に本格的なブドウ栽培が始まってから、2011年には内閣総理大臣により「北のフルーツ王国よいちワイン特区」の指定を受けるほどに成長しました。ワイン特区の指定は、道内初の快挙です。

まずは、そんな余市産ブドウから造られたワインの特長や生産地の気候について紹介します。

余市産ブドウから造られたワインの特長

余市産ブドウは、北海道の中でも栽培面積が大きく、ワイン用ブドウの収穫量が多い余市町で生産されています。ブドウ品種の特長としてはヨーロッパ系の栽培が盛んで、北海道全域の収穫量1,539.7tのうち、2013年時点で約半数の48%、736.4t程度を占めるほど膨大です。

面積の約66%が山林であり、約15%の畑地が広がる余市町は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園の一端に含まれるほど豊かな自然に囲まれています。空気もおいしい地域でのびのびと育ったブドウから造られる、良質なワインを楽しめます。

余市の気候

ヨーロッパの著名なワイン生産地に近い緯度の北海道は、夏は台風の影響も少なく雨が少ないためブドウを含む果樹栽培に適しています。中でも余市町は積丹半島の付け根に位置し、日本海に面しているうえ、真北以外の三方が山に囲まれた特徴的な地形です。山に守られていることで風が当たりにくく、日本海を北上する暖流の対馬海流の影響もあって気候は比較的温暖な傾向にあります。

北海道・余市産ブドウから造られたワインの魅力に迫る!―弘津ヴィンヤードにインタビュー

今回インタビューをしたのは、弘津ヴィンヤード2代目の弘津雄一さんです。また、グランポレールのブランドマネージャーである高久氏も参加しています。遠方のためリモートでのインタビューでしたが、余市のブドウから造られたワインの魅力や弘津ヴィンヤードの歴史について語ってもらいました。

北海道初のワイン特区でもある一大産地、余市町の弘津ヴィンヤードに迫ります!

ブドウ栽培家が熱く語る北海道・余市産のワイン!余市で栽培されているブドウ品種は?

―――編集長

2018年から始まった余市・仁木ワインツーリズムプロジェクトの記事を拝見したのですが、その中に「ぶどうとワインの町、余市・仁木をめぐる“大人のおいしい旅へ”」というコピーがありワクワクしました。

二つの町を歩き、ワインを通じて地域の食や魅力を楽しめる大人のおいしい旅、最高ですね。従来の北海道の旅とは一味違った楽しみ方ができそうですね。

そこで、余市の魅力に関して3つ程、お話を伺えますでしょうか。

―――弘津ヴィンヤード2代目弘津雄一さん(以下、弘津)

食べ物でしたら海があるので、エビやイカなどの海産物です。あと果樹地帯なので、果物がおいしいですね。リンゴやナシ、ブドウなど色んな果物が栽培されています。

観光場所としては、大きなウィスキー工場や鰊(にしん)御殿というのがあります。うちにも大きい鰊御殿が残っていますが、海岸沿いに歩くと他にも昔ながらの鰊御殿がたくさん見られますよ。

畑全体 (余市)

景色なら、尻場山(シリパ山)が有名です。余市の景色を見渡せるので訪れた人にも魅力があると思います。

余市でワイン用ブドウの栽培を始めたきっかけ

―――編集長

さて、現在、余市には10軒のワイナリー、40軒以上のワイン用ブドウ栽培農家があり、道内屈指のワイン産地となっていますが30年以上前にワイン用ブドウに目を付け、その先陣を切ってブドウ栽培を始められた方のおひとりが弘津さんと伺っています。

つまり、弘津さんらが居なければ、余市が今のようなワインのメッカとはなっていなかったと思います。まさしく「余市ブドウの開拓者であり立役者」的存在。

以前はリンゴを栽培されていたようですが、なぜワイン用ブドウの栽培に変更したのでしょうか。何か理由があったのでしょうか。

―――弘津

うちはもともと、明治の終わりぐらいからリンゴ農家を続けていました。リンゴからブドウ栽培に転作した理由は、リンゴの値段が暴落してしまったのと、リンゴの木が古くなってしまったからです。木が古くなると病気(腐らん病)にかかってしまって、病気の木を抜いて新しい木を植えても、同じ病気になってしまうんです。

ちょうどその時期、「ワイン用のブドウを栽培しないか?」という話がありまして。父がブドウ栽培に変えたのが始まりです。余市にはリンゴ農家が他にもあって、当時は周囲のリンゴ農家も同じ事情でブドウ農家に変わっていました。

ブドウ栽培家が熱く語る北海道・余市産のワイン!余市で栽培されているブドウ品種は?

