サッポロが日本ワインの魅力をお届けするプレミアムなシリーズ、「グランポレール」。果物王国とも称される岡山県に位置するワイナリーが、「グランポレール 岡山ワイナリー」です。今回は、同ワイナリーの醸造家の原田英雄さんにインタビュー。岡山県のブドウ栽培について、岡山県産のマスカット・オブ・アレキサンドリア、マスカットベーリーAのワインについてお聞きしました。
目次
醸造家の原田英雄さんについて
―編集長
今回、「グランポレール 岡山ワイナリー」の醸造家、原田英雄さんにお話をうかがいます。
原田英雄さんはビール造りを経験されているということですが、まず醸造家としての経歴についてお聞かせいただけますでしょうか。
―原田
私が本格的にビール造りを学んだのは、2010年に異動した那須にある小規模なビール工場でした。
小さな工場だったこともあり、経験豊富な先輩から細かい部分まで指導してもらえたり、工場全体のことを見れたり、当時の経験が今の岡山ワイナリーでも役立っています。
―編集長
ビール醸造とワイン醸造を経験されている原田さんですが、その違いはどこにあると考えていますか?
―原田
ワイン造りはビール造りと大きく違います。
まず、ビールはひとつのブランドで考えた時、原料や収穫年に違いが出ても同じ味わいがするように製造することが重要です。
一方、ワインはブドウの収穫年や産地の違いを楽しむお酒。
麦芽やホップは保管できますがブドウは生でやってくるため、その時々に手早く作業し、完成をイメージしながら醸造していかなければならない部分は大きな違いだと感じています。
―編集長
そこがワインのおもしろさ…でしょうか?
―原田
そうですね。ただ、おもしろいと同時にそこが難しい部分なんです。
仕込むワインを最終的に期待している味わいに近づけていかなければなりませんし、その年のブドウに合わせた、“瞬間的な判断”がワイン醸造家には求められるので。
―編集長
ブドウは生そのもの。ブドウの個性がストレートにワインに反映されてしまうところは、おもしろいところでもありますが、難しい部分でもある…。
醸造家目線の貴重なお話ですね。
岡山県のブドウ栽培とワインについて
―編集長
果物王国とも称される岡山県。なぜ、岡山県はここまでブドウ栽培で有名になったのでしょうか。
―原田
岡山県のブドウ栽培の歴史を調べてみると、明治初期に政府が展開した殖産興業として、果実の栽培が推奨されたことが始まりだったことがわかりました。
また、岡山県といえば「マスカット・オブ・アレキサンドリア」が有名ですが、日本で初めて同品種の温室栽培に成功したのがこの岡山県で、それをきっかけにさまざまなブドウの栽培が盛んになっていったようです。
温室栽培成功に関連する記念碑があったり、当時の温室が復元されていたり、岡山県がブドウ栽培を大切にしていることがうかがえます。
―編集長
岡山県はブドウ栽培が盛んということは存じていましたが、まさか明治初期の殖産興業が関連しているとは知りませんでした。貴重なお話、ありがとうございます。
さて、そんなブドウ栽培が盛んな岡山県ですが、同県産ワインは他県産ワインと比較してどこに違いがあると原田さんは感じているのでしょうか?
