CULTURE

ビオディナミワインってどんなワイン?|自然を活かしたワイン造り

食事の趣向が人それぞれ異なるように、ワインに対するこだわりも十人十色です。ブドウの品種にこだわる方や特定の産地のものしか飲まないと決めている方、そして自然派のワインを愛する方もいます。

また、自然派のワインと言われて思い浮かべるものも、人によってヴィーガンワインだったりオーガニックワインだったりと、さまざまです。

今回は自然派のワインの中でもちょっぴりスピリチュアルな印象を与える「ビオディナミワイン」についてご紹介します。

今、ビオディナミワインが注目を集めている!

ビオディナミワインとは?

ビオディナミワインとは、ドイツの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した、「土壌が本来持つエネルギーと自然界に存在する力で農作物の生命力を高める」という考え方に基づいた、「ビオディナミ農法」で造られたワインのことを指します。ビオディナミは「生体力学」という意味で、化学的な農薬と肥料を使わず、天体の動きとの調和、動物との共生、独自の調合剤の使用を特徴としています。

有機栽培のブドウから造られたオーガニックワインは、有機栽培という意味のビオロジック農法を主軸にしていますが、さらにこだわり抜いているのがビオディナミ農法によるビオディナミワインであると言えます。

ちなみに、自然派ワインをさす「ヴァン・ナチュール」というワインは、自然な造りであることを最も重視しており、ビオディナミワインとはまた異なるワイン区分です。

ほかのワインとはどう違う?

今、ビオディナミワインが注目を集めている!

一般的なワイン用ブドウの栽培には、化学的な農薬や肥料を使用しています。ワインの代表的な産地でも同様です。

オーガニックワインの農法である有機栽培という意味のビオロジック農法は、化学的な農薬や肥料、除草剤を使用しません。

他にもオーガニックとあわせて取り上げられやすい「リュットレゾネ」という栽培方法があります。リュットレゾネは化学物質を可能な限り使用しない減農薬農法で、一般的な栽培方法とビオロジック農法の間に位置するスタイルです。

化学物質を使わないという点では、

一般的なワイン<リュットレゾネワイン<ビオロジックワイン

の順で条件が厳しくなっていきますが、ビオディナミワインでは、ビオロジック(有機栽培)に加え、「自然由来の物質を使った特別な肥料を使う」「天体の運行に合わせた栽培を行う」という条件がさらに加わります。

ビオディナミワインの製造方法

ビオディナミワインは、厳密に定められた生産ルールを守っていなければ、認められることはありません。ビオディナミ農法の認証を行っている推進団体「Demeter(デメテール)」が指導・認証したルールに基づいて栽培・醸造されます。

ビオディナミワインの製造方法で特徴的な部分は、以下の2点です。

自然素材由来の肥料を使う

今、ビオディナミワインが注目を集めている!

化学的な農薬や肥料に頼らない代わりに、自然素材由来の肥料を活用するのが最大の特徴です。土壌に負担をかけないため栄養豊富で適度に水はけがある良い土が育ち、自然な味わいを楽しめるブドウが育ちます。

ビオディナミワインで使用される肥料は、たとえば牛の糞やタンポポなどです。牛の角や腸に詰め、一定期間を土の中で寝かせたものが良い肥料となります。

月や惑星の動きに基づいて栽培を行う

今、ビオディナミワインが注目を集めている!

ビオディナミワインがスピリチュアルな印象を与える理由は、月や惑星の動きも視野に入れて栽培を進めることにあります。星・月・惑星・星座それぞれの動きを記した種まき用のカレンダー、播種(はしゅ)カレンダーに従って栽培されます。

簡単にいうとワイン造りに天体の動きも取り入れているということ。ちょっと神秘的な印象を持ちますよね。

ただ最先端の農業技術でも天体観測や気象衛星からのデータを用いて収穫量を増加させることに成功していますし、自然素材由来の肥料は微生物の動きを助け、土壌を活性化させ ます。

一見スピリチュアルに感じられるビオディナミワインですが、実は地球に優しく、理にかなった方法でつくられたワインといえるのです。

おすすめのビオディナミワイン

最後に、おすすめのビオディナミワインを3本ご紹介します。いずれも手軽に楽しめる価格帯なので、家飲みや女子会にもぴったりです。

可愛らしいボトルデザインはプレゼントとしても喜ばれますよ!

