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ワインスペシャリスト・沢樹 舞さんに教えてもらいました!
サクラアワード受賞ワインの楽しみ方

桜の季節に毎年開催されている国際的なワイン審査会『SAKURA Japan Women’s Wine Awards』、通称サクラアワード。ワイン業界で活躍する女性のみが審査員を務め、日本人の味覚や日本の食卓に合うワインの「今」を把握できるコンペティションです。第10回目を迎えた今年は、28か国から4,222アイテムがエントリー。その中で「ゴールド」を受賞したワインから6アイテムを、ワインスペシャリストで料理家の沢樹 舞さんにテイスティングいただき、昨今のワイントレンドや受賞ワインを楽しむコツを教えてもらいました。

text WINE OPENER編集部 

サクラアワード2023

■お話をうかがった方
ワインスペシャリスト・料理家
沢樹 舞さん

ファッションモデルとして国内外で活躍後、ワインの専門家に転身。食をテーマにしたWEBサイト「たべるの」を立ち上げ、自らがプロデュースした料理番組や雑誌の連載、料理教室などで、ワインと共に楽しむ新しい時代の家庭料理を発信している。シャンパーニュ騎士団よりシュバリエ(騎士)、日本ソムリエ協会よりソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)を叙任。

 

 

 

昨今のトレンドを象徴する
美しい酸を感じるワインたち

―沢樹さんにはサクラアワード2023のゴールド受賞ワイン6種をテイスティングいただきましたが、総評としてはどのような感想でしたか?

沢樹 舞さん(以下敬称略):ワイン業界全体のトレンドにも繋がりますが、酸がきれいで重たすぎない、そしてナチュラルな造りでヘルシーなワインが評価されているように感じました。なかでも、やはり酸の存在を大きく感じましたね。例えばフルボディのワインであっても、非常にきれいな酸を感じましたし、白ワインはもちろん赤ワインにも欠かせない条件のひとつになっているように思いました。

―酸が求められるようになったのは、やはり食のトレンドの変遷も影響しているのでしょうか?

沢樹:それはとてもあると思いますね。かつてのワインブームの中では、食中酒としてではなくワイン単体としてどれだけ充実感があるかを基準に評価されていましたが、今は当たり前のようにペアリングが行われていますよね。どのお食事に合うかという視点が生まれたことで、ワインの酸も不可欠なものとなってきたのではないでしょうか。きれいな酸を感じられるワインは飲み飽きせずに楽しめますし、家庭でワインを楽しむという視点でも酸が求められていると思います。

―日本の家庭料理に合うワインという考え方は、まさにサクラアワードのテーマのひとつでしたね。

沢樹:そうですね。例えばお鍋にワインを合わせることも、10年前は市場的にも半信半疑だったかと思います。でも、今は違いますよね。どんどんと家庭の食卓にワインが並ぶようになって、そこで選ばれるお酒としてワインの味わいも変化してきているのではないでしょうか。

サクラアワード受賞ワインを
ペアリングで楽しもう!

ここからはサクラアワード2023でゴールドを受賞したワインの中から、6アイテムを沢樹さんにテイスティングいただき、その楽しみ方を提案してもらいました。酸が特長的なワインを家庭で楽しむコツや合わせたい料理を参考に、ぜひペアリングしながらゴールド受賞ワインを楽しんでみてください。

 

サクラアワード2023

グランポレール
グランポレール 安曇野池田 シラー 2016
参考小売価格:税抜5,008円

沢樹:高級感があって、酸がとてもきれいなワイン!というのが率直な感想でした。日本ワインが進化し、洗練されてきていることを実感できる1本ですね。安曇野池田産のシラー種は、やはりローヌとも違い、オーストラリアのシラーズとも全く別物で、まだまだ可能性を秘めていると感じました。2016ヴィンテージは日照にも恵まれて深みのある良質なぶどうが収穫できたそうですが、シラー特有の黒胡椒のようなスパイシー感がありながら非常に複雑でエキゾチック。シナモンやカルダモンのニュアンスも感じました。お料理と合わせていただく場合は、日本の薬味をイメージするといいかもしれません。例えば和牛のしゃぶしゃぶを酸味のあるタレでいただくときや、グリルしたラムチョップに柚子胡椒をのせていただくときに、このワインは非常に合うと思います。逆にあまり濃い味のタレだと、この安曇野池田産シラーの上質感が失われてしまい、もったいないかもしれません。

 

サクラアワード2023

グランポレール
グランポレール 山梨甲州樽発酵 2021
参考小売価格:税抜2,508円

沢樹:非常にすっきりしていてキレキレなんだけど、しっかりと厚みがあるワインですね。やはり酸がきれいで、上品な樽の香りがあって、アフターには香ばしさも残る。そういったニュアンスがふわりとまとまっていて、山梨甲州樽発酵は日本ワインとして誇るべきスタイルのひとつだと感じました。どんな料理と合わせたいかイメージしながらテイスティングさせてもらいましたが、美しい柑橘のアロマからすだちやかぼすと相性のいいお料理が合いますね。それこそ白身のお刺身であったり天ぷらも、醤油とわさびではなく、粗塩をつけてすだちを絞っていただくイメージ。柑橘を絞っていただく鶏肉の炭火焼きも、素材の味を引き立てるペアリングになると思います。あとはポン酢でいただくお鍋とも合うのでぜひ!