―――編集長

弘津さんは、1990年頃からブドウ栽培を始めたとのことですが、当時はワイン用ブドウの栽培農家はほとんどなく、栽培にあたってご苦労がたくさんあったと思います。どのようにしてワイン用ブドウの栽培技術を取得されたのでしょうか。

また、失敗談などを含めてお聞かせいただけますでしょうか。

―――弘津

1980年代から別の農家さんでワイン用のブドウ栽培が始まっていました。うちがブドウ栽培を始めたのは1990年頃だったと思います。うちは周りの農家より少し遅くにブドウの木を植えたので、先に栽培をしていた農家さんのところにいって話を聞きつつ、試行錯誤しながら育ててきたと父から聞きました。

余市では、以前から生食用のブドウ栽培をしているところもありました。生食用のブドウはアメリカ系のもので病気に強かったんですが、ワイン用のブドウは育てたことがなかったので、品種の特性が分かりませんでした。

ワイン用のブドウはヨーロッパ系のものが多く、雨が少ない地域で育っていたものなので、病気に弱いという特性があります。最初のうちはそういった特性を知らなかったこともあって、よく灰カビ病になってしまっていました。

弘津ヴィンヤードで使われているブドウ品種

―――編集長

ところで、弘津ヴィンヤードの広さはどのくらいでしょうか。また、現在、何種類のブドウを栽培されているのでしょうか。

―――弘津

栽培面積は、今年植えた分も含めると約8.5ヘクタールほどですね。

現在は全部で4品種のブドウを栽培していて、白ブドウはケルナー、バッカスを、黒ブドウはツヴァイゲルトレーべピノ・ノワールを栽培しています。うちぐらいの農家が専業でやるなら、これくらいが丁度よいかな、と。

―――編集長

ケルナー、ツヴァイゲルトレーベ、バッカス、ピノ・ノワールの4種が栽培されているとのことですが、なぜこのブドウ品種を選ばれたのでしょうか?

―――弘津

最初は1990年にツヴァイゲルトレーベを、1991年にケルナーを植えました。当時からサッポロ様からの要望で始めることになった品種です。2000年頃に、海外のバッカスのワインを飲んで、こんなワインを造ってみたいと思ったので、契約先のサッポロワイン社へ父が提案してバッカスを栽培するようになりました。

2010年頃には、黒ブドウがツヴァイゲルトレーベ1種類しかなかったので何か良い品種はないかなと探していました。栽培的にも余裕があったことから、高級なワインを造ることになり、ピノ・ノワールの栽培を本格的に始めました。

ブドウ栽培家が熱く語る北海道・余市産のワイン!余市で栽培されているブドウ品種は?

―――編集長

今日は、この4種の中から、人気の高いケルナーと北海道中心に栽培されているツヴァイゲルトレーベの特長、そして栽培において気を付ける点などお聞かせください。

―――弘津

■ケルナー

ブドウ栽培家が熱く語る北海道・余市産のワイン!余市で栽培されているブドウ品種は?

品種の特長としては、房が小さめです。1房300gぐらい、400gはないかな?くらいの小さめのブドウです。晩成種なので糖度がうちで植えている品種の中では高めで、毎年糖度が21~22℃ほどあります。

■ツヴァイゲルトレーベ

ブドウ栽培家が熱く語る北海道・余市産のワイン!余市で栽培されているブドウ品種は?

ケルナーと比べると、房が大きめのブドウですね。500g~600gくらいあります。色が濃いのも特長です。

あとは、どちらもヨーロッパ系の品種なので、病気に弱く、灰カビ病になりやすいのがちょっと大変ですね。この頃は温暖化の影響もあってつきやすい病気があることと、その年によって他の病気もつきやすくなるので、気を付けています。

今後の弘津ヴィンヤードについて

―――編集長

では、最後に今後、弘津ヴィンヤードをどのようにして行きたいですか?2代目の息子さんの未来の夢・抱負を伺えましたら嬉しく思います。

―――弘津

今後の目標、抱負はですね、やはり最近は温暖化の問題があるので、今とは違ったブドウ品種にもチャレンジして、親父が作り上げた弘津ヴィンヤードをさらに素晴らしいものにしていきたいと思います。夢という程のものではありませんが、私が栽培したブドウから造られたワインが皆様に「おいしい!」と言って頂けるようになったら栽培者冥利に尽きます。余市のブドウ栽培家として精進して参りますので「グランポレール余市」のご支援をよろしくお願いいたします。

グランポレール・ブランドマネージャーから一言

―――編集長

弘津さんのインタビューを受けて、グランポレールのブランドマネージャー高久さんからひとことお願いします。

―――高久

1990年頃からブドウ栽培を始め、ワイン用ブドウを造っている人が少ない中で、栽培の難しさを知りながら試行錯誤して育てていくことで今の栽培面積になっているのはとてもすごいことです。

また、ブドウ品種毎に非常に丁寧な栽培をしていただき、素材感あふれるピュアなブドウを届けてくれるので本当に頭が下がっちゃいます笑

―――編集長

ワイン用ブドウ栽培があまり知られていない30年程前から、試行錯誤をして丁寧にブドウ造りを行ってきた弘津さん。その姿から余市におけるブドウ栽培の「開拓者」のおひとりとしての一面を伺うことができました。

今後は様々なブドウ栽培にチャレンジしたいという弘津さんやグランポレール余市のワインから目が離せません!

弘津さんが栽培したブドウで造られた「グランポレール 余市ケルナー」と「グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ」と料理との相性を、銀座フレンチレストランの老舗「レカン」でシェフソムリエを長らく務められていた日本を代表するソムリエのおひとり大越基裕さんにお話を伺いました。

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「日本を代表するソムリエ大越基裕氏が熱く語る “余市・ケルナーとツヴァイゲルトレーベ 理想のマリアージュ”」

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