■パラ・ヒメネス

パラ・ヒメネスは、オーガニックワインのパイオニアとして知られています。サスティナブルなワイン造りを実現しており、スペインのD.O.ラ・マンチャの格付けも獲得した注目すべきワイナリーです。

1D51パラ・ヒメネス カベルネ[オーガニック]G01外観

パラ・ヒメネス カベルネ・ソーヴィニヨン[オーガニック](参考小売価格:税抜1,000円)

ブラックベリーやブラックチェリーなどフルーティーな香りの中に、黒い粒胡椒のスパイシーな存在感があります。酸化を防ぐために夜間収穫されたブドウを使っており、豊富な果実味ときめ細かな渋味のバランスが良い1本です。

料理と合わせるなら、仔羊のローストやサーロインステーキなど、シンプルな料理がおすすめです。ポン酢で食べるしゃぶしゃぶや、焼肉のタン塩といった味付けの料理とも合います。

 

 

 

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1D55パラ・ヒメネス カベルネ樽熟成[オーガニック]G01外観

パラ・ヒメネス カベルネ・ソーヴィニヨン樽熟成[オーガニック](参考小売価格:税抜1,300円)

黒いベリー系のフルーツを思わせる香りとともに、オーク樽独特の香りやスパイシーなニュアンスを感じます。なめらかな渋味と完熟した果実の濃縮した味わいは、樽熟成と瓶熟成を経たことで実現しました。

仔羊・地鶏・サーロインステーキなどを炭火焼きにした、シンプルな料理と合わせる楽しみ方がおすすめです。チーズ派の方はスペインチーズのマンチェゴ(熟成タイプ)を試してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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パラ・ヒメネス シャルドネ[オーガニック](参考小売価格:税抜1,000円)

完熟した果実の甘い香りの中に、スパイシーなニュアンスが特長です。華やかな印象を与える味わいで、酸味のバランスも良く、多種多様な料理とよく合います。

たとえばシンプルな味わいのパスタやラムチョップの炭火焼き、サフランの利いたパエリアなどです。ローストチキンのようにがっつりした料理のほか、新鮮な魚介類を使った料理とのマリアージュも楽しめます。

 

 

 

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パラ・ヒメネスについての詳細は、別ページでもご紹介中です。以下のページからぜひチェックしてみてください。
「オーガニックワインの先駆者 パラ・ヒメネスが語るワインのこだわり 」

 

■M.シャプティエ

シャプティエ

「テロワールやヴィンテージの個性を土壌に語らせ、表現させる」をモットーにワインを製造している、フランス・ローヌ地方を代表するワイナリーが「M. シャプティエ」。

「世界で最も称賛されるワインブランド(※)」のランキングで、2010年以降5度もフランスのワイナリーで頂点に立っている、非常に価値の高いワイナリーです。
(※)ドリンクス・インターナショナル誌より

ビオディナミ農法の取り組みも早く、ブドウはビオディナミ農法でていねいに栽培されています。

シングル・ヴィンヤードシリーズ

自社の単一畑の樹齢の古い樹からとれたブドウで造られたワインシリーズ。ロバート・パーカー氏から最高評価100点満点
を40回以上も獲得しているシャプティエ社最高峰のシリーズです。

エルミタージュ ルージュ ル パヴィヨン 2010_外観

・エルミタージュ ルージュ ル・パヴィヨン(参考小売価格:税抜60,000円(1993年)/ 95,000円(1994年)/ 120,000円(2003年)/ 100,000円(2009年、2010年))

香りが多層的に重なり、アタックが強めで複雑な味わいが特徴のフルボディの赤ワイン。収穫したブドウはコンクリートタンク発酵させ、その後、18~20ヶ月間かけてオーク樽で熟成させます。平均樹齢が65年以上の高品質のシラー種を使っており、ビロードのような舌触りと長い余韻が楽しめるワインです。

 

 

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エルミタージュ ルージュ レルミット 2012_外観

・エルミタージュ ルージュ レルミット(参考小売価格:税抜80,000円(1997年)/税抜100,000円(2012年))

力強さと滑らかさを兼ね備えたシラー種の奥深さを味わえる赤ワイン。ワインの20%はフレンチオークの新樽で熟成、20%は1年物の樽、30%は2年物の樽、残りはコンクリートタンク で熟成を施しているので、味わいに奥行きと深みがあります。

 

 

 

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・エルミタージュ ブラン レルミット(参考小売価格:税抜150,000円(2011年)/税抜140,000円(2012年))

熟した白系果実を想わせる香りがあり、ソフトで濃厚なバランスの取れた味わいが楽しめる辛口の白ワイン。エルミタージュ ブラン レルミット 2012_外観

18~20℃に温度管理された樽内で長い期間ゆっくりと発酵させ、その後、10~12ヶ月かけて澱と共に熟成させて造られます。ミネラル感が感じられるエレガントなワインです。

 

 

 

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エクセレンスシリーズ

シャプティエの高品質なブドウで造られた希少性の高いワインシリーズ。有機・ビオディナミ農法がすべてのアイテムに採用されています。

エルミタージュ ルージュ モニエ ドラ シズランヌ_外観

・エルミタージュ ルージュ モニエ・ ド・ ラ・ シズランヌ(参考小売価格:税抜12,000円)
凝縮感がありつつもタンニンが強すぎない、エレガントでまろやかなフルボディの赤ワインです。「モニエ・ ド・ ラ・ シズランヌ」は、シャプティエが所有している自社畑の中でも由緒ある畑のひとつ。この畑を含む3つの畑のブドウからこのワインは造られています。