 

サクラアワード2023

メッツァコロナ 
カステル・フィルミャン テロルデゴ・ロタリアーノ リゼルヴァ 2018
参考小売価格:税抜1,888円

沢樹:イメージとしては明るいキャラクターのワイン。色調からも、飲んだ後の爽快さからもそう感じました。やはり軽快感のある酸味が非常にいい仕事をしています。あと印象的だったのが、グリルした香ばしさのようなトーン。茹でたスナップえんどうや焼いたブロッコリーにオリーブオイルとお塩を振っただけの手抜き料理にとても合いましたね(笑)。菜花など春野菜のほろ苦さと相性がいいワインだと思います。普通、春野菜にはソーヴィニヨン・ブランなどの白ワインを合わせたくなりますが、赤ワインをあえて合わせるというのが面白いと思います。複雑なペアリングというよりは、旬のお野菜をシンプルな味付けで合わせて欲しいですね。そういった食材を引き立てる役割も、イタリアワインが持つ魅力と気付かせてくれた1本です。軽く焼いたトマトやトマトソースのパスタにも、当たり前のようにフィットします。

 

サクラアワード2023

パラ・ヒメネス
パラ・ヒメネス シャルドネ[オーガニック] 2021
参考小売価格:税抜1,000円

沢樹:冷たい温度でグラスに注ぎ、5分くらい経つと果実の甘いアロマをすごく感じます。ナチュラル感もあり、果実のジューシー感と甘いアロマ、ほんのりと感じるスパイシーさが余韻に繋がり、杯を進めます。非常にバランスがいいワインですね。茹で野菜やサラダチキンでもいいですし、鶏肉のソテーと温野菜といったメニューにも合いますね。あとは茹でた豚肉などさっぱりしたお肉にも、完熟した果実味がピタッと合ってくれると思います。優しくいただけるテクスチャーを含めて、オーガニックであることに納得できる1本。食材の味わいを生かしたヘルシーな蒸し料理やグリル料理にぴったりですね。この価格帯でオーガニックというのも嬉しいですし、多くの人に受け入れてもらえるワインだと思います。

 

サクラアワード2023

[イエローテイル]
[イエローテイル]ピュア・ブライト ピノ・ノワール 2021
参考小売価格:税抜1,015円

沢樹:アルコール分を低減させたワインということですが、軽さを感じつつも充実感もしっかりと表現してくれているので、物足りなさを感じることはありません。飲み進めていくと、アルコール分のせいか優しさを感じます。味わいもニューワールド系のピノ・ノワールに求める要素が凝縮していて、甘酸っぱいベリー系のフレーバーもチャーミングでよかったです。個人的な好みですが、白ワインのように冷蔵庫できっちり冷やして飲むのがいいと私は思いました。普段使いやカジュアルに楽しみたい1本なので、合わせる料理も肩肘張らないものを。ウスターソースの焼きそば、BBQ系のお料理とはパーフェクトに合いますね。自宅で気軽に楽しむなら、生ハムよりもサラミ。あとは醤油味のつまみ、めんつゆを使ったお料理にも合うと思います。もちろんエスニック料理は全般的に合いますね。最近は調味料ミックスがあるので、パッタイやトムヤムクンなども簡単に作れるようになりましたよね。酸味のあるエスニック料理ともぜひ楽しんでみてください。

 

サクラアワード2023

サンタ・リタ
スリー・メダルズ カルメネール 2021
オープン価格

沢樹:甘みのあるベリー系の酸がきれいで、重すぎずフルーティー。煮込みハンバーグやミートソースのパスタなど、煮詰めて作るお料理が合いますね。醤油ベースでも例えばカレイの煮つけとか、あるいはスパイスカレーといったパンチのある料理も受け止めてくれるボディがあります。家庭で作る料理で合うものがたくさん連想できるワインだと思います。ハンバーグにしても、ケチャップとウスターソースを混ぜて作るソースがよく合います。あとは、このワインの特長として、アフターに少し青っぽい苦みを感じるんですよ。カベルネ・フランみたいな、ちょっと青みがかったテイストが後味にフワッとくる感じが乙で、余韻の長さにも繋がって食をそそります。ソースやケチャップで簡単に味付けした料理であっても、このワインと合わせるだけで料理の腕が上がったような気持ちにさせてくれる、そんな1本だと思います。

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こちらも注目! ゴールド受賞ワイン

テヌータ・カレッタ カイエガ ロエロ アルネイスDOCG 2021 (参考小売価格:税抜2,408円)

レガリス レセルバ 2017 (参考小売価格:税抜4,708円)

レガリス クリアンサ 2019 (参考小売価格:税抜3,008円)

サンタ・リタ ヒーローズ カベルネ・ソーヴィニヨン 2022 (参考小売価格:税抜828円)

サンタ・リタ ヒーローズ シャルドネ 2022 (参考小売価格:税抜828円)

 

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。