―原田
まず、マスカット・オブ・アレキサンドリアですが、他県でほとんど栽培されておらず、生産量の9割が岡山県です。
現在ではその限りではないのですが、マスカット・オブ・アレキサンドリアは初期頃、ガラス温室で栽培されていました。
岡山県は台風が少ない気候であるため、ガラス温室が壊れにくかったこともマスカット・オブ・アレキサンドリア栽培が定着した理由です。
そもそも、このブドウからワインが造られていること自体が同県産ワインの魅力のひとつではないでしょうか。
つぎにマスカットベーリーAですが、これは他県での栽培も盛んなブドウ品種です。岡山県産の同品種は華やかな香りが突出しており、親しみやすい。
広島県や近隣ワイナリーでも似たような特長が出ているため、中国地方の特長かもしれませんね。
グランポレール岡山ワイナリーのワインについて
―編集長
ここからは、岡山ワイナリーで造られている「岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」、そして「岡山マスカットベーリーA 〈樽熟成〉」について原田さんにお聞きしていきます。
まずは、「岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」の特長についてお聞かせください。
―原田
マスカット・オブ・アレキサンドリアは、香りが最大の特長のブドウ品種です。そのため、原料ブドウからこの香りを最大限引き出す造りを心がけて醸造しています。
ブドウの収穫時期をはじめ、全ての工程に非常に気を使っていますね。
「岡山マスカット・オブ・アレキサンドリア〈薫るブラン〉」は、豊かなマスカット香が出てきますが、爽やかな酸味や甘味、マスカット種独自のほのかな苦味を後味に感じる仕上がりとなっています。
ぜひ、これら特長を楽しんでほしいです。
―編集長
ありがとうございます。
続いて、「岡山マスカットベーリーA〈樽熟成〉」についてお聞かせください。
―原田
岡山ワイナリーでは、山梨県産や山形県産のマスカットベーリーAでもワインを造っています。
先ほどお伝えしたように、やはり他県産のものより、岡山県産のマスカットベーリーAは華やかなストロベリーの香りが強い傾向にありますね。
その香りに合う樽を選び、香りと味わいのバランスを心がけて熟成させています。
お客さまが、「岡山マスカットベーリーA 〈樽熟成〉」を飲んだとき、他県のそれと差がしっかりと感じられるような醸造を心がけています。
醸造へのこだわりと今後について
―編集長
原田さんのお話を聞いていると、ワインが早く飲みたくなってしまいますね。さて、ここからは原田さんの醸造へのこだわり、哲学などを聞いていきたいと思います。
原田さんが醸造で大切にしていることをお聞かせください。
―原田
グランポレールのチーフワインメーカーである工藤が常々言っているのが、“ブドウがなりたいワインを造る”ということ。
ブドウの個性を引き出すこと、そしてそれに合わせた醸造技術を駆使することが我々醸造家には求められていると思っています。
私個人の哲学といえるかわかりませんが、一人のワインメーカーがワインを仕込めるのは1年に1回だけで、多くても30、40回程度です。
そのため、自分が経験したことだけでなく、先輩方が得た知見をワイン造りに取り入れていくことはとても重要だと感じます。
良いワインを造ることはもちろんですが、今は自分が経験したことを次の世代に残していくことも意識していますね。
―編集長
原田さんがこれからも醸造家として生きていく中で、なにか夢があればお聞かせください。
―原田
漠然としているかもしれませんが、ヴィンテージだけでなく「造り手」による差をワインで出していきたいと思っています。
造り手一人ひとりの哲学がワインに反映され、それを楽しんでいただけるお客さまとコミュニケーションが取れる。
そんな未来を夢見ています。
また、もっと日本ワインを知ってもらうため、情報発信にも力を入れていきたいです。
―編集長
最後にグランポレールファンへ一言お願いします!
―原田
まず、まだグランポレールを知ったばかりの方へ。
ワインは難しいと感じている方がとても多い印象です。実際、僕もビールを造っていた頃、ワインをどうやって楽しめばよいかわかりませんでした。
ただ、難しいことを考えずにゆっくりできる時間にワインを楽しんでほしいです。
そこでおいしいと思えるワインに出会えたら、少しずつそのワインのことを調べてみると、ワインの楽しみ方が広がると思います。
次にグランポレールファンの方へですが、ヴィンテージによっての味わいの違い、ファンの方が感じたことで結構ですので、お客さまから感想をいただけると大変励みになります。
ぜひ、岡山ワイナリーで造られたワインについて、いろいろなご意見をいただきたいですね。スタッフ一同楽しみにしています。
グランポレール ブランドマネージャー今後の意気込み
―高久
原田さん、素晴らしいお話ありがとうございました。
岡山県はブドウ栽培で有名ですが、ワイン造りに関しての知名度はまだ低く、今回の原田さんのお話でワインオープナー読者の方が少しでも岡山県のワイン造りに興味を持っていただけたら嬉しいです。
また、原田さんの“造り手の個性を反映させたワイン造り”といったところも、グランポレールとして実現できたら嬉しいと思っています。
原田さんの個性が反映されたワイン。個人的にも期待しています!
―荻原
今回は、岡山県・岡山グランポレールワイナリーの醸造家の原田英雄さんにお話しをお聞きしました。
原田さんの造るワイン、読者の皆さまも飲みたくなったのではないでしょうか。
また、ワインは料理とのペアリングも大切な楽しみのひとつです。
別の記事では、日本ソムリエ界の貴公子・大越基裕さんに岡山県産ワインとのマリアージュを語っていただいています。
ぜひ、そちらもご覧ください。
「ソムリエ大越基裕氏が語る “グランポレール岡山” 理想のマリアージュ!」
グランポレール オフィシャルサイトはこちら
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