 

 

 

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エルミタージュ ブラン シャンタルエット_外観

・エルミタージュ ブラン シャンタルエット(参考小売価格:税抜10,000円)

アカシアやハチミツを感じさせる芳醇な香りと上品で華やかな味わいがあり、余韻をじっくりと楽しむことができる白ワインです。

ローヌ地方の赤ワインを代表するのがエルミタージュですが、実はエルミタージュは白ワインの産地でもあります。「シャンタルエット」には「歌うヒバリ」という意味があり、その名前のイメージと合う、エレガントな味わいに仕上がっています。

 

 

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・コート・ロティ クワテュオール(参考小売価格:税抜11,000円)

なめらかなタンニン分を堪能できるフルボディの赤ワインで、複雑さと力強さが感じられる味わいになっています。コート・ロティ クワテュオール_外観

コート・ブロンド、コート・ブリュンヌ、ネーヴ、テュパンという4つの区画で栽培されたシラー種のブドウを使用しているので、クワテュオール(四重奏)という名が付いています。

 

 

 

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コレクション・ビオ

EUで有機認証(ユーロリーフ)されたブドウから造られているのが「コレクション・ビオ」。ブドウの個性を最大限に表現したいという M.シャプティエ の願いが感じられるシリーズです。

シャトーヌフデュパプ ルージュ コレクション・ビオ_外観

・シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ コレクション・ビオ(参考小売価格:税抜6,300円)

濃厚で複雑味がある味わいで、熟した果実を思わせてくれるフルボディの赤ワイン。有機農法で丁寧にブドウを栽培し、熟成の管理を調整することで、深みのある味わいに仕上がっています。

 

 

 

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ディスカバリーシリーズ

人と自然が緊密に連携することでブドウの木の潜在能力を最大限に引き出し、理想的な味わいのワインを造ることを目指しているのが、ディスカバリーシリーズです。

ヴィオニエ ラ コンブ ピラット ビオ_外観

・コリーヌ・ローダニエンヌ ヴィオニエ ラ・ コンブ・ ピラット ビオ(参考小売価格:税抜3,000円)

透明感のあるハチミツの様な色味をしている辛口の白ワイン。ヴィオニエ種らしいさわやかなアロマとミネラル感がしっかりと感じられる味わいです。

魚料理だけでなく、淡白な肉料理にも合わせやすい万能型。フルーティーで華やかなアロマを持ち、新鮮なサラダやホワイトアスパラガスとの相性は有名。

 

 

 

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・コトー・ド・ラルデッシュ ヴィオニエ ドメーヌ・ デ・ グランジュ・ ド・ ミラベル ビオ(参考小売価格:税抜2,800円)ヴィオニエ ドメーヌデ グランジュドミラベル ビオ_外観

透き通るようなゴールドの色味が美しい辛口の白ワイン。フレッシュさと丸みのある味わいのバランスが絶妙です。

このワインのブドウ品種であるヴィオニエ種は、石灰岩と砂岩の土壌の畑で、夏は暑く乾燥し冬は穏やかという地中海性気候の中で育てられています。

 

 

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ラ コンブ ピラット ブリュット ナチュール ビオ_外観

・ラ・ コンブ・ ピラット ブリュット ナチュール ビオ(参考小売価格:税抜3,900円)

辛口のスパークリングワイン。収穫したブドウを全房のまま圧搾して、品質が高いものだけを選別。低温で発酵させ、瓶内2次発酵でアルコール度数を高め、発酵が完了したあとに澱のまま瓶詰めをして2~3ヶ月かけて熟成させて造られました。

 

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

まとめ

色んなワインを楽しんだ後は、より深い魅力を知るために、化学的な農薬を避けたこだわりの1本も飲んでみたいですよね。ビオディナミワインは、ブドウの栽培方法に土壌や品種だけではなく天体の動きにもこだわった独自の製法で造られています。

ビオディナミワインを楽しむうえで、こちらでご紹介したパラ・ヒメネスはM. シャプティエは欠かせません。

家族経営だからこそ続けられた製法で品質の良いオーガニックワインを世に生み出し続けているパラ・ヒメネス。

ロバート・パーカーから100点満点の最高評価を40回以上獲得した「シングル・ヴィンヤードシリーズ」をはじめ数多くの人気シリーズを世に送り出してきた、M.シャプティエ。

星を読みながら造られたロマンチックなワインを、ぜひ一度味わってみてください。

この記事を監修したソムリエ

杉浦直樹

歌舞伎役者として人間国宝 中村雀右衛門に師事。15年ほど主に歌舞伎座に舞台出演。その後銀座のクラブマネージャーを経て、J.S.A認定ソムリエ資格を取得。現在は支配人兼ソムリエとして、ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒を専門とし たフレンチレストランを経営する。

 

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